「猫背の王子 」 評価:E エキセントリックなヒロイン・ミチルに、最後まで感動も感情移入もできな かった。 かといって、嫌悪感や恥ずかしさを覚えたわけでもない。破滅型青春小説だと いうのに、あくまでニュートラルな読後感。我ながら嫌味な読み方だ。ミチルの感情の起伏はたしかに激しいが、その揺れは刹那的で、全体としてはむしろ無感動な印象だ。基本ベースは不幸寄り、すべてに我慢しているような姿勢はストイックですらある。ミチルは感情をコントロールできないのではなく、しないのだ。その賢さが私の読み方を冷静にさせる。多用される耽美っぽい比喩も大仰で、その都度、気がそれるため逆効果だ。