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ため息の時間
【新潮社】
唯川恵
本体 1,400円
2001/6
ISBN-4104469017
今井 義男
評価:AAA
恋愛は音楽でいうコードのようなものだ。相性が合ったときの心地よさといったらとても言葉ではいい表せない。いつの間にか、すっかり恋愛小説アレルギーを克服した私の乏しい読書経験では、女性の描く男に見るべきものが多かったように思う。唯川恵もそんな作家の一人である。『終の季節』ではリストラされ、妻と娘に愛想をつかされた男の無聊をかこつ姿が痛ましく、最後の携帯電話の会話では不覚にも落涙した。三十年ぶりに父と息子が会う『父が帰る日』もたまらない。なんで男はこんなに世話が焼けるのだ、まったく。予想外の収穫『分身』は<その気>で読んでいなかったのでとても驚いた。これは、どこぞのアンソロジーに収録されても遜色ない●●●●●●●●テーマの優れた変形である。唯川恵は<そっち方面>の才能にも長けている。詳しく説明できないので●●●マニアはとにかくお読み願いたい。といってもこれではなんのことかさっぱり分からないだろうな。
小園江 和之
評価:A
九篇の短編からなる恋愛小説ですが、すべて男の視点から描かれており、これは以前から著者がやってみたかったスタイルとのことです。さて、それで登場する男たちのリアリティがどうかというところに大いに興味を引かれたのですが、まあそのなんとはなし、どの主人公もいまいち間抜けっぽいんでした。いくらなんでもここまで考え無しじゃあないぞ、なんてイキってはみたものの、まてよ、小説ゆえの強調がなされているだけで、おれにしたって実は五十歩百歩かもしれんなあ、なんぞと思い直したりしました。「口紅」では主人公の浮気相手の「女は男の気持ちがわからないんじゃなくて、わざとわからないようにしてあげてる」ちゅう台詞を読んで、ああ男はやっぱし女にはかなわんよなあ、と観念しちまいましたし。それと「僕の愛しい人」は一見荒唐無稽のようですが、こういう愛のかたちって実際にあっても不思議じゃないと思うんですよ。まあ実体験できるかどうかは別ですけどね。
松本 真美
評価:B
わからん男っている。理解不能って意味じゃなく、どこか本質的な感情の理解力が欠落してる男。天然、とも似て非なる、言うなれば、ごく一部がそもそも起動しない男。発育不全ならぬ起動不全。それを知りつつ「好きになったらしょうがない」と思う女もいれば、思えん女もいる。この短編集は思う女。私は、自分はずっと思えん女だと自覚していたが、最近、思う女の気持ちもわかる…ような気がする。それもまたうっとうしいもんだが…。「世にも奇妙な物語」的な話と、淡々と「帰れない時間」を紡ぐ話がある。どちらも楽しめた。前者の「分身」はこのご時勢にフィット。後者の「父が帰る日」のどうしようもなさも印象的。前者系の「濡れ羽色」で、以前抱いた「髪の長〜い女ってなんとなく怖そう」という先入観を自分に再入力。毎日のように自分で髪切って日に日に短髪化する私も、人から見れば違う意味で怖いかもしれないが。
石井 英和
評価:B
そんな話は小説やテレビドラマで何万回も聞かされたぜ、といいたくなる冒頭の作や、援助交際にリストラと、恥ずかしくなる様な組み合わせの時事ネタの作品などが並ぶ前半部分を読み、困ったものだと思っていたのだが、奇妙なドタバタ劇「言い分」あたりから、がぜん面白くなってきた。恋愛小説、という触れ込みから外れて、いわゆる「奇妙な味の小説」の域に逸脱しはじめるのだ。例えば「濡れ羽色」のカラスの使い方が気持ち悪くて良い。「分身」の、あっちの世界まで行ってしまうラストが良い。しかし、あと書きを読むと、著者はこれらをあくまでも恋愛小説として書いたようだ。う−ん、本当に?例えば「バス・ストップ」を、こちらは人間そのものの奇怪さと受け止めるのだが、著者は恋愛の奇怪さとして書いた訳だ・・・
中川 大一
評価:B
うっうっう〜(;o;)、中年男はつらい! 妻にゃ疎まれ、子どもからはバカにされ、愛人にも逃げられる。そして働きづめの終着駅がリストラ。何もできないくせに威張り散らすばっかだから、本書の読者からもまるで同情されないよ。と、いうような、女性(作家)から見た男のアホさ加減が各篇の基調にあるのは間違いない。しかし、本書の魅力は、そんなモノトーンの印象に収斂されない多彩な味わいにある。お笑い路線、幻想的な話し、SFチックなストーリー。それらが程よく混ざっているので、前話の雰囲気を引きずっている読者の構えを次の話しが裏切る。そこが味噌なんだね。特に、「言い分」には笑けました。終盤の畳みかけるような発話の切り返しが、嘉門達夫の「鼻から牛乳」を彷彿とさせる傑作だ。
唐木 幸子
評価:A
いるなあ、こういう『ひどい目にあっても自業自得だっ!』と見捨てたくなる男。そんな男たちが出るわ出るわの短編集だ。『言い分』では、結婚する予定の恋人がいながら、男はお嬢様っぽい新入社員と浮気してしまう。その女性二人が真っ向からぶつかりあう中傷を男の両側からささやく。女なら誰でも持っている二面性なのだが、単純な男はワケわからないで混乱するだけだろうなあ。若い妻の貞淑を試す積りで別人になりすましてメールを送る『分身』、初めて化粧をした妻を叱り飛ばす抑圧的な夫を描いた『口紅』など、心理の機微に疎い主人公が自ら災禍を招いていく姿が実にリアルだ。女性作家が男性をここまで描ききると言うのは珍しいのじゃないか。内田春菊のように鋭く暴くのではなく、うろたえる姿の惨めさを著者は哀れみつつ書いている。本著のように期待を大きく上回る作品に出会うとしみじみ嬉しい。
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