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ボルトブルース
【角川書店】
秋山鉄
本体 1,900円
2001/2
ISBN-4048732757
今井 義男
評価:AAA
スコセッシの『タクシー・ドライバー』で魔法使いと呼ばれるヴェテラン・ドライバーが『同じ仕事を何年もしていると仕事そのものが自分の人生みたいになってしまう』とデ・ニーロに話す場面があった。働くことが知らず知らず生きる目的になるというのは実感としてよくわかる。本来、仕事は目的ではなく生きるための手段のはずだが、私自身そんな心境に至ったことは一度もない。だから野崎たちの奮闘ぶりに、流れる汗のしずくに、高揚し共振していく気持ちが新鮮だった。どこかへ置き忘れたものを思い出させるような熱気がこの小説にはこもっている。生きる意味を考えるのはいつだって遅くないのだと、勇気も少し分けてもらった。この作家は書くべきテーマをしっかりと持っている。文章は歯切れよく、会話にもテンポがあり読みやすい。加えてキャスティングが絶妙である。特に<京大>が憎めない。いい別れは、いい友人がいてこそだ。いい友人に男も女もない。明け方近く読み終わったとき、私は彼らの新たな門出に一人祝杯を挙げた。
原平 随了
評価:B
読み始めてからしばらくして、以前に読んだ何かに似ていることに気づいた。沢井鯨の『P.I.P.(プリズナー・イン・プノンペン)』(小学館)である。『P.I.P.』は、アジアを放浪していた主人公が麻薬所持の容疑でカンボジアの刑務所に収監されるというお話で、『ボルトブルース』の方は、失業した主人公が全寮制の自動車製造工場で三ヶ月間だけの期間工として働くという内容だ。もちろん、工場での労働と刑務所の服役が同じなわけはないのだが、似た印象を受けるのは、『ボルトブルース』の物語の骨格が、いわゆる〈牢獄〉モノのパターンにしっかりとはまっているから。一定期間の拘束、仲間との友情や反目、裏切りなど……、この小説のおもしろさは、やっぱり、〈牢獄〉モノのおもしろさに限りなく近い。日記風の記述がやや単調で、退屈する箇所もないではないが、それでも、労働の過酷さや、筋肉の痛み、汗の匂いなどがとてもよく感じられるし、また、年期明けの〈出所〉は、一抹の寂しさと共に、その嬉しさがびんびんと伝わってくる。
小園江 和之
評価:B
これはですね、意地っぱりモノ小説とでも言うのでしょうか。自分のしていることの意味とかを考える前に、目の前のボルトを締める生活。ストーリィは単純至極なんですが、人間は頭の中ではあーでもない、こーでもないとややこしくても、実際にやってることは単純反復作業の組み合わせが多いんですね。本書はそこのところを目一杯描ける設定にしたのがうまくいったようです。舞台は硬質なのに浪花的倦怠感?があり、独特の雰囲気をかもしだしています。まるでバックに憂歌団が流れているみたい。主人公がバイク屋のおやじと交わす会話を読んで、夢を見続ける力が自分にどれだけ残ってるか、なんてちょっと考えちゃいました。
松本 真美
評価:A
すっごく面白かった!いろいろシンクロもした。学生時代、私もデカイ工場で働いてたし、現在は新しい会社で、こんなに弱気な自分も久々ってくらい毎日ヘコんでるし、夫もバリバリのボルト業界だし。…なし崩しに失業生活を送っていた男が、たいした大志も覚悟もなく超ハードな自動車工場に就職して悪戦苦闘する物語。展開はいたってシンプルで逸話はリアルで登場人物達はみな活き活きしてる。…月並みな感想。でも、久々にブルーカラーを立体的に描いた小説に出逢った気がした。こういう小説、頭でっかちの手のきれいなタイプの人間が読んだらどう思うんだろ。鼻先でせせら笑うのか、形だけでも憧れてみたりなんぞするのか。それとも「派遣の応援工には意外と高学歴が多くて…」に何かを読みとろうとするのか。あ〜、そいつらの感想を聞いて個人的におもいっきりツッコミてえ!…言葉と性格が悪い上に、読書態度まで非常に不純ですね。スミマセン。
石井 英和
評価:C
感心しつつ読んでいたのに、なんなんだ、このエンディングは?ひょんな事から始まった、自動車組み立て工場における主人公の奮闘記。現場レポ−トとしても興味深いし、そこで繰り広げられる人間模様、変化して行く主人公の内面の描写等、読み応えがあった。が・・・これは、失業し、怠惰な日々を送っていた青年が、工場における様々な体験を通して成長する姿を描く、ビルドゥングス・ロマンと思う。なのに、エンディングで念願のバイクに跨がって登場する主人公は、ろくな精神的成長を示していないのだ。あの人間性への洞察はどこへ行ってしまったのか、そこに描かれているのは物語の冒頭と同レベルの、薄っぺらな人物。世界は全然広がっていない。これでは、せっかく力を込めて描いた工場での体験を、著者自ら「給料以外は無意味」と踏みにじったも同じではないか。
中川 大一
評価:A
(問)38歳の男。最近、あまりの多忙に心がカサつき気味です。ぱかっと青空がのぞくような本をご紹介ください。(答)はいはい。本書は、失業後ぶらぶらしていた男が自動車工場の期間工になり、慣れぬ手つきで働く話しです。物づくりの喜び、肉体労働のきつさがヴィヴィッドに描かれます。明るい諦念と、適当に力を抜いたやる気。そんな雰囲気が横溢しています。行間から響いてくる音は、ブルースというよりは、ウルフルズ風ポジティブ・ソング。無論、単純作業の連続ですから、こんこんとやる気が湧いてくるわけじゃありません。でも、初めておのれの手でゼニを稼いだときの原初的な喜びが蘇ってきます。主人公の「なんぼでも来んかい!」と「なんとかなるやろ……」の気分をお裾分けしてもらいましょう。
唐木 幸子
評価:A
大阪の男は日本一おもしろい、と私は思っている。個人差もあろうが、あの本音丸出しの気取りのなさ、ずうずうしいのは確かだが意外に気のつく優しさ、会話のアホらしさ。善人も多いと思う(これがもう、私の出身地の京都の男となると屈折してしまうんである)。この作品にはそういう大阪の男の人の良さが随所に表れていてとても楽しんで読めた。ちょっと話の展開が早すぎて、もっとじっくり書き込んでも良いのではないかと思ったが、雑なところがまたリアルだ。私も学生時代、時給につられて港近くのチェーン工場でひと夏、油まみれになって働いたことがあるが、スーパーのお茶売りや家庭教師では得られなかった思い出が山ほどある。やはり人間、汗して働かんとあかんなあと懐かしく思い出してしまった。
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