第8回 5分でわかる(?)最新アイドルマップ

 〝アイドル戦国時代〟と言われはじめて、かれこれ5年くらい経ちますが、いったいいま、日本のアイドルはどうなっているのか?

 ちなみに、この連載で言うアイドルとは、他人につくってもらった曲を歌って踊る日本の女性アイドルのこと。ジャニーズ事務所所属タレントに代表される(というかほぼ独占されている)男性アイドルや、スチール写真とイメージDVDを主戦場とするグラビアアイドルやジュニアアイドルはとりあえず含みません。

 かつて、アイドルと言えば、山口百恵、松田聖子、中森明菜、小泉今日子......とソロ歌手が中心でしたが、最近はグループアイドルが主体。ダンスも必須なので、アイドル歌手という呼び名はほぼ絶滅している(さくら学院出身の武藤彩未みたいに、あえて〝歌い手〟と名乗るソロアイドルもいますが)。

 老舗のBerryz工房が活動を停止したり、フジテレビ発の多人数グループ、アイドリング!!!に解散報道が出たり(スポーツ新聞にスクープされ、運営サイドが報道の一部を追認)、ブームも曲がり角に来ているのでは......という観測はあるものの、まだまだ新しいグループもどんどん誕生、百花繚乱の状態が続いている。

 とはいっても、世間のおじさんおばさんみんなが名前を知ってるグループっていうと、たぶん3つしかない。はい、AKB48とももクロとモー娘。ですね。この三強が、それぞれ姉妹グループを拡大しながら中原に覇を競っている......というふうに現状をまとめるには(セールスから見るかぎり)AKB48グループ(以下48G)の勢力が強すぎますかね。

 48Gには、〝本店〟と呼ばれるAKB48のほかに、名古屋・栄のSKE48、大阪・難波のNMB48、福岡・博多のHKT48があり、今年は新潟にNGT48が誕生予定(他に、海外の姉妹グループとして、上海のSNH48、ジャカルタのJKT48がある)。人気が急上昇している公式ライバルの乃木坂46も秋元康がプロデュースする姉妹グループで、人事交流も行われている。
 ももいろクローバーZはスターダストプロモーションの所属で、この事務所には、他に、私立恵比寿中学、チームしゃちほこ、たこやきレインボーが所属。冠番組の収録中にメンバーのひとりが救急搬送される事故が大きく報じられた3B juniorもスターダスト組の最年少ユニット(ジュニア・チーム)です。
 モーニング娘。'15を擁する老舗ハロー!プロジェクト(ハロプロ)では、2015年現在、他に、℃-ute、アンジュルム、Juice=Juice、カントリー・ガールズ、こぶしファクトリーが活動中。

 とまあ、以上が三大勢力なんですが、2014年の女性アイドルのソフト(CD、DVD、配信など)の総売り上げ金額(オリコン調べ)に占めるシェアで見ると、ざっくり言って、48Gが全体の7割以上を独占。出版取次業界でいえば、トーハンと日販が一緒になった感じ? あとは、ももクロが1割弱、モーニング娘。が3パーセントってところ(取次で言うと、ももクロが大阪屋で、モー娘。が栗田出版販売ですね)。
 実数では、モーニング娘。'14が8億6960万円、その次が中森明菜の7億6090万円。130億円を売り上げて全アーティストの2位(1位は嵐の138億円)につけている48Gの本店と比べると、ハロプロ勢もほとんど誤差の範囲です。

 去年のシングルCD売り上げランキング上位20作(オリコン調べ)を見ると、1位~4位は48Gの本店が独占し、4作ともミリオン越えで合計500万枚。7~9位が乃木坂46、11位と13位がSKE48、14位、15位がNMB48、17位と19位がHKT48。それ以外の7作はジャニーズ系(嵐、関ジャニ∞、ジャニーズWEST)6作と EXILE TRIBEが1作。要するに、シングルCD市場は、48Gとジャニーズ事務所にほぼ独占されているわけです。

 しかしこれは、パッケージされた音楽CDに限った話。iTunesの配信ランキングになると、ベスト20に48Gの曲は「恋するフォーチュンクッキー」1作しかなく、ジャニーズはゼロ(年間カラオケランキングでも同様)。

 なんでこんなおかしなことになってるかというと、CD購買層の多くが、初回限定版に付属する握手券などの特典目当てだから。複数買いも当たり前なので、CDの売り上げと、世間で聴かれているかどうかはあんまり関係ない(世間で聴かれている/歌われているのは、去年だと圧倒的にアナ雪で、中高生にはボカロ曲が強い)。

 じゃあ、ライブの観客動員はどうかというと、女性アイドルのトップは、全アーティストの中で9位にランクインしているももクロの48万6000人(1位は EXILE TRIBEで、あとは韓流とジャニーズと福山雅治)。AKBが14位、SKEが32位、HKTが36位、モーニング娘。'14が46位。松田聖子は19公演を開催して18万人を動員し、38位につけているから、モーニング娘。より上。つまり、ももクロ、48Gに次いで劇場にお客が呼べる女性アイドルは松田聖子なのである。ソフト売り上げでは中森明菜が4番手につけているし、やっぱり聖子・明菜は強かった。

 ついでに、48G、スタダ(スターダストプロモーション)、ハロプロの三大勢力以外でどんな系列があるかというと、Perfume、さくら学院、BABYMETAL、武藤彩未などが所属するアミューズ系、SUPER☆GiRLS、Cheeky Parade、GEM、TOKYO TORiTSU これで委員会、東京女子流が所属するエイベックス系、9nine、ベイビーレイズ、バニラビーンズ(業務提携)のレプロエンタテインメントなど。
 事務所じゃないけど、タワーレコードのアイドル専門レーベル、T-Palette Records には、新潟のNegicco、ヒップホップ・アイドルのlyrical school、元ハロプロエッグのアップアップガールズ(仮)や、バニラビーンズ、しず風&絆、キャラメル☆リボン、ワンリルキス、amihime、プラニメ、アイドルネッサンスが参加してます。取次でいえば、ええと、地方小出版流通センター?

 ......と、国民的なアイドルの状況を確認したところで、今回の本題はこの先。あらためて、いったいいま、日本にアイドルはどのぐらいいるのか? 数え上げたらキリがないとか言いますが、ちゃんと数えている人もいる。

 ファン投票で1位を決める「第3回アイドル楽曲大賞2014」の楽曲部門ノミネート一覧によると、2014年の1年間に楽曲をリリースしたアイドルは446組。ざっと見積もって、これだけで3000人ぐらいでしょうか。ちなみに446組の内訳は、メジャーアイドル楽曲部門が131組、インディーズ/地方アイドル楽曲部門が315組。メジャーでCD出してるアイドルはごく一部だということが、これ見るだけでもわかりますね。
 楽曲をリリースしていないアイドルや、オリジナル曲を持たないアイドルもたくさんいるから、そういうのまで合わせると遥かに多くなるでしょうが(1000組以上?)、とりあえず、過去1年間に楽曲を販売しているアイドルだけでも500組弱いると。

 このうち、地上波テレビやラジオに出られるのはひと握り。テレビつけるとアイドルが出てるじゃん! と思うかもしれませんが、深夜の冠番組や一部音楽番組を別にすると、地上派露出機会のたぶん9割以上は48G(乃木坂46含む)とももクロに占められる。道重さゆみがハロプロを去り、菊地亜美がアイドリング!!!を卒業したいま、48G/ももクロ以外のアイドルグループ現役メンバーで、世間に個人名を知られているのは、嗣永桃子(Berryz工房→カントリー・ガールズ)くらいかも。
 実際、出版業界の集まりで、モーニング娘。'15のメンバーをだれか知ってますかと質問して、ひとりでも名前を挙げられたのは、編集者10人のうち1人だけでした(挙がった名前は鞘師里保と鈴木香音)。ももクロのメンバーだって、なかなかフルネームが出てこないくらいだから当然か。

 じゃあ、その他99パーセントのアイドルがどんな活動をしているかといえば、ライブと物販。生き残りをかけてさまざまな特色を打ち出し、日夜あちこちのステージに立ってるわけですが、すでに長くなりすぎたので、具体的にどんなグループがいるのかっていう話はまた今度。