« 2018年5月 | 2018年6月 | 2018年7月 »

6月28日(木)

 今日も暑い。ハンカチを手に外回り。

 汐留のB書店F店長さんを訪問。南行徳のグループ書店から移られた後、初対面。電通の入るビルらしく、広告・メディアの本がよく売れるそうだけれど、「外からのお客様も増やしたい」ととても前向きな売り場作りをされており、うれしくなる。誠実に、一冊でも多く本を届けることを性分としている書店員さんのひとり。

 終業後は、〈疫病神シリーズ〉第7弾、黒川博行『泥濘』(文藝春秋)を買い求めて帰宅。日本代表戦が始まるまで読む。

 試合が始まるとなぜか新潮社の編集者A氏からメッセンジャーが止まらず。日本代表の話でなく、本を編むことについて。いい話だけれど、今はそれどころじゃない。

6月27日(水)

 センスのいいものはセンスのいい人しか買わない。
 おしゃれなものはおしゃれな人しか買わない。

 昨日の商談から得た教訓。

 白い。世界が白い。
 まだ6月だというのに容赦なく照りつけてくる太陽。
 どんな暑さでも外を廻る営業。
 ふらふら。

 恒川光太郎『滅びの園』(KADOKAWA)読了。
 自分が知っている恒川光太郎とはかなり違うような気がするけど(『夜市』『雷の季節の終わりに』『秋の牢獄』『草祭』ぐらいまでは読んでいた)、なんだか筒井康隆や眉村卓みたいですごく面白かった。

 宇宙から〈未知なるもの〉がやってきて地球に取り憑き、プーニーという謎の生命体が襲ってくる。
 はじめはほわほわファンタジーなゆるゆるの展開で読むのをやめようかと思ったりもしたのだが(それも実は意味があった)、2章から怒涛のSFワールドに突入し、ページをめくるたびにこちらの想像を軽く凌駕する展開が待ち受けており、一気読み。人間ドラマもしっかり描かれており大満足。これは恒川光太郎の著作を辿り読みしなければならない。

 深夜、ドイツ対韓国の戦いに大声を上げてしまい、怒られる。いや、これは声を出さざる得ないだろ。

6月26日(火)

 ふつうに出社すれば電車は遅れず。9時出社。窓を開けると爽快な風が抜ける。机を拭きコーヒーを淹れて、しばし風にあたる。

 午前中、ブッククラブについて調べる。昼前に茗渓堂の坂本さんが来社。42年前、できたばかりの「本の雑誌」を手に目黒さんが飛び込み営業して以来のお付き合いが続く。こちらの代が変わっても変わらずに可愛がって頂けることに深く感謝。

 昼、見本出しのため上京されていた140Bの青木さんが来社。青木さんがジャジャジャーン♪と見せつけた新刊『鳥瞰図!』が素晴らしく、「これ、いいっすねえ!」と思わず声を上げてしまう。ランチはお決まりの近定。青木さんはおののく量の「日替わり定食」をぺろり。

 午後、販路を広げるため、異業種の納入先を訪問。行くまではかなりドキドキしていたのに、扉を開けたらなんとかわいい犬がお出迎え。しかも会社で飼ってるのでもなく、経営者の飼い犬でもなく、社員の方が連れてきているらしい。我が社よりルーズで素晴らしい。そして大変親切に教えていただき、非常に有意義で楽しい時間を過ごす。楽しすぎてつい転職を申し出てしまう。

 その後、書店さんを営業し、直帰。

 恒川光太郎『滅びの園』(KADOKAWA)を読む。
 アルゼンチン対ナイジェリアの観戦に備えて11時就寝。

6月25日(月)

  • ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え
  • 『ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え』
    【著】デイヴィッド・グラン,【訳】近藤 隆文
    NHK出版
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 家を早く出ると必ず電車は遅れる。本日は特にひどい遅延で結局会社に着いたのはいつもより遅い9時40分。まあ急いでいるわけでもないのでいいんだけれど。

 週末に書いておいた『ノモレ』の感想を日誌にアップし、その他諸々、ネット原稿の更新準備をする。週末の間に届いていた返品了解書に目を通しFAX。印刷会社に「本の雑誌」8月号発注。『無脊椎水族館』のPOPの発送準備。手紙2通をしたためる。

 日本代表を応援している宮田珠己さんに連絡を入れると、2度追いついてかなり価値ある引き分けだったのに本田の緩慢な動きに納得いかない様子。「あれはジャイアント馬場なんですよ」と教えてあげる。

 13時、今朝頂いた『無脊椎水族館』の追加注文分をもって、新宿の紀伊國屋書店さんに直納。幸先よし。

 その後、新宿の本屋さんを訪ねていると、地下通路で古本屋ツアー・イン・ジャパンの小山力也さんと遭遇。「どちらへ?」「そこへ」と指差された先は、新宿駅西口広場恒例の古本祭り。本日が初日とのこと。いつもなら営業そっちのけで探書するところなのだが、小社出版物の著者でもある小山さんの前で堂々とサボるわけにもいかず、泣く泣く、営業を続ける。

 その後、今年初の猛暑(32度)の中、銀座、東京へ移動し、照り返しのきついアスファルトの上を汗を拭きながら歩き続ける。

 夕方、帰社。自販機で購入した炭酸水(WILKINSON)をがぶ飲みしつつ、新しく入ってきた助っ人学生に大学入試の仕組みを訊ねる。娘が高校3年となり来春にはどうやら大学受験をするらしいのだけれど、その仕組みがまったくわからず困っていたのだ。大いに助かる。

 19時、退勤。秋葉原で途中下車して、「良品週間」最終日の無印良品へ。チノパン2本を買い求む。

『ノモレ』に触発され、積ん読の地層から掘り起こした『ロスト・シティZ 探検史上、最大の謎を追え』デイヴィッド・グラン(NHK出版)を読む。どうして今まで読んでこなったんだろう(きっと「ブラッド・ピッドが映画化権取得」という帯コピーのせい)と後悔するほど面白い。

 22時、イラン対ポルトガル、スペイン対モロッコに備えて就寝。

 青山ブックセンター六本木店さんは本日で閉店。

6月24日(日)

 山の中で熊に出会ったら死んだふりをしろとよく言われますが、では木々生い茂る手付かずの自然あふれるペルーとブラジルの国境付近のアマゾンで、未開の人類に出会ったらどうすればいいのでしょうか。しかも相手は素っ裸のうえ木の枝を鋭く加工した矢を手にし、筋骨隆々で大きな身体から好戦的な様子も伺えます。

 ずっと昔、この地をエルドラドと呼んで金を採掘にきた征服者や百数十年前、黒い黄金と例えてゴムを採取していたパトロンならば、何も考えずに手に持つ鉄砲の引き金を引いたことでしょう。

 でも二十一世紀の今、あなたの目の前に立つのは、最後の未開の人類"イゾラド"と呼ばれる、これまで文明社会とまったく接触せず、正確な人数も把握できていない、ずっとずっと深い森の中で原始的に暮らしてきた人たちです。

 もちろんあなたは欲にまみれた人間でもありません。文明の差こそあれ同じ人間を殺したくないし、彼らに殺されたくもありません。さて、いきり立つようでいて、怯えているようにも見える彼らになんと声をかければいいのでしょうか。

 答えはこの本のタイトルです。イゾラドと交流することになった、元々自身も先住民のロメウがかけた言葉、それが「ノモレ」というイネ族の言葉でした。

 その言葉の意図は、まずはじめに敵意がないことを伝え、互いを確認しあい、できることなら手にしている槍を地面に置いてもらうことにありました。それから自分たちのことを語り合い、理解を深め合う。深め合うことができるのか? そもそも理解ってなんなのか? そういうことを考えさせられるのも、この本の読みどころです。

 森で暮らす彼らは、私たちと同じ感覚で暮らしているわけではないかもしれません。時間の概念も数の捉え方も思考や感情もまったく異なる可能があるからです。まさにファーストコンタクトなのです。

 その隙間を著者の国分さんは詩的な表現で埋めていきます。それがとてもいい。とてもいいのです。まるで彼らが乗り移ったシャーマンかのように語られていきます。

 たまたま言葉が通じた彼らは、驚くほどロメウたちイネ族と顔や姿が似ていました。それはイネ族の間で百年以上語り継がれてきた逸話を思い出させました。彼らとロメウはすでにずっとずっと昔、出会っていたのかもしれないと──。

 そもそもはNHKのドキュメンタリーで取材されたものですが、内容はまったく異なります。テレビではその遭遇が第三者の視点で語られていましたが、この本では村の若きリーダーでもあるロメウの視点で紡がれていきます。

 ロメウは彼らとどう接するか悩み、どうすることが幸せなのか考えます。また自らが守らねばならぬ村人のことで奮闘します。文明社会で暮らす自身のアイデンティティに揺れつつ、イゾラドが求めるバナナを渡し続けます。

 しかし村のバナナが底をつけば自分もバナナやガソリンを購入する費用を求めて、NGO団体や国と交渉しなければなりません。実はロメウも私たちも結局は彼らとなんら変わらないのではと思えて来るのが不思議です。

 果たしてロメウは──、いや私たちは、彼らと"ノモレ"になれるのか。なるためにはいったいどうしたらいいのか。"ノモレ"になるための努力が、今このときもアマゾンで続いているのです。

 ブラジルとべネズエラに跨る奥アマゾンに生きるヤノマミ族の集落で、長期に渡って同居した価値観が引っ繰り返る傑作ルポ『ヤノマミ』(新潮文庫)から八年。国分拓さんが世に送り出した二作目は、読んでる間、鳥肌がたち続ける、この先何年もこれほどすごい本には出会えないであろう、人跡未踏のノンフィクションとなりました。

6月4日(月)

 午前中、企画会議。実りなし。何も考えてきておらず、その場で何か思いつくわけはない。残念な時間を過ごす。

 午後、『無脊椎水族館』の色校、刷り出しその他諸々届く。

 これまで画面やモノクロプリントで見ていたものが、実際の紙に印刷され、その発色やら手触りやら初めて物として判断できるときで、いつもドキドキ恐怖心をもって迎えるのだけれど、封筒から出して机に拡げた瞬間、晴れやかな満足感が湧いてきた。

 早速、刷り出されたカバーのプリントに定規をあてて切り取り、束見本に巻いてみるとまるで宝物のように輝いて見える。素晴らしい出来。

 デザインを頼んだ金子は職人気質でいつも不満ばかりを口にするのだけれど、「いいね」と言ったきり口をつぐんで愛おしそうに本を撫でている。

 ここで仕事が終われば楽なんだけれど、本は売らねばまるで意味がなく、ここからは頭を切り替え、本来の仕事である営業にもどられなばならない。

 本を売るのは本を作るのに比べてずっと大変だけれど、そのかわり売れた時の喜びはひとしおだ。

『無脊椎水族館』は宮田さんの満を持してのテーマであるだけに責任も重い。
 売らねば、売らねば、売らねば。
 プレッシャーに押し潰されそうになりながら、販促として思いついたことを書き出し、すぐにできることは試してみる。

 でも、とも思う。
 大丈夫、とも感じる。
 
 なぜなら本が、堂々と、きちんと、そこに出来ているからだ。
 本の力、を信じる。信じられる。
 それが一番大事。

IMG_4786.jpg

IMG_4787.JPG

6月3日(日)

  • 野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)
  • 『野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)』
    戸川 幸夫,矢口 高雄,矢口 高雄
    山と渓谷社
    1,760円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 野生伝説 爪王・北へ帰る 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)
  • 『野生伝説 爪王・北へ帰る 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)』
    戸川 幸夫,矢口 高雄,矢口 高雄
    山と渓谷社
    1,650円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 痛風の痛みはほぼ消え去ったので、ランニングを再開。しかし、無意識にかばって走っていたようで、逆の足が痛くなり始める。6キロで終了。それでも気分爽快。

 シャワーを浴び、昼食にペペロンチーノを食した後、DAZNでワールドカップ最注目のベルギーとポルトガルの試合を見る。いったいベルギーは、この十数年でどんな強化をしたのだろうか。世界的レベルの選手がどかどかと輩出され、2002年のワールドカップで引き分けた対戦相手とはとても思えない。

 その後、ベッドに横になり、本日も読書三昧。一昨日買ってきた、戸田幸夫作・矢口高雄画『羆風』と『爪王』(ともにヤマケイ文庫)をむさぼるように読む。

 実は前作『マタギ』はとても面白かったものの字が小さく、老眼にはつらく途中何度か本を置いてしまったのだけれど、今作は字が大きく太く改良されており、分厚く重量のある本ながら、まったく手から離れることなく、一気読みしてしまった。ヤマケイ文庫、グッジョブ!

 熊、カモシカ(ともに『羆風』)、鷹、犬(ともに『爪王』)とそれぞれの動物と人々の暮らしを描いた傑作漫画だ。発表当時は考えられなかったかもしれないが、民俗学的にも貴重な資料なのではなかろうか。

 夕刻、散歩がてら近所の本屋さんへ。欲しい本はことごとくなかったけれど、そこに本屋さんがあることが重要なので、並んでいた本を3冊ほど買い求める。

 夕飯にコロッケを揚げたのでビールを飲んだら気持ち悪くなる。おかわりと一緒で、もう飲めないんだから飲まないこと。

 ガンガンする頭を抱えつつ、NHK「ブループラネット」を見る。冒頭に出てきたコブシメの体色の変化があまりに鮮やかで劇的であり、もしやあれは保護色などではなく、渋谷のスクランブル交差点の周りに建つビルのモニター広告の一種なのではなかろうか。

 いよいよ明日、『無脊椎水族館』の刷り出しがでてくる。

6月2日(土)

  • はじめての沖縄 (よりみちパン! セ)
  • 『はじめての沖縄 (よりみちパン! セ)』
    岸政彦
    新曜社
    1,430円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 当然ながら未だ右足の痛みを抱えているため、申し込んでいた『北上次郎さんと行く初心者(だけじゃない)競馬ツアー』は断念。山梨中銀スタジアムで行われるルヴァン・カップ プレーオフステージ第1戦の甲府戦はそれ以前に断念していたので、終日、ベッドに横になり読書。

 宮田珠己『東京近郊スペクタクルさんぽ』(新潮社)、大山史朗『山谷崖っぷち日記』(角川文庫)、岸政彦『はじめての沖縄』(新曜社)読了。

 今年の初めに沖縄に行き、沖縄に行ったのは3度目だったんだけど、なぜか妙にこれまでになく惹かれるものを感じ、また沖縄に行きたい、沖縄のことを知りたいと興味がこんこんと湧き、それ以降沖縄に関する本をポツポツと読んでいた。

 自分自身、なぜそんな気持ちになったのか不思議に思っていたのだけれど、その気持ちを『はじめての沖縄』に的確に知るされていて、激しくうなづく。

「なぜかというと、それが日本の内部にあって日本とは異なる、内なる他者だからだ。規格化と均一化が果てしなく進む日本のあらゆる地方のなかにあって、沖縄は、その独特なものを色濃く残す、ほとんど唯一の場所である。(中略)私たちが沖縄をもてはやすとき、無意識に必ず私たちは日本をけなしている。」

 そういうことだったのだ。

 注文しておいたライ・クーダーの新譜「The Prodigal Son」を聴きながら、AppleMusicをサーフィンしていると、ジョニー・マーの新譜がまもなく出ることを知り、すぐさま予約する。

 AppleMusicで聴けるのだから、何もCDを買わなくていいだろうにと思うけれど、十数年後、子どもたちが出て行った部屋を改造し、音楽をきちんとスピーカーから聴けるようになったときに、その音楽を覚えておくために必要なのだった。どんなにデータとしてあっても無意識の中に埋もれたものを探し出すのは困難である。本当はレコードを買いたいのだけど、そんな部屋が持てるのか確信がなく、とりあえずCDを買い続けている。

 今回の痛風は小爆発だったようで夜には足を床に付けられるようになった。これなら明日からランニング再開できるかどうか。

6月1日(金)

  • 野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)
  • 『野性伝説 羆風・飴色角と三本指 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)』
    戸川 幸夫,矢口 高雄,矢口 高雄
    山と渓谷社
    1,760円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • 野生伝説 爪王・北へ帰る 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)
  • 『野生伝説 爪王・北へ帰る 作:戸川幸夫 画:矢口高雄 (ヤマケイ文庫)』
    戸川 幸夫,矢口 高雄,矢口 高雄
    山と渓谷社
    1,650円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto
  • ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと
  • 『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』
    奥野 克巳
    亜紀書房
    1,980円(税込)
  • 商品を購入する
    Amazon
    HonyaClub
    HMV&BOOKS
    honto

 月曜日の夜、ランニングした時に嫌な予感がしたのだけれど、またもや痛風発症。GW中の発症が治っての2週間での再発(今度は初めての右足)に凹む。尿酸値は下がっているというのにこの連続発症はどういうことなんだろうか。ひとまずロキソニンを服んで足を引きずりながら出社する。また足の裏を地面に付けられない日々が始まった。

 午前中、いよいよ入稿となる宮田珠己さんの新刊『無脊椎水族館』の最後のゲラ読み。いったいこの3ヶ月で何度読んだだろうか。何度読んでも面白いが、今は冷静に淡々と読むことを心がける。それでもくすくすと笑ってしまう。

 午後、「週刊文春」の連載「ストーカーとの七〇〇日戦争」が話題沸騰の内澤旬子さんと着せ替えの手帖の取材で銀座へ。さすがのネクタイセレクトに思わず唸る。

 帰社後は『無脊椎水族館』の販促物作りに勤しむ。昔は出版社がもってきた販促物なんか味気なくて使えるかと言われていたのに、いつの間にPOPやパネルはすっかり出版社が用意するものとなっている。それだけ書店の現場は時間も人手も足りなくなっているということであろう。販促物では定評のあるミシマ社のもの参考に手を動かしていると、背後から覗いてきた事務の浜田が大笑い。
「これ、火星人ですか?」
「クラゲだよ」
「ク、クラゲ?! 本が売れなくなるからやめてください」

 夜、東京堂書店さんに駆け込み、出たばかりの『羆風』と『爪王』(共に戸田幸夫作/矢口高雄画、ヤマケイ文庫)、そして必読だろうと目星をつけていた『ありがとうもごめんなさいもいらない森の民と暮らして人類学者が考えたこと』奥野克巳(亜紀書房)を買い求める。不思議なことにどんな大きな本屋さんより、東京堂書店さんの一階の方が欲しい本が見つかるのだ。

 その東京堂書店の店長Kさんと銀座教文館のYさんと待ち合わせし、華龍飯店へ。カドカワのブルドーザー営業マン・ヘンミーが連れてきた『朝鮮大学校物語』のヤンヨンヒさんも同席。創作の話をいろいろ伺いつつ、本屋魂な話を夜な夜な伺う。

 ロキソニンの効果が切れ、万力で捻られるような痛みを発する足を引きずり帰宅。代表モードをダウンロードしたFIFA2018を夢中になってやっている息子と遊ぼうかと思ったけれど、激しい痛みに気絶するようにベッドに倒れ込む。

« 2018年5月 | 2018年6月 | 2018年7月 »