「ぢん・ぢん・ぢん」 評価:A 冒頭の輪姦シーンで、最高にむかついて、こんな主人公に千ページもつきあえるか!と息巻いていた割には、A評価。主人公イクオはヒモ見習いなのでやり放題なのだけれど、修行で女を抱くときも、欲望のままに抱くときも考えることをやめない。セックスしては考え、考えてはセックスをする。当然、読者もイクオの考えにつきあわなければならない。青臭くても、理解できなくても、理解したくなくても。つきあっているうちに、発作のように愛しさがおそってくる。しゃれにならないくらいアウトローな登場人物がこうも愛しいとは。人間であり続けることはつくづくかなしい。