「穢れしものに祝福を 」 評価:B+ ハード・ボイルドと呼んでいいのだろう。ただし、このシリーズの語り手である、探偵のパトリックは完全には孤独でも非情でもない。彼にはアンジーという心から信頼でき、一心同体といってもいいパートナーがいる。それでも、その「パートナー以外誰も信じることができない」というぎりぎりの追い詰められた状況の中で、情け容赦なく徹底的に謎を解決する。何ごとも中途半端にはせず、借りはきっちりと返す。まさにハードボイルドの真骨頂。読者を本当に楽しませてくれる。暗い話だが、読後感は爽やかだ。それでもAをつけなかったのは、「パトリック&アンジー」のシリーズが面白いのは当然だということ。それに、前作でどん底まで落とされた二人なのだから、今作で立ち直るのは読む前からわかり切っていたということがあったからだ。それから、ブッバがあまり活躍しないのでブッバファンの方には物足りないかも。