「猫背の王子 」 評価:C 明るい闇夜に響く、背徳でポジティヴな旋律。人はいつだって目標に向かって突っ走ることはできない。そんなに単純じゃない。人の気持ちだってカオスなのだ。でも他人からは、その複雑さはわからなかったりする。主観は対象を歪ませる。やわらかなヴェールを透かして対象をみる。演劇は、一度はまると溺れてしまう。ドボドボと沈んでいく。自分の演技に鳥肌立てて、書いた脚本に陶酔して、演出しながら痺れちゃって、その場でもう、死んでもいいって本気で思う。この主人公もそうなのだろうなぁと思う。ヴェールをはずした舞台のライトの中で、自分の本質と出会い理解して、フタをして決別する。この主人公は破綻直前なのになぜか前向きな匂いがする。ちょっとイイ感じだった。