打倒!本の雑誌!! 『とつげき!シーナワールド』編集部緊急コンニャロ対談 シーナとニシザワが吼える!!第2回「ツマラナかったら廃刊だ!」

文=本の雑誌特派員

「とつげき!シーナワールド!!」の創刊に向けて編集長とデスクがその想いを語る"編集部緊急コンニャロ対談"の第2回が届きました。創刊もしていないのになぜかもう廃刊の言葉が?! 果たして二人はどんな想いでこの雑誌の厳しい時代に創刊しようと思ったのか。
 


第二回 「ツマラナかったら廃刊だ!」
 

ニシザワ:さて、じわじわと「とつげき!シーナワールド!!」の話に進めていきたいわけですが、打倒!本の雑誌!ということで、もう少し敵の話をしましょうか。
 

シーナ:そうだな。「本の雑誌」のここ数年での大きな転換点は、神保町に引っ越したことだと思う。それまでは俺の事務所ビルに入っていたわけだけど、「いつまでもそれじゃあダメだろう。自分たちで仕事場くらいは何とかしろ」って話をしたわけなんだ。
 

ニシザワ:「本の雑誌血風録」では、シーナさんと目黒さんが四谷三丁目で家賃5万円の事務所を借りるくだりがありますが、この時にすでにシーナさんと目黒さんは「本の雑誌の売上だけで採算を成り立たせたい」とありますね。
 

シーナ:うん、いまの本の雑誌社も神保町に移ることによって、覚悟したというか腹をくくったというか、結果的にはいい効果が出ていると思う。どんどん単行本を出しているし、それによって読者の目にも「ああ、動いている雑誌社だなあ」と見えるわけだろうしね。
 

ニシザワ:なるほど。話は変わりますが、シーナさんは「本の雑誌」を立ち上げるときに、「本が好きで―というよりも、雑誌編集というものにとにかく興味があった」と、やはりこれも「本の雑誌血風録」にあります。雑誌編集のどんなところに興味があったんですか?
 

シーナ:雑誌って、少し乱暴に言えばちょっと長めの総合カタログみたいなもんでしょ。どっから読んでもいいし、つまらない記事が1本、面白い記事が1本あればそれで相殺されるところもあるからね。そんなに肩肘張って、なにがなんでもいいものを作ろうと思わなくてもいいという、そんな感覚は世の中に昔からあるよな。けれどもだからこそ、自分で楽しまないとツマラナイわけだよ。この「とつげき!シーナワールド!!」も、俺やニシザワやスタッフの連中が面白くなくなったらすぐに廃刊にした方がいいわけだ。
 

ニシザワ:創刊もまだなのに、いきなり廃刊の話ですか......。「本の雑誌」も、「とつげき!シーナワールド!!」も、"版元"としてシーナさんがすべての責任を負って発行するわけですけど、「本の雑誌」とこの新雑誌では創刊時の環境として、シーナさんの立ち位置、平たく言えば知名度がまったく違う、という点が大きな違いですな。
 

シーナ:違うという点が違うのかな(笑)。まあ、自分で言うのもいかがなものだけどさ、この「とつげき!シーナワールド!!」というタイトルはニシザワがこしらえたものだけれど、考えてみるとなるほど、自分はこれまでいったいなーにを面白がってきたのかっていうさ、そんな話の連続になるんだろうなあ。
 

ニシザワ:面白いんですけどね、販売部長のスギエやデザイン班のカネコ、担当ライターのタケダなどスタッフのみんながツイッターやホームページで「とつげき!シーナワールド!!」の事前告知をやってくれてるわけなんですけども......。
 

シーナ:なんだ、そのツイッターって。
 

ニシザワ:いえ、知らなくていいです。要は世の中のみなさんの反響というものが返ってくるのですが、その文面がみんな「シーナさん」って表記なんですよ。もちろん、新雑誌のタイトルが「シーナワールド」ですから、そういった返事になることもあるでしょうけど、明らかに「椎名誠」でなくて「シーナマコト」なんですよね。作家「椎名誠」。写真家「椎名誠」。だけど「シーナ」にした瞬間に大きく何かが崩れていくというか......。
 

シーナ:崩れるかあ。
 

ニシザワ:あ、スミマセン。崩れるのではなくて、こう......広がるとでもいいますか。この新雑誌はカタカナの「シーナ」とはなにか、を詳らかにしていくことになるのかなあと思っていますよ。
 

シーナ:その意味では、「飲んだビールが5万本!」と、酒をテーマに酔っ払い話を最初にするってのはよかったんだろうなあ。いいかげんで......。
  

ニシザワ:さて、もう少しだけ「雑誌」について話を。シーナさんに多大な協力をいただきつつ、僕も「自遊人」という雑誌に携わっているわけなんですけども、いまホントーに雑誌を売るのが大変な、そんな時代です。どんな企画、特集も読者の知識や想像の範疇を超えていかない、ワクワクさせることができない。かたやインターネットの世界では、アフリカでいま起こっていることがそのままライブ映像で見れてしまう・・・動画サイトでは未知の情報に溢れている......。


シーナ:まあ、そうなんだろうけどさ、インターネットって寄席の瞬間芸を観てるようなものでさ、思索するものではないじゃないのかな。やっぱり活字っていうのはさ、見て、刺激されて、思い、考えるってことに本質的な意味があるわけでさ。決していまの世界同時多発的なコンピュータの動きがあったとしても、800万人が笑っている動画があるとしてもさ、俺は笑わないぞっていう感性は大事だと思うよ。俺は別のことに興味があるからなっていう。それが800人であったとしても俺はそっちに入りたいよ。
 

ニシザワ:やっぱし、新雑誌も500部くらいからスタートしてですね......。
 

シーナ:湿気た話をするもんじゃないよ。おい、ビールおかわり。
 

(10月吉日。帰国フライトまで1時間に迫ったバリ島にて)    

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