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2014年10月 桃栗三年いも天号 No.376

 日記といえば、誰にも読まれないように鍵をかけて引き出しにこっそり隠しておくもの、という時代からブログで世界に発信する時代まで、日記を取り巻く状況は大きく変わった(気がする)が、しかし。他人の日記は楽しいという本質は変わらない! というわけで、本の雑誌10月号の特集は「日記は読み物である!」。日記を書いて67年、蒐集歴も61年!という「歩く日記」青木正美インタビューから、プライベート日記コレクター対談に総勢29人が選ぶ「私の偏愛日記」、坪内祐三が明かす五年前の「本日記」にシンポ教授の日記体小説の謎、そして読者アンケート「この人の日記が読みたい!」まで、読んで愉しい日記の世界へいざなう31ページの大特集。さあ、今日からあなたも三日坊主だあ!

 新刊めったくたガイドは、酒井貞道が現代中国の巨大なスケールに挑む『北京から来た男』に圧倒されれば、佐久間文子はフルスピードで駆け抜ける舞城訳ジョーンズにクラクラ。大森望が年間ベストを争う傑作SF2連発に大興奮なら、関口苑生は三津田信三の怪異譚がこわいぞぉ〜とブルブル。間室道子が今福龍太『書物変身譚』で本と人の「死」を思えば、ハマザキカクは旅客機からうんこまで驚愕のマニアック図鑑に舌つづみ。そして北上次郎は読み始めたらやめられない、薬丸岳『神の子』がすごい!と大絶賛。この物語はいったいどこに向かっているのか、ページをどんどんめくって確認しよう!

 今月は「図書カード三万円使い放題!」に長嶋有が登場! 絵本、文芸、漫画、雑誌売場と広い店内をゆったり歩き、猟書のはてに遭遇したラスボスとは何か!? 要チェック。そして、帰ってきた乙女派書店員がケータイ小説文庫を読み比べ、「俺様男子に気をつけろ!」と本物乙女にアドバイスすれば、七月号で絶景書斎を公開した松原隆一郎は夢枕獏の10冊を巴投げでえいやっと紹介。さらに高野秀行の「朝ひとときの旅」は4ページでパワーアップだ。さあ、一日坊主も三日坊主も十日坊主も、本の雑誌10月号で三年連用日記にチャレンジ。読書日記で読書の秋をスタートさせよう! 

目次

今月の一冊

図書カード三万円使い放題!/ラスボスとの遭遇 長嶋 有
ひるね優先読書録 宮田珠己

特集:日記は読み物である!

青木正美インタビュー/赤裸々な描写で人となりがわかる!
対談/日記は読まなくても楽しいのだ! とみさわ昭仁vs中嶋大介 
総勢29名が選ぶ!私の偏愛日記
五年前の日記帳から 坪内祐三 
日記体小説はなぜ数が少ないか 新保博久 
読者アンケート/この人の日記が読みたい!

着せ替えの手帖/衝撃的女装 内澤旬子
朝ひとときの旅/“皇帝”を目指すランナーたち その2 高野秀行
乙女派書店員☆ケータイ小説文庫読み比べ/俺様男子に気をつけろ! 高頭佐和子
新旧いろいろ面白本/一冊で二度面白い中野不二男のコラム・エッセイ 椎名 誠

新刊めったくたガイド

現代中国の巨大なスケールに挑む『北京から来た男』 酒井貞道
フルスピードで駆け抜ける舞城訳ジョーンズにクラクラ 佐久間文子
年間ベストを争う傑作SF二連発だ! 大森 望
三津田信三の怪異譚がこわいぞぉ〜 関口苑生
今福龍太『書物変身譚』で本と人の「死」を思う 間室道子
旅客機からうんこまで驚愕のマニアック図鑑 ハマザキカク
読み始めたらやめられない薬丸岳『神の子』がすごい! 北上次郎

月村了衛怒濤の快進撃『土漠の花』に男泣き! 宇田川拓也
違法ファイルと中学生逮捕 大井潤太郎
にごりを濾しとる柴崎友香のフィルター 倉本さおり
SF的想像力に満ち溢れた『2312─太陽系動乱─』 山岸真
見ること、とらえること 浅生ハルミン
街の本屋がなくなるということ 水鏡子
「文學界」堀川惠子の撞木反りだ! 榎本文昌
鈴木成一『デザイン室』にやられた! 津田淳子

活字に溺れる者/眉村卓のエッセイ集を読みました 荻原魚雷
百歳までの読書術/「書く」よりも「読む」がいい 津野海太郎
坪内祐三の読書日記/映画『幻の湖』の主人公がトルコ嬢だったのはそういうことだったのか 坪内祐三
連続的SF話/「読むな」の本 鏡 明
南の話/美しい恋にするよ 青山 南
鬼花│鬼刑事・花篤好美/手製のマタニティドレスはフリル付き 中場利一
言語と世界の見え方   円城 塔
忘れられた細菌学者のユニークな評伝小説 風野春樹
大人気ない大人の本気を見よ! 池澤春菜
加藤智大がたどる人間への道 柳下毅一郎
今月書いた人
今月本の雑誌に遊びに来た人
掲載図書索引

続・棒パン日常/ジャンル 穂村 弘
三角窓口/作家はシロウトのほうがモテるは本当か? 他
子どもの寝てる間に  古幡瑞穂

新・キムラ弁護士のありふれない一日/後遺症 木村晋介
歩く旅/チャイナドレスの母 沢野ひとし
夢枕獏の10冊/困難に挑戦し続ける流行作家 松原隆一郎
後記

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