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勝手に目利き
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   熱砂の絆
  【二見文庫】
  グレンド・ミード
  本体790円(上下とも)
  2000/11
  ISBN-4576006762(上)
  ISBN-4576006770(下)
 

 
  大場 義行
  評価:A
  じいさまが話だす、ホラ話のような過去の壮大な物語。親友である二人が一人の女性を好きになる。親友同士が仕方なしに敵対関係に置かれる。なんて、どこにでも落ちていそうな話、まるで犬も喰わないような設定。数年の話が数ページで終わってしまうなど、欠点だらけの物語! のように見えるが、ぼりぼり読んでしまった。簡略化された過去もそのスピード感に拍車をかけ、親友の二人の心がこちらに伝わってきて苦しくなり、あげくに予想外のどんでん返しで熱くなる。もうラストの一文も利いてていいじゃねーか。最初、ふーんと覚めてだらだらと読んでいた自分が恥ずかしい。純粋に物語を楽しむ本だった。

 
  小久保 哲也
  評価:A
  冒険活劇だ。とにかく冒険活劇だ。どきどき、はらはら、わくわくと上下2冊があっという間。子供の頃に夢見た、冒険の世界の匂いをひさしぶりに思い出すことができた。場面展開もうまく、砂漠を背にしたピラミッドを見つめていたかと思うとベルリンのドイツ軍司令部に連れて行かれたり、敵に追いつめられたかと思うとロマンスが咲いてみたり、いや、ほんとに面白い。だけど、非常に残念なことがある。恥ずかしながら白状すると、ラストの一行が、僕には意味が分からなかった。気になって仕方が無いのだが、いまだに分からないのだからどうしようもない。仕方ないので、友人達にこの本を薦めて、さりげなく聞いてみようかな、などと思っている。ただいま、読解力の無さを反省中。

 
  佐久間 素子
  評価:C
  固い友情で結ばれたアメリカ人青年と、ドイツ人青年、ユダヤ人娘が、第二次世界大戦でひきさかれる。三人の再会は、ナチスの極秘任務をめぐる敵味方としてだった。任務が始動する上巻後半まではだるかったけれど、後は一気呵成という感じ。頻繁なカットわり、ストレートな展開と人物配置、チンケな邦題すらも一昔前の映画感覚だ。名前すら覚えられれば、あまり脳みそを使わずに娯楽作品として楽しめる。長いから読みごたえも十分だ。人物には少々難有りで、特にヒロインがつまらない。と、憤慨するほど書き込まれているわけでもないのだが。女性票が欲しいのなら、お人形ではない生きたヒロインが必要だろう。

 
  山田 岳
  評価:A
  スパイ小説のハラハラドキドキを早く楽しみたい人は上巻121ページから読みなはれ。エジプトの好きな人、青春小説の好きな人は、最初からでもかまへん。そのくらいタッチがちゃう。せっかちな人が最初から読みはったら、いつになったら終わるねん!?この発掘仕事は!!と、イライラしはるかも。とばした分はカバーのあらすじでわかります’(笑)。60年代の戦争映画の傑作みたいや!

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