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一の富
【角川春樹事務所】
松井今朝子
本体 1,800円
2001/5
ISBN-4894569256
今井 義男
評価:C
毎月のテキストに一冊でも時代小説が混ざっていると、なぜかほっとする。時代物にある約束事や様式美が好きなのだ。逆にいうと、それを踏まえる必要のない時代小説に存在価値はない。であるから現代ドラマをただ江戸に置き換えただけのテレビ用時代劇はごめんこうむりたいし、存分に時代物のテイストを堪能させてほしい。そういう期待をもって本書も読んだ。雰囲気は落ち着いていてまあまあだが、拍子郎のあまりつかみどころのないキャラクターがいいのか悪いのか、なんとも印象が薄い。むしろ元気のいい料理茶屋の一人娘おあさの方に、存在感があってよけいにそう思える。上方贅六の私としては作者の狙いがどこにあるのか量りかねた。起こる事件は江戸的でいいのだが、いまいち小ぶりで読み応えに欠ける。
原平 随了
評価:D
〈種取帳〉とは、狂言台本のネタ帳という意味だそうで、現実に起こる事件と、その事件に材を取った芝居が相互に物語を補完して、虚実の狭間から江戸庶民の哀歓が浮き彫りになって見えてくる……。そんな二重構造の凝った物語を期待したのだが、結局は、単なるタイトルの一工夫でしかなく、内容の方は何の新味もないものだった。描かれる事件は陳腐で、推理の冴えも、短編小説の切れもなく、また、下町人情ものとしても何ら訴えてくるものなく、キャラクターも魅力に乏しい。作中で度々繰り返される師匠と弟子とのやり取りに、狂言作家の機知や人情の機微などがさっぱり感じられないのだから、たぶん、このお話の中で上演される芝居もすこぶるつまらないものであったに違いない。
小園江 和之
評価:B
帯には捕物帳って書いてありますが、十手や投げ銭は出てきません。大阪出身の人気狂言作者に弟子入りした武家の次男が、師匠に勧められて市井を歩き回り、見聞きした事柄のうち面白そうなものを書き留めておく種取帳(いわゆるネタ帳)が発端になっていろいろな事件に巻き込まれていく、という趣向。江戸の四季や風物の描写も丁寧ながらさらりとしていて、さくさくと読み進めます。師匠をはじめとして、この主人公の青年にからむ脇役達も嫌味なく描かれていて爽やかな読み味でした。とくに主人公にいつしか魅かれていく「おあさ」というのは、実にこう、いいです。まずは御一読あれ。
松本 真美
評価:A
私は時代小説愛好者としては新参者だが(前回も書いた。フレーズの使い回しだ)この鉱脈はまだまだ良質のブツが無尽蔵で嬉しい。読む本に迷ったら時代小説…当分、この路線で行けそう。今回のブツもきわめて上物だった。職人芸の安定した文章とどこか清廉な展開がささくれた自分に心地よかった。設定も登場人物も魅力的。特に、拍子郎は微妙に天然してて好み。わりとふつうの女の子の(この場合の「ふつう」はどの時代が基準か自分でもよくわからないが)おあさとのデリケートな距離感がたまらない。小でんもいい味出してる。5編の中ではやっぱり表題作の「一の富」がイチバンよかった。今後も、時代小説でしか描けない世界を見せてくれるブツに出逢いたい…と手堅くまとめてみる私。
石井 英和
評価:A
採点員を拝命する以前は無縁のものと感じていた時代小説だが、採点対象本の何冊かに接するうち、それが、手の内の知識を基に虚構世界を構築してみせる一種のSFであることを知り、一挙に親しいものとなった。この作品は、ソフトなファンタジィ系列にでも位置しようか。妙な表現ではあるが、読み進むうち、巨大な銭湯に浸かっている気分になって来た。著者の描き出す、江戸の庶民文化という心地よい浸かり具合の湯船の中で、ゆったりと寛ぐ気分に。壁に描かれた富士の絵は、良く見れば絢爛たる芝居絵である。作中で起こる事件は、物語の提示というよりは、構築された江戸世界で生きる人々に魂を吹き込み、その内から「人情」を醸し出すための装置として機能しているようだ。そして描かれる季節ごとの日差しの変化。ゆったりと流れ行く日々の移ろい。いい湯加減だ。
中川 大一
評価:C
登場人物の数がちょうどよい。これくらいなら、何回も読み返さなくてもすっと通読できる。ミステリ仕立てで時に死体がぶら下がるとはいえ、雰囲気はあくまでのんびり路線。各編を通して読むと浮かび上がってくる人間模様は心地よく、連作短編集ならではの味わいだ。富くじや出合茶屋、芝居小屋の舞台裏がそれとなくストーリーに織り込まれるのもうまい。肩の凝らないソフトな時代小説の佳品。こういう本は巡り合わせが大事で、この手のものを読みたい気分の時でないと高い評点がつかないんだ。悪いところは見つからないのに、ごめんねー。この時はたまたま私、「もっと血を!」モードだったんだね。
唐木 幸子
評価:C
正直言って、松井今朝子にしては、今ひとつだった。こういう時代小説の連作の場合、物語を繋いでいく主人公の魅力がパワーになるのだが、そこが弱いのだ。主人公の並木拍子郎はガツガツしない良い男だし、拍子郎と好いて好かれて…という配役のおきゃんで料理上手な娘も可愛い。不義密通、幽霊、お家断絶…・・という王道ネタの事件に、適度な人情も交錯して江戸話としては必要な要素は全て揃っていると言えるだろう。だからこそ拍子郎が物足りない。そのキャラクターにハっとさせられる特長がなさすぎる。時代小説大賞をとった『仲蔵狂乱』は読者の想像力をかき立てるような奥深さがあったことを思い出すと少々残念だ。もっとも、これをシリーズ物にする気はないのかな。著者の一連の作品で楽しみなカバー装画もちょっと今回は地味目だった。
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