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ホームレス作家
【幻冬舎】
松井計
本体 1,500円
2001/9
ISBN-4344001125
石井 英和
評価:A
ホ−ムレス生活を心ならずも実体験しつつ著者は、彼等の日々が「はっきりと記すことは出来ないが、もっと切実で狂おしい何か」への渇望に満たされていることを発見する。人類が太古の闇に捨ててきた筈の、恐怖の叫びに満たされた心の地獄。その底へ落ちてゆきたいという倒錯した欲望が、実は万人の心の底にある。だから人間は、無理矢理発明した「社会のシステム」を機能させ、それにすがって、やっとのことで命脈を保ってきた。システムのほころびにはまりこんだ著者は、「自分は作家失格?夫失格?なおかつ浮浪者失格?」と律儀に自問を繰り返しつつ彷徨い、この手記をものにする。その視線の先、欠陥だらけの生を送る人間たちとその社会は、いつかもの悲しいコメディの様相を呈し始める。世界は実は、一個の壊れたオモチャなのだと知らしめてくれる書。
今井 義男
評価:B
本書をホームレスの一般論として読むのは適当ではない。著者は現役の作家であり、原稿を書く環境が整い、それを買い取る出版社があれば収入が見込めるのだ。現にこうして本が出ている。住居を失ったとはいえ家族は施設で保護され、なにかと気にかけてくれる人もいる。他のホームレスに比べればずいぶんと状況はマシである。したがって、大変な事態には違いないのだろうが、著者の苦闘ぶりはどこか仮の姿のようであまり深刻な印象はない。本文中ボランティアや宗教関係者に対する強固な偏見が見受けられる。他人が口をはさむ性質のものではないが、彼らがいなければ明日にでも生死にかかわる人たちがいることにも目を向けてほしい。もの書きならなおさらである。本筋とは離れるが、著者が三日でクビになったバイト先の<共同出版>の話は実に興味深い。色んな商売があるものだ。
唐木 幸子
評価:A
この著者は前の年の年収が500万円、通常は1000万円の年収があったという作家だ。妻子を養うに充分な収入だと私は思う。それでも、こんなにあっけなくホームレスになるのだ。最近は、ホームレスになる恐怖にサラリーマンでもさらされている。私だって23年間も月給を貰うのが当たり前の暮らしだが、そういう心配が全くないとは言えない。でも本著を読んで私は学んだぞ。例えそういう事態になったとしても、他のホームレスの人々と寄り集まって酒盛りだけはしない。酒を飲む金があったら、体の汚れや臭いを落とすことに使う。ここが著者が再び社会に戻って来れた分岐点だ。それにしても居丈高に登場しては著者を貶めるケースワーカーの女は本当に腹立たしい。このように無知で程度の悪い人間を取り立てる行政は、一体、何の積りなのだ。こんなのにも負けず、よく頑張ったなあ、この著者。今、どうしているんだろう。この本が売れて、ちゃんとアパート借りて、奥さんや、あの可愛い娘、産まれた赤ちゃんと一緒に暮らせていますように。待てよ、そうするとまたホームレスへと…。
阪本 直子
評価:A
ホームレス作家は、ホームレスではない。金と住む所のない作家、なのだ。金も住む所もない人間は、普通の人の群れの中には入れない。他人が見てそうと気づかなくても、彼自身が常に強くそのことを意識し続けざるを得ないのだ。しかし彼は、ホームレスの群れの中にも入れない。だからホームレス作家は全く一人で、真冬に夜通し歩き続ける。歩いていなければ、凍死するしかないから。この本に書かれているのは今年2001年の、本当につい最近の出来事だ。ハードカバーの本だけれど、雑誌に載る告白手記に近いような生々しさがある。告白手記というものの大概は、文章を書くことを生業としていない人が書くものなので、殆どの場合、内容はともかくも文章それ自体は大したことがない。ところが本書の場合はプロの物書きの手記な訳で、その臨場感はただごとではない。真冬の都会の底冷えが背中に這い上がってくる。
谷家 幸子
評価:A
この本を読み終わった直後、空腹を覚えた私は、コンビニに何か買いに行こうと思って財布を探した。すると、いつも使っているバッグの中に見当たらない。あれっと思って、部屋のあちこちを順に見ていったが、やはりない。ちなみに、そのとき財布の中には珍しく7,8万入っていた。そして、このとき私を襲った感情は、「恐怖」と呼ぶべきものだった。つまり、軽いパニック状態に陥ったのである。しばらくの間、文字通り部屋の中を右往左往した挙句、財布は無事みつかったが、それにしてもこのときのうろたえぶりは、この作品のもつ強烈なリアリティ抜きには説明しにくい。瞬間ではあるが、私は心底怖かったのだから。自身の、路上生活者へと到る顛末と、その日々の実態や感情の揺れ動きを克明に描いたこれは、「ノンフィクション」などという言葉では表しきれない凄絶さを持つ。必読の一冊だ。
中川 大一
評価:A
ごくり。本書を読みながら、私は何度か生唾をのみこんだ。次々と作者に押し寄せるピーンチ。「どうなるんだろう?」という焦燥が、我がことのように感じられる。「どうせ大したことないんじゃないの?」「ちょっとした貧乏をおもしろおかしく書いてるだけと違う?」そんな予断はすぐ覆される。確かに、段ボールで寝たり残飯をあさったりはしていない。つまり作者は、我々と典型的ホームレスとの境界をさまよっているわけだ。はたしてどっちに転ぶのか? その不安定さがページを繰る手を逸らせる。すべての文筆業志望者は必読。もって銘ずべし。最後にイチャモンを一つ。「アルヴァイト」という表記が頻出するが、 正しくは「アルバイト」でしょう。手近に辞書なんか、なかったこととは思うけど。
仲田 卓央
評価:A
この本、救いがない。文章の端々から見える主人公の作家の姿は、傲慢、世間知らず、自己中心的である。かといって、女にモテる、とか愛嬌がある、ということもどうやらなさそうである。「おっさん、ええ歳こいてなにしてんねん。ごちゃごちゃ言わんと働かんかい」と言われるタイプの人である。その上、彼をとりまく状況も暗い。昭和の頃なら、無頼の物書き、などといわれる環境も、現代では「ホームレス」の一言でバッサリである。読めば読むほど、辛い。主人公に感情移入できない分だけなお辛い。しかし、私はこの作家のはらわたの曝け出し具合を買う。覚悟をきめて曝け出した部分も、期せずして滲み出てしまった部分もここまで曝け出されてしまったら、こちらとしては降参するしかないのである。
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