年別
月別
勝手に目利き
単行本班
文庫本班
     
今月のランキングへ
今月の課題図書へ

商品を購入する
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
 
  むかつくぜ!  むかつくぜ!
  【文春文庫】
  室井滋
  本体 476円
  2001/9
  ISBN-4167179040
 

 
  石井 千湖
  評価:C
  室井滋といえば大好きだった『やっぱり猫が好き』のレイちゃんだ。とぼけた三姉妹の次女でトラブルメーカー。ドラマのなかでも職業は確か女優じゃなかったっけ。最近では電波少年でいろんなところに拉致されているというひとというイメージが強いのでは?しかしどんな酷い目にあってもこのひとは「面白がってしまう」のではないかと思わせるところがすごい。いろいろとんでもないできごとが起こるけど、なんといっても一番インパクトがあるのは痴漢話だ。いやー、痴漢って多いんだなあ。妙に感心してしまった。父親との思い出にまで登場するのだから驚く。よくよくあいやすいタイプなのだろう。読んだ後何も残らないけど楽しめた。

 
  内山 沙貴
  評価:B
  軽快な口調で読者にこびることなく、感情の押し付けないこのエッセイは、読んでいると美味いうどんのようにちゃんとこしがあって汁も正統派で気分がいい。溢れる泉のように尽きることなく涌き出てくる日常のちょっとしたハプニング。しかもそれらのハプニングは「なんでそんなグッド・タイミングで起きてくれるのだ?」と叫びたくなるくらいぴったりな場所と時間に起こる。まさに超優等生なハプニングたち。だから何度起きても「仕方あるまい、この程度のことなら許してやるか」と寛大に云ってみたくなる。でもやっぱりハプニングは起こるよりも起こらない方がいいかな、たとえ話しのネタが増えようとも。

 
  大場 義行
  評価:E
  帯に伝説の処女エッセイ集初の文庫化!とあるので、これは並のタレント本じゃないと楽しみに読み始めて、呆然。結局普通のタレント本じゃん。これで伝説ですか。女優としての愚痴だったり、はた迷惑な友人に対する愚痴だったり、そりゃもうタレントさんだから売れたんではないだろうか、だから伝説なのかいと独り勝手に憤ってしまいました。なんだろう、読み終えて印象に残っているお話がひとつも無かった。

 
  操上 恭子
  評価:C+
  実は、ほとんどテレビを見ないので、室井滋がどんな顔をしているのかもわからないのだが、いつもこんな生活をしている人が、女優としてどんな役をこなしているのかは、是非見てみたいと思った。本書の内容といえば、作者の日常生活のお間抜けな出来事や重箱の隅をつついたような文句、友人たちのこと、学生時代のエピソードとかなり幅広い。学生時代の話など、得がたい体験談も多く楽しそうで、うらやましい限りだが、それが自慢モードになっていないのがいい。こんなに色々なテーマを扱いながら、本全体で見た時にはほとんど内容がないのもすごいと思う。暇つぶしにパラパラ読むのにちょうどいい本。挿し絵なのかページ調整なのかわからないイラストもなかなか味がある。

 
  小久保 哲也
  評価:C
  室井滋といえば「やっぱり猫が好き」を思い出す。あの深夜番組に出演していた時の著者の語り口が、まさにそのまんまエッセイになっていて、ずいぶんと懐かしい思いがした。彼女の文章を読んでいると、彼女の声が聞こえてくる。飲み屋に行って、お酒を飲みながら彼女の話を聞いているような、そんな感覚がとても心地よい。 もっと肩の力を抜いて、もっと自然に、そうして書き続けて欲しいと思う。今後の彼女に、期待◎だ。

 
  佐久間 素子
  評価:C
  女優・室井滋の初エッセイ。むかつくぜというよりは、とほほな事件集だ。ネタじゃないのか?と疑ってしまいたくなる数々の事件を、本人はあとがきで「丁度私にあっている」という。出来事が人間を選ぶのだろう。どの事件も情けなくておかしい、これがまず基本。そして、そのまわりで人間くささというしかないものが、必ずや、ぼやぼや漂っている。そこからメッセージを読みとるとすれば(そんな必要ないんだけどさ)、世の中いろんなやつがいるが、迷惑かけつつかけられつつ、やっていくしかないのよねってことだ。つかずはなれず、他人との距離の取り方が、大人っぽくて好感度大であった。

 
  山田 岳
  評価:A
  室井滋は魔女である(笑)。彼女の行くところ、かならず「アクシデント(笑)」(宮部みゆき)がおこり、周囲を笑いの渦へとひきこんでしまう。というのも、この魔女、まだ、みずからの術になれていないようで、アクシデント(笑)に遭遇するたびに「どっひゃあ」というリアクションをしてしまうのであった。しかも「類は友をよぶ」。魔女には同類の友がおおく、ゆえに彼女はエッセイのネタに事欠かない。そのひとり、K君は居酒屋でナンパしたB子と同棲をはじめるのだが、B子は当時すでにめずらしくなっていた学生運動をしていた。セクトは黄ヘル。B子に対してK君は言う「実は僕もやっているんだ」。セクトは青ヘル・・・。死ぬほど笑った。寂しくて居酒屋でナンパをくり返している男が、学生運動をやっていたなんて。そのうえ、敵対するセクトの女をひっかけていたという人生の皮肉に。こんなところにウケてしまう評者ってヘン?

戻る