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石井 英和の<<書評>>
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「模倣犯 The copy cat」
評価:A
いい加減にしろ、と言いたい長さと重さの物語だが冗長ではなく、次々に読ませ所が登場し、読み手の興味をそらせない。「犯人」は、作り物っぽくて薄っぺらな存在感の人物だが、現実に存在していたとしてもこんな感じだろう。薄っぺらなのは理念だけの存在だから。その「存在」が連続殺人犯として世界を切り裂く。そこは、ほんの端役のライフスト−リ−までが緻密に描写された結果、「受肉」した人々で満たされた「世界」だ。複雑な因果関係が張りめぐらされ、万物に神宿りたもうアニミズムの世界を思わせる。生の重さを引きずり苦吟する土俗の神と、その泥沼から理念だけの存在と化して絶縁し、飛翔する事を試みた「新しき邪神」との不思議な宗教戦争の物語。地にあって片々たる人生を生きていた者が、襲い来る災厄に抗して公然と胸を張る。その瞬間、こぼれ落ちる人間の聖性がまぶしい。そして冒頭の、生きながら落ちていた死の煉獄から、様々な経験を経て再生する少年の姿が清々しい。
【小学館】
宮部みゆき
本体 1,900円
2001/4
(上)ISBN-409379264X
(下)ISBN-4093792658
●課題図書一覧
「異端の夏」
評価:C
帯に「刑事は夏を駆け抜け、恋に身を焦がす」とある。「夏を駆け抜け」までは恰好いいが、「恋に身を焦がす」の所でガクンとずっこける。うら若き乙女ならともかく、おっさん、なにトチ狂ってんのや、と冷やかしたくなる。「長編恋愛サスペンス」ともあるが、つまり、その辺に滑稽感や違和感を持ったりしない人向けの物語なのだろう。全体に堅実な、律儀な語り口なのだが、その分、面白みに欠ける感もある。それにしても、同性愛的性向のある人々に対して、かなり配慮を欠くスト−リ−展開とは言えまいか?まるで、「そんな趣味のある奴なら、どんなことでもやるだろう」との偏見に元ずいて組み立てられた物語のように感じられた。男と女が「恋に身を焦がす」と、「長編恋愛」となり、それ以外の結びつきは「異端」の犯罪に通じるとでも主張しているような。
【講談社】
藤田宜永
本体 2200円
2001/3
ISBN-4062104660
●課題図書一覧
「邪魔」
評価:A
冒頭、荒れる若者たちに絡む刑事たち。が、その刑事同士の関係が、すでに普通ではない。様々な人間が、お粗末な放火事件を狂言回しに各々勝手な思惑を持って入り乱れ、物語は、最悪の方向目指して転がり続ける。間抜けな見当違いを繰り返す登場人物各自が心中に抱きしめるのは、7年前に死んだ妻の思い出、労働者の権利、己の立身、花壇、元婦警に岡惚れする事、他人に必要とされていると信じ込む事、会社の金をちょろまかす事、等々・・・だが、それらすべての判断は間違っている。故に幸福の成就は、あり得ない。終幕、登場人物の一人が「事件」によって全てを失うのと引き換えに手にしたかに見える「真実」も、実は新たな勘違いの幕開けに過ぎない。そもそも「勘違い」以外に世界認識のスベを知らぬのが人間。その悲しみを描いた、笑えないドタバタコメディだ。
【講談社】
奥田英朗
本体 1900円
2001/4
ISBN-4062097966
●課題図書一覧
「カレーライフ」
評価:E
カレ−店開業物語らしいが、主人公は突然アメリカやらインドやらに出かけてみたり、何故か家族史探究に入れ込んだり、行動が支離滅裂。インド行きは納得できる行為のようだが、食堂でカレ−を食ったりするだけで、インドの人々と深く関わり、何らかの啓示を受ける場面とかがあるわけではない。インドの描写も、いわゆる「アジア旅もの本」で何度も何度も繰り返し報告されてきたエピソ−ドの使いまわしみたいだ。登場人物たちの性格設定も薄味でもの足らず。特に劇的な事件も起こらないし、若者たちの交わす議論も、形通りのものでしかない。この、すべての事象を浅く通り過ぎるのが今日の若者風、という事なのか?初めに提示された「謎」は、正体が明かされてみれば物語の本線とは響き合わず、ちぐはぐな感じ。ついに小説としての面白味は見つからなかった。
【集英社】
竹内真
本体 1900円
2001/3
ISBN-4087752828
●課題図書一覧
「ペニス」
評価:E
既視感のカタマリ。「いわゆる前衛的な小説」の切り貼りみたいだ。主人公の、定石通りの「病んだ独白」とか、その視線の前で非日常化する日常の描写とか、些細なあれこれに関して並べ立てられる思わせぶりのウンチクとか、なにもかにもが見飽きたパタ−ン。主人公がインポテンツというのも、この種の物語では定番ですな。インポでなければ同性愛者だったろう。そんな設定で性に関する描写を延々と行い、毎度お馴染み「不毛」の一丁上がりとござい。趣向として死体を隠匿しておく、という話は生島治郎の「頭の中の昏い唄」があるし、冷凍保存の話はTVの「世にも奇妙な物語」でやってたぞ。こんな、見飽きた描写だらけの「先鋭的な小説」が何を生みだすのか、そんな事には興味もないが、手垢の付いた風景を「人跡未踏の秘境」とレッテルを張られても、納得は出来ない。
【双葉社】
津原泰水
本体 2,000円
2001/4
ISBN-4575234117
●課題図書一覧
「魔女」
評価:D
この進行はあんまりだ。当初に提示された「謎」の解明が、物語の後半、それまでの話の流れには無かったエピソ−ドが継ぎ足される形で成されて行く運びなのだ。なんらかの伏線を張った後に現れるのが「意外な展開」だろうに。伏線らしきものがある場合もあるのだが、それは先行するヒントといった性質のものではない。例えば「山形と行徳」の話が、伏線というに十分な形で提示されているだろうか?伏線とは<ある単語を話に出しておけば、後に「実はこうだったのだ」と、それ絡みのどのような展開を持ち出してもかまわない>という作家の方便のための免罪符ではない筈だ。最後の「犯人当て」も、なぜそのような推理が可能だったか、まるで納得できない。また、物語の展開と共に進行する「恋愛」も、男女共に相手に惚れる理由があるとは思えないのだが。
【文藝春秋】
樋口有介
本体 1905円
2001/4
ISBN-4163199802
●課題図書一覧
「片想い」
評価:A
意外な変身をした旧友が巻き込まれた、奇妙な殺人事件。それをとばくちに、一枚一枚、薄皮を剥くようにその姿をあらわにして行く、隠されていたもう一つの世界の相貌。それとともに変転する事態に、読む者は翻弄される。折りにふれてはなされる「アメフト話」が煩雑な気がしたが、終幕にはきちんとスト−リ−の中にもテ−マの中にも生かされて、納得。錯綜する物語をうまくまとめ、テ−マも際立たせた。これは、「性同一性障害」をめぐる物語のようでいて、実はもっと深い、「肉体」と「観念」という二重の牢獄に囚われた、我々のタマシイの自由に関する物語だ。浅はかな読み方をすると、「性においてマイノリティに属す人々は皆、いわれなき差別に耐え続ける聖人だ」なんて感想を持ってしまうかも知れないが、それがつまり、差別の裏返しなんだってば。
【文藝春秋】
東野圭吾
本体 1714円
2001/3
ISBN-4163198806
●課題図書一覧
「ロスト・ガールズ」
評価:A
「古き沼に棲む怨霊」という時代遅れとも言うべきホラ−・ネタが中央に座
した物語なのだが、その「怪」が、田舎町の人々の心に巣くう因習や、主人公のヘロイン中毒などから来る、「妄想の可能性」の後ろ楯を持つ形でしか現れてこないので、ホラ−と断じてよいのか、戸惑いがある。そんなもどかしさがあるのだが、これは実は、「移民の国・アメリカ」の根幹に係わる出自を帯びながら、まるで社会の汚物として棄民され「アメリカの人柱」となった「沼の怨霊」が残した、冷え冷えとした孤独が、今日を生きる人々の心を浸食して行く物語なのだ。沼に飲まれた少女たちだけでなく、弁護士が心を病みヘロインに頼る羽目になったのも、犯人が罪を犯すに至ったのも、「怪」の呪いゆえ。死者の怨念の寝床の上に、今日の我々の生がある・・・妙に心に粘りついて来る物語だ。
【早川書房】
アンドリュー・バイパー
本体 2000円
2001/3
ISBN-4152083379
●課題図書一覧
「レディたちのフィンバーズ・ホテル」
評価:C
この採点は、評価というより「採点不能」の意味である。各作品の著者は、そして登場人物は、あるいは泥沼の如く内省し、あるいは際限なくお喋りしたりしながら、「自身がアイルランド人であること」に起因する問題に惑溺しきっている。この作品は恐らく、自身がアイルランド人であるか、あるいはアイルランドに濃厚な関心を抱き続けている人々のものであって、それ以外の者が共感を持つのは、かなり難しいだろう。「部外者」にとって理解が可能か、いや、その必要がある物語なのかどうか?ただ一つ、104号室における出来事は、一つの価値観に囚われることによって視覚狭窄に陥った人物に関する一幕のファルスとしての普遍性を持っており、普通に楽しめた。と同時に、その他の作品の私からの「遠さ」を改めて実感させる。
【東京創元社】
ダーモット・ボルジャー編
本体 1900円
2001/3
ISBN-4488016332
●課題図書一覧
「父の輝くほほえみの光で」
評価:E
まず、中南米文学風魔術的リアリズム表現みたいな世界が展開されるが、それは50ペ−ジ程で消え失せ、その後は「欧米先進国風の小説表現」が続く。こんな風に、第三世界の美味しい所を勝手に摘んでくるのを「新植民地主義」って言うんじゃないの?著者の濃厚なナルシズム発露に辟易。ある時は高揚しある時は内省に沈みしながら著者は、全世界の虐げられた者、ことに女性への共感と抑圧者への怒りを歌う。が、その一方で、例えば冒頭に挙げた、自分の気がつけない「弱い立場」へは無神経な対応。「私は正義の使徒」との陶酔の中で自己を客観視出来なくなった著者はいつか、「私こそが正義」との高慢に至っている。そんな状態で書き上げられた、この行き当たりばったりの小説の文学上の不備の正当化に「全女性の為の戦い」との大義名分を流用するなど、許すべきではない。
【集英社】
アリス・ウォーカー
本体 2300円
2001/3
ISBN-4087733440
●課題図書一覧
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