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Y
【ハルキ文庫】
佐藤正午
本体 648円
2001/5
ISBN-4894568586
石井 千湖
評価:B
男は「ふりかえる」生き物なんだなあ、としみじみ思う。回顧録や自分史を書くのは圧倒的に男性が多いし、昔の彼女の写真や手紙やプレゼントを後生大事に持っていたりする。きちんとリサーチしたわけじゃないが女は処分するひとがほとんどじゃないだろうか。恋愛は時間を戻しても意味がない。きっと結果は同じだからだ。でも人間の生死に関してなら切実に時間をさかのぼりたいと願ったことがある。『Y』は人生の分岐点となるあるできごとの結果が複数存在したら?という物語だ。登場人物はやっぱり虫が好かないのだが『ジャンプ』みたいにミステリーの要素がすごく面白いし、時間が戻る場面の描写も巧い。蛇足だが著者はポニーテールの女が好きらしい。
内山 沙貴
評価:C
人々の運命を乗せた赤い珠。スピードを変えずに回り続ける赤い珠を乗せた輪転機。ふとした偶然から、手のひらに落ちた一粒の滴から、運命は違う道を歩み始める。分かれ道、「まるでアルファベットのYみたいに」僕はあっち、君はこっち。レコーダーは長い長い紙の途中から違う歴史を印刷し始める。世界では輪転機が地平線を埋め尽くし、勢いよく回転して赤い残像を残しながら尽きることのない紙を吐き出す。同じだけの幸せと同じだけの不幸を書きつけて。多分何処も、同じこと。そんな人生なら逆に挑んでやる価値があるのかもしれない。例えそれが他の場所で書きつけられた物語の繰り返しだとしても。
大場 義行
評価:A
先月、佐藤正午にCをつけてしまった事を心よりお詫びいたします。と云いたくなる程楽しめた。この物語は過去に飛んで今を変えたいというSF的なお話なわけなのだけれど、僕個人としては友情の物語として読めた。恋愛とか、SFとか色々な意見が飛び交う中、あまり居ないとは思われるが、これは絶対友情物語だ。一番印象に残るのは主人公秋間と北川が語り合い、そして北川が過去に今まさに飛ばんとする場面。やはりこの物語はY字に分岐しながらも、それでも横たわる友情がたまらないのだ。ワケがわからん、どうなるのか全然わからんと思いながら読み進めるうちに、この友情に触れて、ちょっと泣く可能性あり。あれ、でもここまで書いていいのかな?
操上 恭子
評価:B
話題作『ジャンプ』、先月の課題本『女について』に続いて佐藤正午を読むのはこれが3冊目だが、今回初めて面白いと思った。前記2作と違って、本作『Y』は恋愛小説ではない。先月も書いたように私は佐藤正午の恋愛感にどうしても同調できないのだが、それさえなければこの人の作る物語は十分楽しめるものだなと改めて思った。この『Y』ネタ自体に新しさはない。今まで洋の東西を問わず数多くの作家達が手を変え品を変え書いてきたテーマである。だが、その現場を東京の電車事故という日常の中の非日常にしたのが旨い。そして主人公=語り手の設定が秀逸だ。今までにないパターンなのではなかろうか。佐藤正午よ、これからは恋愛抜きの小説を書くことにしてくれないだろうか。
小久保 哲也
評価:B
小学生の頃、転校したことがある。ある日を境に、まったく違った世界で生きて行かなければいけなかった。もういちど、友達を作り直し、自分を知ってもらい、前の学校で出せなかった自分を出してみたり、前ほどうまくいかなかったり。違う世界に突然現れた自分というのは、大変なのだけど、それなりにどきどきして、面白かった。それから数年して、こんどは仲良くなった友人の一人が転校していった。同じクラスではなかったのだけど、とたんに学校がそれまでと違って見えた。転校してきた自分。転校していった友人。知らなかった風景。取り残された自分。この作品を読んでいて、なぜだか、そんな昔の事を思い出した。
佐久間 素子
評価:C
あのときああしておけば、という後悔をめぐる恋愛小説、ちょっとSF風という位置づけになるのだろうが、やっぱりSFとは言い難いし、かといって、世間の期待する恋愛小説では断じてない。しかし、ストーリーにのみこまれ、胃がねじれるような奇妙な気分を味わい、やるせない余韻にひたることのできる、この小説にジャンル分けなど必要ないってことだ。読み終わったあと、まじまじと表紙のタイトル『Y』を眺めてしまうことだろう。そして、上方にのびる二つの線が徐々に離れていく、その形をつくづくと切なく感じることだろう。ベストセラーになった『ジャンプ』より、絶対おもしろい。ああ、でもやっぱり登場人物が好きになれないのであった。
山田 岳
評価:A
先月、佐藤正午の長編を読んでみたいといったら、さっそくの登場です。編集部に感謝(笑)主人公は、ぜんぜん記憶にない高校の同級生からの「手紙」(ふつうならEメール添付ファイルでおくるのに、なぜかフロッピーにおとして、わざわざ代理人が届けた)の世界に、とまどいながらも引き込まれ、やがては、ふりまわされていきます。その主体性のなさに不快感をおぼえる読者もすくなくないかと思いますが、主人公が他者の不条理にふりまわされるのは、小説の手法として、よくあるものです。43歳の人間が25歳にもどって、ひとりの女をすくおうとする。そのために歴史、というか個人史がいろいろとちがったものになる。そのときどきの選択にしたがって時間軸が無数に存在する、というのもSFではよくある話です。たすけようとした女が実は・・・というあたりが、佐藤正午的なこころみであり、文学的な深みをかもしだしています。クライマックスへむかって怒涛のように突き進む描写力には、いやはや、おそれいりました。
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