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赤目四十八瀧心中未遂
【文春文庫】
車谷長吉
本体448円
2001/2
ISBN-4167654016
石井 千湖
評価:C
「心中」ではなく「心中未遂」なところがポイント。あまり馴染みのない漢字や言い回しが多く文体も独特なリズムで面白かった。鍵括弧に句点がつく小説は現代文学ではあまり見ない。マルがつくと同じ言葉でもまるで印象が違う。「忌まわしい過去。」「愛の内容物。」「モーニング娘。」インテリのくせに中流の生活を憎んでわざと底辺(と自分が思っている世界)に身を沈める「私」は傲慢としか言いようがなく受け容れてもらえないのは仕方がない。「私」には自覚はあるが、だからといって好きにはなれんな。こういうのを読むと男って感傷的ねえ、と差別的なことを言いたくなる。アヤちゃんやセイ子姉さんにはそこでしか生きられない現実があるけど「私」にはないから。
内山 沙貴
評価:A
朽ちたベニヤの板に刺さったカミソリの刃、暗い土管の穴からのぞくギロリと光る眼、閉じるたびに蝶番の取れるボロい木枠の戸。苦しい。生き地獄という文字が近くで点滅する。縛られたロープで底なしの丘の上から吊るされてビュンビュン振り回される。初めは読み難いと感じていた文章に気づくと飲まれていた。しかも首のあたりまでどっぷり浸かっていた。何かが引っかかるわけでもない。本を開けばまた、読み難い悲惨な文が目に飛び込んでくる。やっぱり難しくておかしな文章じゃないか。そう思うのに頭の上まで浸かってしまう。白い女の透き通るような首筋、他者を頑なに拒む子どもの命を懸けた怒号、節の異常に発達した男の土気色の指先。人間は化物になり、時は容赦なく吹き溜まりを掃き去る。黒い穴の中からギロリと光る木刀のような視線。くっ付いては離れない粘着質な息遣い。私はこの化物の臓腑の中に、どっぷりとはまった。
大場 義行
評価:C
とにかく読書中、ずっとなんだか悪夢の中に捕らわれているかのような感覚がした。しかも恐ろしい事に悪夢らしく、読了後には気味の悪い夢だったとしか残らない。蝦蟇の腐乱死体、様子を見にきたのか、馬鹿にしにきたのかさっぱり判らない男、隣から聞こえてくる念仏のような言葉、「血だらけのコック」。意味の無い、細かな謎の描写を繰り返し見せてくるために、ほんとうに気味が悪いわけだが、ほんとうに気味が悪いのは、この本を書いた作家自身と、この本が賞を取ったという事だろう。
操上 恭子
評価:E
なんでこれが直木賞なのだろう。受賞した時にもちろん物議をかもしたわけだけど、「気軽に楽しめる大衆小説」のつもりで直木賞受賞作を買った人が怒るよ、これじゃ。わざと読みにくくしているとしか思えない言葉づかい、仮名づかい、見なれない漢字。最後まで慣れることができなかった。しかも、この主人公自分のことを「私」というのだ。一人称の小説だから、地の文での私ならいい。だが、こいつは話している時も「私」なのだ。それも気取ったり緊張したりしているわけではない。場末のボロアパートで臓物を串に刺すというケチな仕事をしている時やホテルで女を抱いている時に自分のことを「私」と呼ぶ。そんな奴が側にいたら走って逃げるぞ、わたしは。
小久保 哲也
評価:A
部屋に閉じ篭り牛や豚の贓物を切り刻み、鳥の肉を腑分けして串刺しにする。部屋のなかには、血と脂の匂いがこびりついている。読んでいて指先がぬるぬるする。思わず眉をしかめてしまう状況なのに、やがてその手触りや、匂いも気づかなくなるくらい、主人公に同化して行ってしまう。そうして、主人公と一緒に、向かいの部屋から聞こえてくるうめき声に耳を澄まし、階下の女性に想いを馳せてしまうのだ。とても作られた物語のようには思えないほどの現実感がそこにある。まさにこれこそが小説を読む醍醐味だ。どんでん返しや、意表を突くプロットの巧みさ、みたいなものを期待する人には、ちょっとどうかな?という作品だけど、そういう人にもぜひ読んでほしいけどね。という意味を込めて、A。
佐久間 素子
評価:B
一種、異常な迫力で生が描かれる。アパートの一室で、モツを串に刺して生計をたてている主人公、酷薄な彫師、その美しい情人アヤちゃん、男を連れ込み不可解な呪文を唱える老娼婦。息詰まるようなそれぞれの暮らしは、湿度や臭いまで感じられる。不思議なことにその風景に、不幸や絶望というような言葉は似合わない。ただ生という行為が転がっているだけだ。「うちら人間や言うてるけど、ほんまは人間の皮被った毛物やもん。」というアヤちゃんは、それでも聖女のようである。生身の聖女は、背中に極彩色の迦陵頻伽をもち、奈落の深さを知っている。本の外から覗いても、深くてこわくて涙が出そうだ。
山田 岳
評価:A
重厚な文体にさ’いしょから圧倒されてもうた。私小説は、太宰治のようにじ’ぶんを道化にしはるか、壇一雄のようにじ’ぶんを責めたてるかしはって、はじめて「許される’」小説やのんけど、車谷はんは壇タイプやね。主人公の「私」は、じ’ぶんでは世間を捨てたつもりになってはんのやけど、そのわりに、ま’わりで起こらはることに、いちいち「あッ」てびっくりしはんねん。び’っくりしはるのは、まだこ’ころが死んでへん証拠や。ま’わり(=中上健次的ディープな世界)の人たちも、そのことに気づいてはんねん。そやさかい「私」はますますじ’ぶんを責めはって、崖の下にじ’ぶんをつきおとそうとしはんねんけど、ま’わりの人にも、読者にも、悪あがきにしか、見えへん。インテリはくその役にもたたへん、と見切りはった作者はえ’らい。
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