100冊突破目前!──『だいたい四国八十八ヶ所』だいたいこんな感じで売れてます日記
文=本の雑誌特派員
「読んでつまらなかったら返金します」という掟破りの販促で『だいたい四国八十八ヶ所』宮田珠己著(本の雑誌社)を売り場で展開している丸善ラゾーナ川崎店。その担当の沢田さんから売れ行き報告が届いたぞ。果たしてどうなっているのか!?
ちなみに沢田史郎氏による書評はこちらに掲載されてます。
●1/27(木)晴れ
日直:沢田
さて......。今日の日記は、果たしてどうしたもんだろう。忘れたフリをしてしらばっくれて、このまんまフェイドアウトしてしまおうか......。そもそも「だいたいこんな感じで売れてます日記」なんて報告する気まぐれをおこしたのは何故なんだ、俺。この先まだ30日も続けられるのか?
だってさぁ、今朝出勤してみたら我が愛しの『だいたい四国八十八ヶ所』の昨日の売れ、僅か1冊だけなんだもん。読んで後悔したら返品受けますって言ってるんだから、みんな取り敢えず深く考えずに買ってくれたって良いではないか。何をそんなに警戒しているのだ? つっても、その後、返品希望者が怒濤の如く押し寄せても、それはそれで悲しいんだけど。
いや待て、俺。今回の返品OKキャンペーンは、煽るだけ煽ってこの本を必要としない人にまで買わせようという、そういう悪徳商人みたいな趣旨ではなかった筈だ。
宮田珠己という人の書いたちょっと可笑しなエッセイを、読んだ上で「趣味に合わない」と言うなら仕方が無い、諦めよう。が、一度読んでくれさえすれば「コレ面白い!」と喝采したくなる、そんな趣向を持つ人も世の中には決して少なくないと思うのだ。そういう人が、タマキング節を一度も体験することなく〝知らないから〟というだけの理由で手に取らないのは、我々も悔しいが、そのお客さん自身も損ではないか!?
そんな思いから始めたのが、この度の《読んで後悔したら返品受けます》キャンペーンだった筈ではないか。焦るな、俺。まずはこの本を、届けるべき人にしっかりと届けること、それだけを考えよう。
......と、無理やり結んで、上を向く。
●1/28(金)晴れ
日直:沢田
昨日の売上を確認すると、5冊と多少持ち直してまずは一息。ホント、あのまんま売れ行きが止まっちゃったらどうしようかと思ったよ。やれやれ、世話の焼ける本だな。
そんな訳でいつも通りバタバタと開店準備に勤しんでいると、オジサン書店員同盟の同志、千葉県は松戸市の堀江良文堂書店T氏から、『だいたい四国八十八ヶ所』販促用のパネルがPDFで届く。彼とはこれまでにもお互いが気に入った作品を一緒に販促したことが何度かあって、その度にパネルだのPOPだのを作って貰っていたのだが、今回も相変わらず良いデザインだ。早速プリントアウトして店頭へ。うむ、映える。
どーせ俺はPOP下手だよ、悪いか?
●2/3(木)晴れ
日直:沢田
ここんとこ日記をサボりがちだったのは、本が売れていなくて書き難かったからでは、勿論ない。販売業の宿命、店卸しがあってちょっとそれどころではなかったんだな。全く、世界で初めて店卸しを考え出したのは、一体どこのどいつだ? 余計なことはするな、と言いたい。
で、その間も我が『だいたい四国八十八ヶ所』は堅調に売上を重ねていて、
1/28(金)⇒6冊
1/29(土)⇒5冊
1/30(日)⇒7冊
1/31(月)⇒3冊
2/1 (火)⇒6冊
2/2 (水)⇒5冊
と、決して派手ではないが毎日着実に読者が増えている様子。
気付けば累計の売り上げも89冊まで伸びており、しかもそれ以上に嬉しいのは、今のところ返品が1冊も無いという事実。無論、89人のお客さんが全てこの本を気に入ってくれたと楽観するのは早計だろうが、それでも大多数は「買って損した」とは思っていないと言って良いのではあるまいか。まぁあくまでも、〝今のところ〟という限定付きではあるけれど。
そんな訳で、宮田さんの四国遍路同様、売り上げも地道に一歩一歩距離を伸ばしている感じです。明日も頑張ろう。