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【文藝春秋】
山本文緒
本体 1,333円
2000/10
ISBN-4163196307
今井 義男
評価:AAA
どの作品もさらっとした読みやすい文章なのに懐の深さがある。なにしろ普段こういう小説を読みつけていないのでうまく説明できないのがもどかしいが、本を読まない人が気の毒になるぐらい気持ちのいい時間を過ごすことができた。作者を周知の人なら当然のことなのかもしれないが、なぜこんなにも人の心の綾が生き生きと描けるのか。ルンちゃんのだらしなさ、チビケンの切なさ、カトリーヌのとまどい、美都の迷い、マジオの不器用さ、すみ江の可愛さを、私の拙い言葉で知る必要なんかない。すぐに書店へ直行すべきだ。この短編集には確かな<小説力>がある。過去の作品を遡ることは滅多にしない私だが、久々にそんな誘惑にかられた。許されるものなら下手な文章を書くよりAを400字ぶん並べたいくらいだ。いまからでも遅くないから、ミステリしか読まない人は即刻考えを改めたほうがいい。随分損してるぞ。げに普通小説恐るべしである。
原平 随了
評価:A
山本文緒の新作にはいつも驚かされる。格別、文体が変わったわけではなく、目新しい題材が取り上げられているわけでもない。あいかわらずの山本文緒世界である。それなのに、この短編集も、やっぱり、ひどく新鮮だ。
キーワードは〈気分〉。ふてくされた気分、ちょっと肌寒い気分。悪意とか毒とかとは違う、厭世観とも違う、怨みがましさとはまったく違う、けれど、世の中に対しても、自分に対しても、捨てばちな気分、かなり投げやりな気分。この短編集のほぼ全編を、そんな気分がゆるやかに持続している。最後には、しっぺ返しを食らったりするが、それでもめげやしない。この気分は、しっかりと身体に馴染んでしまっている。もちろん、山本文緒作品には常にそれがあるのだが、この作品では、それがいつにもまして凄味を感じさせる。
『あいあるあした』という最後の一編は、ちょっとだけ異質だ。なんと〈俺〉が主人公である。それでもやっぱり、山本文緒世界である。ここで少しだけ気分が晴れるかもしれない。
小園江 和之
評価:A
これは帯にやられました。ただ表題作よりも「ネイキッド」のほうが「働かないことは決して楽じゃない」ってのが鮮明で切ないですけどね。主人公の、短期完全燃焼型性格(じつは飽きやすいだけ)でありながら、身に付けた上昇志向を捨てきれないやるせなさが実にいい。そしてラストに収められた「あいあるあした」。あたしゃこの作品だけでAをつけちゃってもいい。社会の(勝ち組路線)からは外れてしまってもなお染みついた生真面目さのため、同居する女性の飄々ぶりに翻弄される主人公が可笑しいやら哀しいやら。脇役陣も一癖ありそうで温かい。ぜひ十年後、二十年後のマジオさんを読みたいものです。
松本 真美
評価:B
相変わらず巧いなあと思うけど、この手のヒロイン達には食傷気味。「この手」って、5編それぞれ主人公は違うけど、みんな同じ印象。「囚われ人のジレンマ」に出てくる、「損の種をまいているのは、往々にして自分なんじゃないかな」が彼女らの共通のキーワードか。ある意味、徹底していてかっこよかったりもするが、身近にいられたら相当ストレス溜まると思う、「プラナリア」の春香あたりは特に。
「プラナリア」はホント、キツい話。でも、ウラ闘病記としてすっごくリアリティがある。確かに、病気したからって人間ができたり生きることの大切さに目覚めたりするとは限らない。でも、ふつうここまで書かないと思うけど。
なんだかんだ言っても、山本文緒は今後も新作が出るたび追いかけるんだろうな、私。それにしても、どうも彼女は年下に思えない。年下作家なんていっぱいいるけどさ。
石井 英和
評価:A
ヤクザでいるのは、ぬるい風呂に入ってしまったようなもの。そのココロは、入っていて気持ちのよいものではないが、かといって、出るに出られない(いつまでも温まれないんで)なんて、どこかで聞いた話を、なぜか思い出してしまった。あるいは吾妻ひでおのマンガに出てきた「シッポがない。引きずるものがなにもなくなってしまった」とか。現実という、ネットリと絡みついてくる生暖かい煉獄。が、それを拒否して、「何もないもの」と対面するのは嫌だから、人は、意味もない筈の「それ」にすがりつき、依存して、生きようとしてみる。煉獄は果てし無い。最後に収められている「あいあるあした」は、なんか「ちょっと良い話」っぽくて好きになれなかったが、まあ、オマケでAだ。
中川 大一
評価:B
「現代の〈無職〉をめぐる五つの物語」(帯の文句)。そうか、うまいところに目をつけたね。むろん、決して、リストラばやりのご時勢に乗じて売ってやろうなんて本ではない。仕事を持つ者の、無職へのあこがれと不安を上手に刺激する小説集だ(無職にあこがれてるって、俺だけじゃないよね?)。どれも、この人たち、この後どうなったんだろ?と思わせる。いい短編はこうでなくっちゃ。まず「ネイキッド」にご注目。仕事人間だった女性が離婚と同時に失職する。打って変わってマンガ喫茶に入り浸り、ルーズな服装で自堕落に暮らしだす。別に悲惨じゃないぞ。時間だけはたっぷりあるんだ。あー、羨ましい。だけど、二千万あった貯金もあっという間に細ってくる。ひたひたと押し寄せる不安。あー、やっぱ心配。あと、「あいあるあした」も秀逸。不思議なプー子に居つかれた居酒屋の大将の、苦悩と喜び。居酒屋の客たちを交えたアホなやりとりは、間違いなく笑える。
唐木 幸子
評価:B
仕事をしないでゴロゴロしている女が沢山、出てくる。読んでるこっちは会社の仕事と保育園児に毎日追いまわされているので、こういう女性は最も許しがたい。だが同時に、自分の忙しさって何なの、と焦ってしまうなあ。小説の世界でなくとも、物事の真実を捉えて自分の判断に正直に生きているのは忙しい人間ではなく、この女たちのように観察する時間と考える孤独を沢山持っている人たちだ、とわかっているのだ、私。いつも痛いところを突くなあ、この著者は。本書の5つの短編の中で、『囚われ人のジレンマ』が最も印象的だった。優等生的だが謎めいた恋人、朝丘君のキャラクターが実にリアルだ。若い恋人同士がそれぞれの損得勘定に引きずられて煮え切らない付き合い方を重ねる姿も、そうだろうな、と思わせる説得力がある。
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