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9月18日(火)

 9時、先週は夏休みだったので、7日ぶりの出社。すでに編集の高野が出社しており、最近流行りの本の傾向と自分たちの趣味がかけ離れているのではないかと朝から語り合っていると事務の浜田がやってきて「そんなの今に始まったことじゃないでしょ」と一喝される。

 たまっていた仕事、といってもメールはすべて休み中もスマホから返信していたので、プリントアウトやらその他諸々必要だった仕事に取り組む。しかしこれはとても一人では手に負えないと気づき、アルバイトにできるような状態にして、午後からやってくる彼らに手伝ってもらうことにする。

 そして自分はというと、ただいま出版業界を揺るがせている新刊の登録に勤しむ。搬入の平準化を目指すのは理解できるのだが、ルールが統一されておらず、結局こうやって登録しても有効なのかわからないのがつらい。

 それでもとりあえず11月いっぱいの登録を済ます。あとは神頼み...っておかしいような気がするのだけれど。

 午後から営業。とある書店さんである件に関して話し込んでしまう。すると別れ際に書店員さんから「長々引き止めてしまってすみませんでした」と言われるが、いやはやそれはこちらが言うべき台詞。すっかり仕事の邪魔をしてしまい反省する。

 夕方、会社に戻り、アルバイトが終えてくれていた仕事を確認し、帰ろうかと思ったらゲリラ豪雨。とても帰宅できず、明日やろうと考えていた仕事に着手。雨が止む20時まで勤しみ、明日やる仕事がなくなる。「休んでいいかな?」と聞いてみるも社内には誰も残っておらず、「いいとも」の声は聞こえない。

 家に帰り、行きに雨が降っていたので妻が車で送っていた息子を塾へ迎えに行く。息子が車に乗ると同時にまたもやゲリラ豪雨。

 風呂に入り、夕食をとったらなんだかすっかり電池切れになってしまい、ベッドに横になる。『颶風の王』川﨑秋子(角川文庫)を読みながら、チャンピオンズリーグのキックオフ時間に目覚ましをセットし、就寝。

9月4日(火)

  • オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)
  • 『オリーヴ・キタリッジの生活 (ハヤカワepi文庫)』
    エリザベス ストラウト,Strout,Elizabeth,高義, 小川
    早川書房
    1,034円(税込)
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 日本列島に強烈な台風が近づいているというので早起きして雨が降り出す前に出勤。今週末の吉報用の販促チラシを作り、書店さんにFAXで送信。

 午後、「本の雑誌」連載中の着せ替えの手帖の取材で、六本木バーニーズニューヨークの鴨田さんのところへ。またもや鴨田マジック炸裂。かなり抽象的なリクエストだったにも関わらず一発で、というか一服で求めていたイメージに大変身させるコーディネート。鴨田さんの手にかかるとあれほど面倒で憂鬱な服選びがどうしてこんなに楽しくて幸せなことになるのだろう。しかも自分の服ではないにも関わらず、だ。

 取材を終え会社に戻ると、夜、開催されるはずだった会議が台風接近のため中止となる。残業せず駅に向かうが、中央線が止まったというニュースを聞いて誰もが電車が動いているうちに帰ろうと集中したため、京浜東北線は通勤観測史上最強の混み具合。

 通勤読書なんてとてもできる状況でなく、身体をくの字にしたり、レの字がにしたり、コの字にしたりしながら、命綱となったつり革に必死に捕まり、電車から飛び出してしまうことを堪えていると、なんと奇跡としか言いようがないのだけど目の前の席が空いたのであった。

 これはいかにも日頃の行い、というやつだ。そういえば5日ほど前、遅刻しそうになって駅に向かって急いで自転車をこいでいるとき、道端にトラックを停め、紙片を広げている大工の職人さんに声をかけられたのだった。この日の現場が見つけられず困っている様子だったので、私は区画整理中で地図と現在の道がまったく異なる街を自転車で先導しながら案内したのであった。

 あの日は結局遅刻となり、事務の浜田に反省文を提出することになったのだけれど、おかげで今日、この通勤観測史上最強の混み具合の電車の目に入ることができたのである。人生はサッカーと違って必ず報われるものなのだ。

 しかももっとも心配していた関東最弱の電車、武蔵野線も35分遅れながら動いており、無事自宅に帰還。この達成感はなかなか仕事自体では味わえない。通勤の醍醐味といっても過言ではないだろう。

 しかし家にいれば安全かというとそうでもなく、Twitterでリツイートされてくる屋根が飛んだ画像を見ていると恐ろしくなり、また車が横転した動画にも震えながら、こんな日でも塾に行っていた息子を恐る恐る車を運転し迎えにゆく。

 風の音を聞きながら昨日、千葉の16の小さな専門書店さんの〈一年間売り続けた本 イヤーホン〉フェアから買い求めてきた『オリーヴ・キタリッジの生活』エリゼベスト・ストラウト(ハヤカワepi文庫)を読む。一話めの薬局店主がアルバイト女性の人生を心配するくだりに奥さんが言い放つ「あんたが思うほど、誰も困ってやしないのよ」という台詞に打ち抜かれる。

 それにしても16の小さな専門書店さんは棚の数だってそれほどないというのに、どうしてこんなに探してもいない本というか存在も知らなかった本を手にすることができるのだろうか。しかもそれがまったく押しつけがましくないというのが素晴らしい。

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