このラノ大賞で栗山千明と握手!
文=大森望
宝島社が主催する新設の公募新人賞、「このライトノベルがすごい!」大賞の授賞式が9月14日、東京・赤坂のホテル・ニューオータニで開催された。特別選考委員をつとめた女優の栗山千明さんは、真っ赤なチューブトップのミニドレスに身を包んで登壇。受賞作5作について1作ずつコメントしてから、受賞者とひとりずつ握手し、みずから賞状と目録を手渡す大サービスだった。
受賞作5作は、新創刊の「このライトノベルがすごい!文庫」(略称このラノ文庫)から9月10日に一斉に刊行された。
大賞受賞作の大泉貴『ランジーン×コード』は、言語による現実改変をモチーフにしたSF系の現代異能バトル。章題の「逆転世界」や「あなたの人生の物語」に反応する人はお見逃しなく。
金賞の里田和登『僕たちは監視されている』は、私生活のネット中継がIPI症候群(情報依存型の強迫性障害)の治療行為として職業化されている----という近未来SF設定の学園ドラマ。"ダダ漏れ女子"がラノベの萌えキャラに!
栗山千明賞に輝く大間九郎『ファンダ・メンダ・マウス』は、ノリノリの日本語ラップ文体で突っ走る、ライトノベル史上初のヒップホップ青春小説。この文章力なら文芸誌の新人賞も獲れたかも。
特別賞のおかもと(仮)『伝説兄妹!』は、ダメ大学生が遺跡で拾った少女(詩の天才)を自宅に連れ帰り、妹として同居させる奇天烈コメディ。詩で一攫千金!というぶっ飛んだ発想と異常なキャラがすばらしい。
優秀賞の木野裕喜『暴走少女と妄想少年』は、飛び降りてきた少女に主人公が鎖骨を折られる名場面から始まるハイテンションな学園ラブコメ。
それぞれ個性的な5人の新人の今後に注目したい。
(大森望)