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「邪魔」
【講談社】
奥田英朗
本体 1900円
2001/4
ISBN-4062097966
今井 義男
評価:AA
<持つ>ことと<失う>ことは表裏一体である。持った瞬間に失うことへの不安が生まれ、護ろうとする意識が働く。<護る>ことと引き替えに視界は日増しに狭まり、悲劇は音もなく始まる。夫の宿直中に起きた放火事件に端を発した、主婦・及川恭子の苦悩がまさしくそれである。平穏な家庭を死守しようと躍起になる恭子の自我が、実情と徐々にずれていく一部始終を、作者は実に細やかに浮き彫りにしていく。パート先での上下関係、市民運動組織、有機野菜を売りつける同僚など、恭子の日常にからむ横糸も実に多様だ。この生活感が、破局の予兆をいっそう際立たせている。生きる拠り所を失う恐怖は人の正気を激しく揺さぶる。<持たざる者>と思しき刑事・九野薫でさえ、その例外でなかったことが明らかになる結末は、やはり胸が痛む。人が保身のためにどこまで堕落できるか、現実を直視しない者が自己の内側にどのような幻想を培養してしまうのかを、この照魔境のような犯罪小説はつぶさに教えてくれる。
原平 随了
評価:A
不良仲間に誘われ、オヤジ狩りに手を出してしまう高校生。数年前に妻を亡くし、今だにそれを引きずっている刑事。夫の性癖に目を背け、日常に倦んでいる主婦。何の繋がりもないはずだったこの三人が、放火事件をきっかけに接近し、交差した時、〈最悪〉の事態が待っていた――。そう、物語の骨格が、前作『最悪』と、とてもよく似ている。ところが、『最悪』が後半でバタついてしまったのに比べ、今回は見事だ。どの人物も、けっこうありきたりのキャラクターではある。主人公格の刑事なんか特にそうだ。しかし、この作家の力は、そんな彼らをぐいぐいと追いつめていくところにある。だからこそ、物語がしっかりと息づいているのだ。彼らの抱え込んでいたちょっとしたズレが、次第に大きな亀裂となり、非日常の世界へと転落していく。そして、待ち構えている意表を突くラスト。残酷ではあるが、これしかないだろう。
小園江 和之
評価:D
これはですね、安定した足場を得るために組織を作ったはずなのに、その構成員がやった組織に仇なす行為(とはいっても大したことじゃない)が発覚した途端にはじきだされて、居場所を失うって話なんですな。それをいろんな階層の側から描いてみせてくれるんですが、なんていうかサンプルをいろいろ見せてもらって、結局なんにも買わずに帰ってきたような感じでした。ストーリィはあるといえばあるんですけど、それそのものの面白さがあるわけではないんで、引きずり込まれるような読み味ではありません。ただ、家族間の接着力でさえ、些細なことで怪しくなっちゃうあたりは読んでてひりひりしました。個人を守ってくれるのは自分の身体組織だけ、ってのも思えば寒いことですね。
松本 真美
評価:A
初めて知った作家でした。とても面白かった。内容や文章にとりたてて強い個性は感じないのだが、一見、市井の登場人物達のそれぞれが、リアルでキャラ立ちしててセリフが原寸大ですごいパワー。ぐいぐい読まされた。特に、主婦及川恭子は秀逸。どんどんかっこよくなるんだもん。今年の上半期主演女優賞最有力候補だ。やりかけのガーデニングと、終盤の「なんとしてでも自分が子供を守らねば」というサンドキャッスルな幻想がやけに哀しかった。それに比べりゃ、亡き者の囚われ人、刑事久野なんて甘チャンだ。ちらし寿司作ってる場合じゃねえぞ。個人的には桐野夏生の『OUT』より好み。比べることないけどね。主婦の感想が聞きたいと思いました。
石井 英和
評価:A
冒頭、荒れる若者たちに絡む刑事たち。が、その刑事同士の関係が、すでに普通ではない。様々な人間が、お粗末な放火事件を狂言回しに各々勝手な思惑を持って入り乱れ、物語は、最悪の方向目指して転がり続ける。間抜けな見当違いを繰り返す登場人物各自が心中に抱きしめるのは、7年前に死んだ妻の思い出、労働者の権利、己の立身、花壇、元婦警に岡惚れする事、他人に必要とされていると信じ込む事、会社の金をちょろまかす事、等々・・・だが、それらすべての判断は間違っている。故に幸福の成就は、あり得ない。終幕、登場人物の一人が「事件」によって全てを失うのと引き換えに手にしたかに見える「真実」も、実は新たな勘違いの幕開けに過ぎない。そもそも「勘違い」以外に世界認識のスベを知らぬのが人間。その悲しみを描いた、笑えないドタバタコメディだ。
中川 大一
評価:C
小説は何のために読むのか、改めて考えてしまった。手に汗握る冒険や、心温まるストーリー。知的ゲームとしての本格に、思わず震えるホラー。そういう古典的な価値観を抱いて本書を読む人は、手厳しく裏切られるだろう。病んだ登場人物に、救いのない展開。薄暗い結末に、ざらついた読後感。唯一日だまりのように感じられる○○と□□との交情の場面も、結局は……。しかしながら、最後まで目が離せず読まされたことも確かなんだ。話しの組み立ては相当に巧み。毎日刺激がなくて退屈だ、ちっとは世間の厳しさを味わってみたい、っていう人にはおすすめ。毎日世間の厳しさを味わってる人は、やめときましょう。それにしても、この作者が前向きの話しを書いてくれたら……きっとイヤなんでしょうねえ(目頭を揉む)。
唐木 幸子
評価:A
主人公・九野は、しょっぱなから不良少年の腕を叩き折るので驚く。それでいて彼は暴力刑事というわけではなく、身重だった妻の事故死以来、不眠に悩む孤独な男なのだ。初めてこの著者の本を読んだが、登場人物に強さと弱さを等分に与えるキャラクターの作り方がアメリカの刑事物の映画みたいで、新鮮だった。ツッパリ高校生の内面の意気地なさ、夫への不信感を封じ込めて来た妻の怒りの捌け口、怖いものなしのワンマン社長など、人物描写も行き届いている。警察、やくざ、会社のそれぞれの組織構造を揺るがす事件が盛り沢山だが、考え抜かれているので読みやすい。特に、九野と義母との心の通い合う会話は、読後、是非もう一度読み返してもらいたい。宮部みゆきの次に読んだという不利さをはねのけてAだ。
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