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2013年5月 手ぬぐい風切り号 No.359

 義理と人情を秤にかけりゃ義理が重たい男の世界......いやいや、健さん、男だって女だって人情ですぜ! というわけで、背中の桜吹雪も風に舞う春本番。本の雑誌5月号は「やっぱり人情ものが好き!」。日本人なら愛さずにはいられない人情ものの世界を総まくりする特集だ。時代小説と現代小説が人情力を競う五番勝負団体戦から、人情小説アラカルト、SFの人情に女子の人情、古今東西ミステリー・キャラクター人情度チェックに本誌読者が選ぶ人情小説ベスト1、そして人情を求めてぶらり旅、おじさん三人組の浅草演芸ホール訪問記まで、人情にどっぷりつかる24ページの特集だあ。

 新刊めったくたガイドは、矢口誠が極限まで煮詰めたイヤ波動砲でどっかーんなら、佐久間文子はするりと入り込む"嘘"をめぐる短編集を堪能。大森望がミエヴィルと法月にダブル五つ星の春爛漫なら、関口苑生は書評家の荒唐無稽な大冒険にドキドキ。間室道子が家族を励まし苦しめる言葉の記憶に思いをはせれば、ハマザキカクは幻の裏オリンピック「ガネホ」の謎に迫ってご満悦。そして北上次郎は出遅れた自分を深く反省しつつ、時代小説界の新エース、澤田瞳子を見逃すな!と絶叫。さあ、今からでも遅くはない。澤田瞳子を読んでみよう!

 そして今月は読み物作家の10冊シリーズに、なんと伊坂幸太郎が登場! いや、伊坂幸太郎の10冊ではなく、伊坂幸太郎が島田荘司の10冊を紹介しているのである。本当なの?と疑う人は120ページを開いてみよう。さらに今月は中嶋大介プロデュースのエア本屋が出現。なんでもありの妄想書店を開店するのは石崎孝多と海野弘だ。さあ、どんな書店か、覗いてみてくれぃ。プロフェッショナルの流儀で和菓子屋さんが『和菓子のアン』に挑戦すれば、吉田伸子の「食えばわかる!」は久々に肉が入って、ムッシュも大満足。吉野朔実劇場が「エロ本魂」なら、内澤旬子の「黒豚革の手帖」は「恥のあとさき」と、なにやら怪しい気配もふんぷん。黄砂も煙霧もなんのその、桜吹雪よけにも使用可、の本の雑誌5月号で人情人情演芸場だあ!

目次

今月の一冊

吉野朔実劇場/エロ本魂 吉野朔実 
新旧いろいろ面白本/美しい海女の世界 椎名 誠 
ひるね優先読書録 宮田珠己 

特集:やっぱり人情ものが好き!

対談/人情小説五番勝負
勝負師の壮絶な人情 大竹 聡
SFにも人情はある! 大森 望
女子の人情を探せ! 高頭佐和子
甘えん坊から気配りまで人情度いろいろ 西上心太
読者アンケート/この人情小説が好きだ!
おじさん三人組、浅草演芸ホールに行く!

黒豚革の手帖/恥のあとさき 内澤旬子 
なんでもありだぜ エア本屋!! 文/中嶋大介・イラスト/死後 
活字に溺れる者/わたしとアップダイク 荻原魚雷 
プロフェッショナルの流儀/読めば和菓子が食べたくなる! 村山昌一 
トヨザキ社長の「寄らば斬る!」/いとうせいこうの真っ直ぐな覚悟 豊﨑由美

新刊めったくたガイド

極限まで煮詰めたイヤ波動砲をくらえ! 矢口 誠
するりと入り込む“嘘”をめぐる短編集 佐久間文子
ミエヴィルと法月のダブル5つ星だ! 大森 望
書評家の荒唐無稽な大冒険にドキドキ 関口苑生
家族を励まし苦しめる言葉の記憶 間室道子
幻の裏オリンピック「ガネホ」の謎に迫る! ハマザキカク
時代小説界の新エース澤田瞳子を見逃すな 北上次郎

シーラッハの長編『コリーニ事件』に釘づけ! 穂井田直美
BLと電子コンテンツ 大井潤太郎
やわらかい考え方の『小さな建築』 渡邊十絲子
直球勝負の宇宙冒険SF『巨獣めざめる』に驚愕 山岸真
エプロンおじさん 浅生ハルミン
年2269冊購入と忍び寄る恐怖 水鏡子
藤野、小林、パワーズの三所攻めだ! 榎本文昌
超ビビッドな『横尾劇場』の三重カバー 津田淳子

百歳までの読書術/忘れる 津野海太郎 
坪内祐三の読書日記/東京堂書店は『読むことのアレゴリー』を三十冊以上売った 坪内祐三 
連続的SF話/ノイズと暗黒の街 鏡 明 
南の話/陰惨なはずなのに 青山 南 
吉田伸子の「食えばわかる!」/ひとつに混ぜ合うチャプチェ 吉田伸子 
ベストセラー温故知新/日本一売れたホラーの戦い 入江敦彦 
日本SF戦後出版史/〈洋酒天国〉と〈鉄腕アトムクラブ〉の巻 高橋良平 
たくさんの言語 円城 塔 
歴史冒険好き必読『マルタ島大包囲戦』 風野春樹 
豪快痛快なソフロニア嬢登場! 池澤春菜 
鈴ヶ森おはる殺しの奇妙な裁判 柳下毅一郎 
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引

続・棒パン日常▪リスペクト熱 穂村 弘
三角窓口/BL本を買ってなかった自分をホメた日 他
子どもの寝てる間に 古幡瑞穂

新・キムラ弁護士のありふれない一日/マインドコントロール4 木村晋介 
歩く旅/中国・浙江省のお寺めぐり 沢野ひとし 
島田荘司の10冊/豊かで広大な島田山脈の入り口 伊坂幸太郎 
後記

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