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ハルモニア
【文春文庫】
篠田節子
本体686円
2001/2
ISBN-416760504X
石井 千湖
評価:B
作中で何度も東野は「これは由希の音楽ではない」というようなことを言う。臨床心理士の深谷が由希を「天才」と呼ぶことに強い反発をおぼえる。しかし絶対音感を持つ由希の演奏技術は常軌を逸したスピードで上達する。オカルトめいた事件よりもふたりのレッスンシーンのほうが鬼気迫るものがあって怖い。正確無比に間違った音を訂正する才能の残酷さ。どんなに努力しても報われない東野にとって由希の能力は驚異であり嫉妬の対象でもある。演奏家として彼女を育てることに東野はのめり込みいつしか音楽以外のものは何も見えなくなる。水や空気や食物と違って、芸術はなくても生きていける。なのになぜこんなにも人生を狂わせるほどの魔力があるのか。
内山 沙貴
評価:B
人が社会で生きていくために最低必要である優しさや悲しみをなくした一人の天才が奏でる、命の灯の音楽。しごくまっとうでどこにでもいる日常に埋没した人々、社会一般常識そのものに見えた人々が、常識からはずれた、自分だけに正しいと思えるような人生の道を歩み始める。天才のために、自分のために。その先に破滅が見えていようとも。現実が曝け出される。その表現はひどく快活快調、フルカラーの等身大立体映像である。ふと表れる心の変化、喜び、憎しみ、悲しさ、苦しさから超現実のオカルト現象まで、整然と並べられたプロットの中にキレイに収まる。過不足なく。そうやってこの小説は読み手との強引なシンクロをはたし、物語の断片はいつまでも心の中に居座りつづける。現実につながる人の“記憶”として。
大場 義行
評価:B
これはファンタジーではなく、SFでもなく、物語だったとしかいえない。脳障害と天才的な音楽才能を持つ由希のもう一つの謎。自分の才能の底が見えてしま?ている哀しき主人公東野。謎が多い深谷。こんな登場人物だけでも読ませるのに、この先どうなるのだろうと思わせる事だけでページをめくらせる力が凄まじい。読了後にも不満など生まれるよりも先に、いやあいい時間が過ごせたとしか思えなかった。ほんとに篠田節子の物語は全く先が読めなくていい。
操上 恭子
評価:B-
最後まで、夢中になって一気に読んだ。音楽に関わる人々の心理、脳の働きのこと、精神障害者施設および医療のこと、などなど、普段なじみのない専門的な世界を舞台にした、とてもリアリティのある物語である。もちろん、すべてが本当であるわけがない。現実とファンタジィを実にうまく融合させている。おそらく、物語に信憑性を持たせるために、背景となる病気や医療、音楽に関してはかなり綿密な取材をしてあるのだろう。だけど、作者の語り口があまりにうまくて、ファンタジィ部分にも十分すぎるリアリティがあるものだから、逆に全体がウソっぽく感じられてしまう気がした。それと、冒頭の2ページはあまり意味がなく、かえって気が散るように思うのだが。
小久保 哲也
評価:AA
音大を出たものの音楽家で生活できるほどではなく、音大受験生を教えながら生活をしている主人公が、あるとき訪れた診療所で、彼女と出会う。彼女は脳に障害を持ち、言葉を理解することができず、自分の周りの環境にも意識を向けることも無い。しかし、天才的な音楽の才能を持っていた彼女にチェロを教えていくことで、主人公は少しずつ彼女の心を知って行く。高慢なほど気高く壊れ易い心を。言葉を介さないことで、余計に彼女のこころの形がはっきりと見えてくる。いつしか彼女と心を合わせていく主人公は、ふとしたことから彼女の周りに起きる不思議な現象に気が付いて行く。。。。抜群の描写力と巧みな展開は、途中で読むのを中断することなどできはしない。文庫班課題図書で初めての、そして記念すべき評価AAだ。本の帯には「音楽ホラー小説」などと書いてあるが惑わされてはいけない。この作品は、哀しい調べで奏でる、切ないほどの恋物語だ。
佐久間 素子
評価:C
脳の障害で、通常の情緒を失った由希は、並外れた音楽の才能を持つ。指導にあたるチェリスト東野がのめりこむほどに、由希の才能は花開き、同時に不思議な力をも生み出す。さすがのストーリーテリングで、厚さを感じさせないが、シリアスな割には軽くて物足りない。無自覚な天才とそれを嫉妬する凡人の哀しさだとか、表現とは何かとか、主題がおはなしにのまれて分散してしまった感じ。人物も妙に淡泊で感情移入しづらい。もっとも、移入すべき感情をもたない由希の描写は不気味にもかなしく、内面世界が東野に流れ込んでいく場面の美しさと相まって印象的だ。
山田 岳
評価:A
おもろいやん。山岸凉子のマンガ「厩古女王」をおもいだしてん。あ’れも障害と超能力をもつむ’すめが、ま’わりのひ’とを混乱のうずにまきこみ、ついには滅亡へとみちびきはる話やった。問題の由希という「少女」(28才!)にビオラを教えはる東野はんが、ときど’き「あれ?」という行動をしはんねん。さい’しょはわからへんねんけ’ど、だんだ’ん「由希のために混乱してはんのや」と、読むもン’にはわかってきはります’。じ’ぶんの混乱を東野はんは「音楽のためや」とおもいこみはるし、カウンセラーの深谷はんは「研究のためや」とおもいこみはってじ’ぶんが混乱してる’と気づかはらへん。気づきはったとき’には、家庭も社会的信用もわやくちゃ。「どないなんねん、この結末は!」って叫びたくならはります’よ。きっと。
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