「猫背の王子 」 評価:C なんというかとっても「お耽美」。私のようなガサツな感性しか持たぬ者にはちょっと気恥ずかしい世界であった。女が女たらしでも構わないし面白い。レズビアンが気持ち悪いのではなく「冬ざれの薔薇の花の上に宿る朝露」とか「ただれた夏のような味」とかいう素敵な比喩にひいてしまうのだ。が、自己陶酔もここまでやればいっそ天晴れ。清々しさすら感じる。絵画の趣味はいいけど服のセンスがなあ。なんて些末なところにブツブツ文句をたれながらも読み終わったあとの本には付箋が沢山ついている。反発しながらも惹かれるのは、あとがきの「ゲイはファッションではありません」という言葉と表紙の写真の魅惑的な肋骨があったからかも。