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長い腕
【角川書店】
川崎草志
本体 1,500円
2001/5
ISBN-4048732986
今井 義男
評価:A
ヒロイン島汐路が身を置くゲームソフト業界は、たいそう小説映えのする空間だ。テクノロジーの先端に関わっていながら人間臭を隠せない、各スタッフのパーテーション内の描写は殊のほか興味深く映った。いまの時代を象徴する<場>にも淘汰されずに残る呪術的側面は、自覚がない分不気味さも増す。物語がその先端から末端、つまり古い因習の残る故郷の旧家へと移行し、そこで私たちが目にするのは、ネット社会が温存してしまった負のエネルギーである。人間の生業が生み出す軋みや、本来心の奥底に沈殿すべき歪みは、途方もない容積の受け皿を得たことで解き放たれ、増幅し、全方位に向けて悪意の矢を放つ。異界への扉はここにもぽっかりと口を開いていた。これは生前の乱歩が想像もできなかった恐怖の形であり、血飛沫や惨殺死体に頼らない良質のサイコ・サスペンスでもある。すっきりとした文章と嫌味のない汐路の性格が陰鬱な空気を吹き払い、読後感は悪くない。皮肉ではなく厚みもほどよいと思った。
原平 随了
評価:B
インターネットを題材にしている点、サブリミナルを臭わせる展開など、ああ、またこの手の話か……と思ったのだが、意外や、読後感のすこぶるいいミステリーだった。事件の根幹をなすアイディアもかなりのものだが、しかし、この作品の一番の魅力は、やっぱり、探偵役であるヒロイン、汐路だろう。助手席シートをとっぱずした軽スポーツカーを駆る姿は実にカッコいいし、自分の選択した生き方を貫き通す点も爽やかで、また、田舎のコンピュータおたくの中ボーとのやり取りは何とも微笑ましい。ただ、ヒロインが田舎に帰ってからの活躍は、あまりにもすべてがトントンと運びすぎていて、何だか都合が良過ぎるし、また、因習はびこる田舎の描写もあまり雰囲気が出ていない。セリフや文章がちょっと子供っぽいという印象もある。が、恋愛がらみの話を、潔くすっぱりと切り捨て(ヒロインが魅力的なだけに、ちょっと残念ではあるが)、ホラーっぽい要素の強いこのミステリーを、キリッとしたトーンでまとめ上げていて、とても好感度の高いミステリーだと思う。
小園江 和之
評価:A
閉鎖的な田舎町のある旧家。その家が意図的に歪んだ造りになっていたとしたら、そこに長年住んだ人間は何らかの影響を受けるものなのでしょうか。中国の風水学からいえば当然あるってことになるんでしょうけど、そっちの素養のない私にゃなんとも分かりません。でもその分からない部分、そしてその家を造った人間の秘められた情念こそがこの小説の怖さなのかもしれません。主人公の女性をゲーム開発会社のキレのいい絵描き屋とし、さらにネット上なりすまし人格による感情操作事件を絡めませることで、どんよりと重くなりがちなテーマにスピード感をもたせることに成功していると思います。終盤のおどろおどろしい展開とラストのしみじみとした描写もなかなかでした。なにより無駄に長くないのがいいです。←我ながらしつこい。
松本 真美
評価:C
どーでもいいことだが、私はメンドくさくて美容院や買い物や旅行が嫌いだ。血液型や星占いにも全く興味がない。このあたりが、知人に、未だ女ならずの「未女」と言われるゆえんか。いわんや、家相や風水なんて…と言いたいところだが、今にして思うと、自分が9〜15才まで住んでいた家はちょっとヤバかった…気がする。我が家は一家離散したし、その後に越してきた家族もロクなことにならなかったらしい。心情的に黒い家。それと、私はネット世界が好きで嫌いだ。「本名はキケン」と助言されても、ハンドルネームで文章を書く、ということができない。たとえ、自分が構築した架空の人格だとしても(だからこそ、か)、パソコンの中だけで暗躍(?)し完結し、時に一人歩きするってのがダメなのだ。そのわりに、勢いとバカなサービス精神でよけいなメールや書き込みをしては後悔する日々。…スミマセン。全然、感想になってないのですが、この本を読んで思ったことは以上です。
石井 英和
評価:C
映画の世界では、もう当たり前に実写部分と組み合わせてコンピュ−タ−・グラフィックスが使われるようになっているが、その動作の具合を見ていると、どうも重みがないヒラヒラした動きばかりで、アニメの一種でしかないとの感が強い。この小説の手触りも、それに近いものがある。スト−リ−もあれこれ工夫は凝らしてあるが、軽く流れてゆくばかりで、あまり心に引っかかって来ない。登場人物も深みの感じられない、しかも同じような性格の者たちばかりだ。ただ雑多なものを詰め込んではしゃぎ廻る、著者の自己満足の姿勢ばかりが目についてしまう。また、前半で詳細に描かれるゲ−ムソフト制作現場の記述は、小説全体にとってどんな意味を持つのかが、よく分からず。いずれにせよコンピュ−タ−関連の話は、もう小説の風景としては見飽きたものになってしまった。
中川 大一
評価:B
アイデアとは、異質な要素の組み合わせである。だから、キツネ憑きの男を宇宙船に乗せてみよう。こう言ったのは星新一だったっけ。本作では、ゲーム制作会社で起こった転落死亡事故と、四国の田舎町で発生した猟銃乱射事件とが結びつけられる。最先端を行く業界と土俗的な血族関係の取り合わせ。面白い。一気読みだ。ただ、どうも肉付けが薄く、粗筋を読んでいるような感あり。この不満はどこかで味わったことがあるぞ……おお、そうだ! 『そして粛清の扉を』(3月の課題図書)だ。やっぱデビュー作ってこうなりがちなのかなあ。これが慣れてくるとだんだん話しが長くなってくるんだよな、たぶん。余計な書き込みが増えてくるんだよな、きっと。今後末永く、ちょうどよい分量でまとめるよう心掛けましょう。
唐木 幸子
評価:C
電子メールやインターネットを日常的にやっている人にとっては、ほおっと思うようなゲーム設計のプロの技術やネット犯罪のありようが満載で出てくるので、非常に面白い。冒頭に連続して起こる事件の提示も緊張感に満ちて、前半はすいすい読める。主人公の島汐路の冷静な仕事ぶりにも、本当に仕事が出来る人間の姿が描かれて好感が持てるのだ。このまま、くっきりとストーリーが進めば良かったのに、彼女が故郷の田舎町・早瀬に帰るあたりから、展開がまがまがしくなって来てとても残念。わざわざ怪奇小説にしたという感じがぬぐえない。クライマックスで、あんまりな犯人がその姿を現した時は、なんだこれは、と思ってしまった。でも、そうか、横溝正史ミステリ大賞を受賞している作品としては、こうでなくっちゃ、という100点満点なんだろうなあ。
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