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そして粛清の扉を
【新潮社】
黒武 洋
本体 1,700円
2001/1
ISBN-410443101X
今井 義男
評価:AAA
逃げ場のない子供を追い詰める大人、なんのためらいもなく弱者を踏みにじる少年たち。世も末である。この物語では後者が殺戮の標的になる。舞台はもはや教育現場の体をなさない高校の一クラス。屠られる生徒は全員人間の屑である。沈着かつ怜悧な女教師の振る舞いは寸分の狂いもなく計算し尽くされており、教室内でのホロコーストは真の狙いを覆う絶妙な隠れ蓑になっている。空虚な異議を差し挟む隙を与えない人物像。刻一刻とデッド・リミットが近づくにつれ仕掛けが増していく巧妙なプロット。カタルシスとカタストロフィーを同次元で成立させてみせた結末。どれをとっても第一級のサスペンス小説である。どうせ反モラルを標榜するならここまで徹底的にやってもらいたいものだ。残虐さをあげつらう批判が噴出することだろうが、耳を傾けるには及ばない。いつの時代も子供に多大な影響を与えているのは小説やビデオではなく、我々大人が放置し増幅させた社会の歪みなのである。
原平 随了
評価:B
抜群におもしろい。高校の女教師がクラスの生徒全員を教室に監禁し、一人づつ殺していくという相当に強引なお話であるにもかかわらず、物語の進行に読み手をぐいぐいと引きずり込んでいく、この筆力は大したものだと思う。オチも見事に決まっていて、コレは傑作だ!と拍手したいところなのだが……、実は、読後感は、あまり、(というか、かなり)よろしくない。それは、この小説のテーマが、倫理上の一線を越えてしまっているからではなくて、どのように復讐を正当化しようとも、実のところ、ストーリーを成立させるための、都合のいい理屈でしかないということが、あまりにもあからさまだからだ。これほどうまい作家なんだから、こんなあざとい作りじゃなくとも、じゅうぶんにおもしろい作品が書けると思うのだが。
小園江 和之
評価:B
仕掛けとしては上手くできていますし、因果応報原則に当てはめようにも加害者に手厚い法制度を逆手にとるような下司どもに下される、私的処刑のカタルシス……だけではなく、ここで断罪される高校生達は身勝手な親の投影でもある、って書くことで単なる復讐ものでないことを強調してもいます。で、面白いことは分かりますし、一気に読めたわけですが、大量に死体が出てくるわりにはあんまりおぞましさが感じられないんでした。後半、マスコミを利用しての「公開賞金稼ぎ募集」が出てきたときには、筒井康隆さんの『ワイド仇討ち』を思い出してしまいましたし。それまでまったく銃器に無縁だった中年女性が、一発も外さず、しかもほとんどがヘッドショットで、あげくはシングルハンドでも正確無比な着弾ってのは、ねえ。映画の『ニキータ』がリアルなのは、前半これでもかと描かれる訓練シーンがあればこそ。ま、その辺を気にしないなら楽しめると思います。
松本 真美
評価:C
『バトル・ロワイアル』には感動した。ありていに言えば、命のたいせつさと人を想うことのせつなさを学んだな私。単純に驚かされぶっ飛べたことも爽快だった。で、『バトル・…』と何かと比較されそうなこれだけど、第一稿としてならA。もっと書き込んで、ヒロインが事をしでかすまでの心身の過程や生徒達の内面や意外な役割だった○○の苦悩をちゃんと描いてくれないと。だって、そういう背景があってこそ、すっごくハジける話じゃん。確かに、展開に勢いはあるし、よくもこんな話を書いたもんだ、とは思ったけど。むしろ漫画の方が合ってる世界だと思った。漫画だと逆に検閲されちゃうかもな。でも、スピード感のある浦沢直樹とかの絵だとマジで面白いと思う。直樹で漫画家でも山本直樹さんじゃありません、悪いですけど(誰に?)。
石井 英和
評価:D
凶悪犯罪の実行者が映し出されたTVの画面を指さし、「こんな奴らはぶっ殺しちまえばいいんだ!」と宣告を下す、そんな「茶の間の社会評論家」のコメント、そこに復讐劇のテイストも加えた作品かと思う。しかし、それ一本で押し切る直線的なスト−リ−では、「単調ゆえの退屈」といった感想が生まれてしまう。あまりバタバタ人を殺していっても、死が記号化し、意味が希薄になるばかりだ。幾つかのアイディアを挿入しているが、それはあくまでも話の枝葉でしかなく、物語は結局、なるようにしかなって行かない。途中、述べられる「犯人」のライフスト−リ−が取ってつけたように感じられたのだが、それも、物語にその話が納まるべき幅がないせいだろう。肥大化した自我の発する一方的な主張からは単線的な物語しか生まれ得ない、その実例ではないのか。
中川 大一
評価:A
むかし、『処刑教室』って映画あったでしょ? 生徒たちに妻をレイプされた教師が、学校内で復讐してまわる、ってやつ。あざとい手法だったけど、一番の憎まれ役が殺られる場面では、さすがに溜飲が下がったっけ。本書も同工異曲、でも現代の小説らしい趣向と設定で、読み応え抜群だ。ただ、あるクラスの生徒全員、あるいは出てくる若者のほとんどをアホ一色で塗り込めちゃったのはどうか。一つには、悪というのは善との対比でより効果的に浮き彫りにされるものでしょう? もう一つは、この書き方だとよくある世代論になっちゃって、少なくとも部分的には社会的な読み方をせざるをえない。十代の現実はどうこうとか、少年法の是非、とかね。それって、エンターテインメントとして多くの読者を獲得するには、あるいは文句なく楽しむ上で、足枷になるんじゃないかなあ。いやいや、こうしてあれこれ考えてること自体、すでに作者の術中にはまってるってことかもしれないね。
唐木 幸子
評価:A
怖さから言ったら『鬼子母神』の方が怖い。しかしどちらが面白いかと問われれば、やはり本作の方が面白かった。ストーリー展開に次へ次へと頁を繰らせる勢いがあり、その強さに圧倒されて一気読みだ。いくら最愛の娘を殺されたからって、ついこの間まで普通の高校教師だった中年女性が、なんで29人もの不良生徒と警察を相手に回して戦い抜けるのか、どうしてそんなに強いのか、という疑問は最後まで残る。最終コーナーを回ってからその真相は明らかになるが、そこには意外性や伏線の数々だけでなく、弱く寂しい人間同士が助け合い信頼しあう姿があり、そのひたむきさに打たれて一瞬、この大殺戮を許す気になる。そういう読む者の共感を呼ぶという面で断然勝って、本作は大賞を受けたのだと私は納得した。
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