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  クリスタル  クリスタル
  【ハヤカワ・ミステリ文庫】
  アンドリュー・ヴァクス
  本体 980円
  2001/6
  ISBN-4150796106
 

 
  石井 千湖
  評価:C
  でかい犬が好きだ。だからパンジイがいい。この犬が一番ハードボイルドでかっこいい。人間はエキセントリックなのばっかりでちょっと疲れた。シリーズものを途中から読んでいるからか背景が飲み込みにくいのだ。なかでもさっぱりわけがわからないのが魔女・ストレーガ。むむむ、これは『赤毛のストレーガ』を読むべきか……。いったい過去に何があったんだ、と思わせる。でも課題図書がたまっているのにシリーズの前作品なんて読めないしなあ。バークファミリーはなかなか魅力的なのでその点がちと残念。連続殺人犯ホモ・エレクトスとバークがパソコンで接触をはかるくだりは読ませる。

 
  大場 義行
  評価:D
  ヴァクスのアウトロー探偵バークシリーズは久しぶり。でも、やっぱりと云うか、かつての勢いが無いので、残念。しかも、今回は、シリーズでも異色のキャラクターである、凄腕暗殺者ウェズリーをひっぱり出してきている。1巻から、凄腕という噂と名前だけは出てきていたが、登場したのは4巻目というウェズリー。彼のインパクトは半端じゃなかったんだけど、本書はそのインパクトにすがる感じが否めない。いいキャラクターの名前を出せばいいというものでもないだろうし、やはり、初期の頃感じた熱意というか、そんな所が余り感じられなかった。

 
  操上 恭子
  評価:C+
  これもシリーズ物だ。それもあとがきによるともう11作め。さすがに突然読みはじめるには辛い。あとがきも登場人物紹介欄も見ないで読みはじめたので、主な登場人物の性別すらわからない(ミシェルが男なのか女なのか最後までわからなかった)。それぞれの関係もおぼろげにしかつかめなかったし、なによりも主人公バークの抱えている問題がはっきりしなかった。だが、シリーズの読者にとっては面白い一冊なのかも知れないと思った。あるいは賛否の別れる一冊か。シリーズ自体の転機となる作品という印象を受けた。小道具としてのインターネットの取り上げ方が面白かった。しかも、主人公バークが自分ではまったく使えない所など、妙にリアルで可笑しい。

 
  山田 岳
  評価:A
  何もすることのない夏休みが、この1冊を読むだけで充実したものになります。はじめは、その分厚さにたじろくかもしれへんけど、ページを追うごとに加速度がついていきます。映画のように短いカットを丁寧につみ重ねてはんのと、会話のシーンがめっちゃ多いさかい。細かいところはようわからへんでも、なんとのう勢いで読みとばしてしまいます。探偵小説のスタイルを借りたアウトロー小説。本を閉じてから、はたと、疑問が浮かびます。こないな結末でええのん? 依頼人の約束を果たしてへんのと違ゃうのん? と。それにしても、インターネットで犯人と接触できるとは、便利な世の中になったもんやね。

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