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唐木 幸子の<<書評>>
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「模倣犯 The copy cat」
評価:AA
私は新刊採点を始めて以来これまで、ミステリーは海外ものに限るわ、日本作家のは読めへんわ、と何度も思い本欄にもそう書いてきた。今、ここに撤回します。連休中、1日かかって上巻を読んだ翌朝、5時に目が醒めて暗いうちから下巻を読み始め、起きてきた娘がお腹空いたと泣こうと寝坊の夫が仏頂面をぶら下げようと無視して昼までかかって読みきった。途中で止められない面白さだった。あー、良かった、連休中で。こいつが犯人というのは早い時期にわかるし、実際の殺人も前半に集中してしまっているのに、そこからが読ませるのだ。4年間にわたって週刊誌に連載された作品だが、この伏線をはらんだ構成と急転する結末を宮部みゆきは4年間隠し持って書き続けたのだろうか。登場人物の人間性を七色に書き分ける筆致も素晴らしく、のろまのカズや老人の義男のように権威を持たない弱者にこそ物事を見抜く目を持たせるという著者ならではの手法が生きている。傷ついた彼らが命をかけて語る真実には、真犯人ならずとも一瞬、我が身を振り返らせる重みがある。文句なしのイチ押しだ。
【小学館】
宮部みゆき
本体 1,900円
2001/4
(上)ISBN-409379264X
(下)ISBN-4093792658
●課題図書一覧
「異端の夏」
評価:B
デビュー当事の『ダブル・スチール』を読んで、その真面目そうな感じにすっかり参って私はファンになってしまったのだが、この著者の作品はハズレが少ない。主人公の辰巳刑事の孤独さがリアルだし、消えた少年の安否を巡るストーリー展開も適度に緩急がついて飽きさせない。しかしなあ、軽井沢の別荘、金持の親子の葛藤、無力な嫁、という背景や雰囲気が小池真理子の『冬の伽藍』にとっても似ている気がする。両方とも面白いから別にいいけど。それと、この人の描く男の主人公はいつもなかなかに潔くて格好いいのだが、女性のキャラクターがちょっと・・・・。心細げな美人があなたを頼りとスリ寄るシーンには少々辟易する。こんな女性に男が惚れて、というのは類型的すぎやしないか。
【講談社】
藤田宜永
本体 2200円
2001/3
ISBN-4062104660
●課題図書一覧
「邪魔」
評価:A
主人公・九野は、しょっぱなから不良少年の腕を叩き折るので驚く。それでいて彼は暴力刑事というわけではなく、身重だった妻の事故死以来、不眠に悩む孤独な男なのだ。初めてこの著者の本を読んだが、登場人物に強さと弱さを等分に与えるキャラクターの作り方がアメリカの刑事物の映画みたいで、新鮮だった。ツッパリ高校生の内面の意気地なさ、夫への不信感を封じ込めて来た妻の怒りの捌け口、怖いものなしのワンマン社長など、人物描写も行き届いている。警察、やくざ、会社のそれぞれの組織構造を揺るがす事件が盛り沢山だが、考え抜かれているので読みやすい。特に、九野と義母との心の通い合う会話は、読後、是非もう一度読み返してもらいたい。宮部みゆきの次に読んだという不利さをはねのけてAだ。
【講談社】
奥田英朗
本体 1900円
2001/4
ISBN-4062097966
●課題図書一覧
「カレーライフ」
評価:B
カレー屋さんを開くだけの話をよくこんな大作に書けるものだ。しかしアメリカからインド、沖縄、と主人公達が飛んで回るせいか読んでいて退屈はしない。軽いテンポといい会話が多いところといい、森絵都の男性版といった雰囲気だ(森絵都はこんなに1冊が長くないけれど)。退屈持て余してるような気分のときにポテトチップでも食べながら読んでいたら、そうだ、カレーでも作ろう!という幸せな気持ちになれたのだろうが、私はよりによって映画『ハンニバル』を見た直後に読み始めたので、この本に漂う平和にちょっと付いて行けなかった。でも「おでんカレー」と「ベーコンアスパラカレー」は美味しそうだったなあ。
【集英社】
竹内真
本体 1900円
2001/3
ISBN-4087752828
●課題図書一覧
「ペニス」
評価:D
絵画や映画の中にも、鑑賞する者の嘔吐感を呼び起こすものはあるし、こうした文章も読む人によっては芸術なのかもしれないけれど。私は本作を推理小説としてもポルノグラフィとしても楽しめなかった。
最初のうちは、そういえば吉祥寺の井の頭公園のバラバラ死体事件は迷宮入りしたんだっけ、と思いながら読んでいたが、もう、途中から吐きそうになる寸前。村上龍の『限りなく透明に近いブルー』にもこういうズブズブのセックスシーンがあったが不思議に不潔感はなかった。でも本作は登場事物が若人ではないせいか読み進むほどに惨めになって、筋を追う根性もなくなってしまった。チャイコフスキーに関する記述は非常に正しかったので、何とかEは回避した格好だ。(単行本班で未だEを付けてないのは私だけ)
【双葉社】
津原泰水
本体 2,000円
2001/4
ISBN-4575234117
●課題図書一覧
「魔女」
評価:B
冒頭、千秋がアパートの自室で焼け死ぬ場面の描写が秀逸だ。炎に包まれて死ぬときの感覚は本当にこんな感覚かもしれない、と思わせられてショッキングだった。その千秋の死の謎を追う主人公・弘也の回りには、母親、姉・水穂、年上の恋人・美波、、、、と、何だか変なキャラクターの女が群れている。仕事には有能だが唯我独尊、全員、弘也にとって理解不能の魔女たちだ。しかし彼女らは自分勝手のようでいて周辺状況への勘も鋭く、弘也に若い恋人が出来たことを水穂も美波も素早く見抜いて見逃してやる器量がある。そして、彼女らとは正反対のおっとり者の弘也は意外にも真相にじりじりと迫り、本当の魔女は誰だったかが炎の向うに浮かび上がってくる。その犯罪の仕掛けがちょっと小ぶりに終わるのが残念。
【文藝春秋】
樋口有介
本体 1905円
2001/4
ISBN-4163199802
●課題図書一覧
「片想い」
評価:C
確かに、この話に出てくる美月のように性別の判明しない人って稀にいる。形態的には男だが、顔や手足が小さく整っているのだ。概ね、淡白な性格で感じの良い人なのも特徴だ。だから放っといてやれば良いのに、主人公の哲朗は騒いで追い回して、スポーツライターってこんなに仕事をしなくて食って行けるのか。彼以外の同窓生の男女達も煮え切らなくて、家出したり再会したり、出来事がチマチマしている。だから週刊文春で連載中に私は途中で脱落したのだ。一気に読めば意外に読みやすかったが、何だか最後に大慌てで辻褄を合わせたような印象の結末だ。一箇所だけ、おおっ、と思ったカラクリがあったが、かなり後半に明かされることなので、詳しく書けない。嫁姑の仲に関すること、とだけは言っても良いかな。
【文藝春秋】
東野圭吾
本体 1714円
2001/3
ISBN-4163198806
●課題図書一覧
「ロスト・ガールズ」
評価:B
確かに正統派の恐怖小説なのだろう。読んでいてしみじみ怖いし、読者をハっとさせる仕掛けもある。しかし描写がイマイチ足りない気がしてならない。著者が意図したであろうイメージと実際の表現との間に、飛ばして略してしまったような間隙を感じる。S.キングが同じ素材を書いていたらどうだったろう。冒頭の少女がおぼれるシーンのような謎が幾重にも込み入って、それらが効果的に姿を現しては消える。きっと読者は何度も目をつぶりキャっと本を閉じ、暫くは河口湖にも山中湖にも近寄らないくらいの恐怖を1冊の書物から受けるのだ。邪道だろうとディテール過多だろうと、やっぱり私はキングがいつも懐かしい。キングがカラー映画だとすれば本書は白黒映画的で、それなりの良さはわかるのだが、B。
【早川書房】
アンドリュー・バイパー
本体 2000円
2001/3
ISBN-4152083379
●課題図書一覧
「レディたちのフィンバーズ・ホテル」
評価:B
ある夜、新装まもないフィンバーズホテルで起こった7つの物語が連作で語られる。各短編の女性主人公の年齢も置かれている立場も異なるが、実は書き手も別らしい。どの女たちもトレンディなホテルの部屋の鍵を閉めればそれぞれの秘密を抱えて少々みっともない状況にある。ちょっと哀しい彼女らの物語の中でも私のお勧めは105号室と106号室。両方とも主人公は老年に差し掛かっているが、そこで語られる人生には深みがある。友人の夫に精液を貰って自分で人工授精をしようとしたり(101号室)、ビジネスの勝負の日に狂気の父に邪魔されたり(102号室)している女盛りのレディよりもグンと魅力的だ。待てよ、これは私が中年以降の女性心理に共感を覚えるようになったということだろうか・・・・・。Bにしとこう。
【東京創元社】
ダーモット・ボルジャー編
本体 1900円
2001/3
ISBN-4488016332
●課題図書一覧
「父の輝くほほえみの光で」
評価:C
映画『カラー・パープル』を観たときと同じで、アリス・ウォーカーが描こう、訴えようとしているその真髄は私には理解出来ないのだが、本作はきわめて私的に興味深く読めた。早い話が私にも姉がいて一本気な父と何かと激しく衝突していた。年の離れた末娘であった私は、私には優しいこの2名がなんでこうなるかなあ、と思いつつ、掴み合いの喧嘩を見ていたものだ。幼いなりに私は図太かったのか、本作のスザンナのように傷つくこともなかった。【家の中で一番チビ】という立場は何事にも責任がないが故に、家族の人間関係や出来事の真実を最も客観的に見ることが出来る。本作を読んで、つくづく長男長女というのは可哀想なもんだという、アリス・ウォーカーが聞いたら怒りそうな感想が湧いたのであった。
【集英社】
アリス・ウォーカー
本体 2300円
2001/3
ISBN-4087733440
●課題図書一覧
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