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├2001年6月
└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
誘拐ラプソディー
【双葉社】
荻原浩
本体 2,000円
2001/10
ISBN-4575234249
石井 英和
評価:A
帯に、「不覚にも涙する」とか「しみじみ泣ける」とか書かれていたので、ネトネトした湿気の多い作品を読まされるのかと嫌な予感がしたのだが、クライム・ノベルというよりはシュチュエ−ション・コメディの定石を踏まえた軽快な作品だったので、救われた思い。いやむしろ、帯で謳われている「涙系」とは逆と呼びたいくらいの作品じゃないか。読む者の気をそらさぬ巧妙な筋立てといい、ハ−ドな現実を描いても決して重くならない筆運びといい、最後まで途切れない緊張感といい、所々に差し挟まれる適切なギャグといい、実にいい感じ。人間の下らなさや崇高さが、良質のエンタ−ティメントに編み上げられているのだ。にもかかわらずその作品が、「ぼろぼろ泣ける」なんてつまらない売り方をされてしまうのは、なんだか情けないなあ。
今井 義男
評価:AA
誘拐は笑い事ではない。まして子をもつ親にとっては他人事では済まされない。当事者の心中は察するに余りある。その家の生業のいかんを問わずである。もっともその<生業>がこのように小説を飛躍的に面白くするのであるが。あまり深く考えずに成り行きで子供を誘拐してしまった男。成り行きで行動を共にし、協力的で誘拐された自覚のない子供。結果的に成り行きで動き出す、ある社会の住人たち。適度に活劇あり、適度に湿り気あり、適度にハラハラし、そして適度に笑える。逃亡する二人の微妙にズレた会話が、ちゃんと状況の説明になっているところなど読みどころは満載だ。大向こうをうならせたのが天藤真の世界的名作『大誘拐』なら、さしずめ本書は、そのうなった大向こうが一人残らず頬を緩ませ、思わず人に薦めたくなる快作だ。ちなみに舞台は地図から抹消された《大宮市》、子供の名前は《伝助》である。意味が分かった人は何人ぐらいいるかな。
唐木 幸子
評価:A
秀吉は、38歳にもなって女房も子供もいない、住む家もない、金もない男だ。前科持ちの自分を雇ってくれた神様みたいな親方を行きがかりで殴り飛ばして出奔してしまった彼は、そんな度胸もないのに誘拐に手を染める。さらった6歳の男の子が広域暴力団の組長の息子で・・・という展開はさして珍しい感じはしない。しかし、この暴力団のナンバーツーの桜田が格好良いのだ。私はどうも、実世界でもナンバーツーに惚れる傾向がある。大物だが仔細に目が行き届かぬ大将をだいじにして恩義に厚く、冷静で抜かりなく上下前後左右に目を光らせて洞察に富む。余計なことを語らず、一番の苦労を厭わずにしょいこんで組を支えるナンバーツー。ああ、いいわあ。話の中身には、おい、あの話はどうなったんだ、とつつきたくなる雑さもあるが、この桜田の格好良さと、誘拐される伝助の可愛らしさがたまらんので、よし、Aだ。
阪本 直子
評価:C
3分の1くらいのところでもしやと思い、半分を過ぎる頃には確信した。この作者は絶対に、ドン・ウィンズロウの『ボビーZの気怠く優雅な人生』を意識してる。しかし、えっあれに似てるの、じゃあ読もっと、と思ったあなたは、ちょっと待った方がいいです。
軽い。その筈だ、作者がそもそも軽く書こうとしてるから。だけど、その軽さがね、軽やかな軽さじゃないんですよ。どっちかっていったら、軽々しい、の方だ。登場人物はどいつもこいつも、作者の手にかかって物語の中で奔走させられる駒に過ぎず、生みの親からいいように笑われてる。だから決して面白くない話ではないのに、何だかなあ……私の頭の中にはずっと、小賢しい、という言葉が張り付いていて消えませんでした。
テレビの2時間サスペンスの原作にするなら、結構面白くて何も考えずに笑えると思います。
谷家 幸子
評価:B
主人公の名前が「伊達秀吉」。大体において凝りすぎた名前はろくなことがないが、この場合は正解。世にも情けなくあわれでちゃらんぽらんなあんちゃんのそのおかしみが、この名前からにじみ出ている。そりゃあなあ、秀吉なんて名前付けられちゃった日にゃ悪さのひとつやふたつしたくなろうってもんだ。またその悪さがスケール小さくてさらに情けないんだが、妙な切実感もあってどうにも憎めないというか、だんだんこの無謀極まる誘拐劇を応援したくなってくる。
秀吉を追うやくざがまぬけすぎて、こんな怖くないやくざいるかよ?てな突っ込みを入れたくなる辺りはご愛嬌だが、これもやっぱり正解なんだろう。かっこいい人が誰ひとりとして登場しないというのが素晴らしい。唯一苦みばしってるヤマタ組ナンバー2桜田にしたって、6歳のお子様に「チェリーちゃん」なんて言われちゃってるし。
中川 大一
評価:A
あ〜、おもしろかった。『未確認家族』は殺伐たる引きつり笑い。こっちはほのぼのしみじみ笑い。やっぱこっちの方がいいやね。もっとも、キズはいくつか指摘できるだろう。香港マフィアのボスである王宗華は、酷薄ながら笑いを誘うユニークなキャラクターだ。その彼が、後段で主人公に施す処遇の理由は、やはり偶然に頼りすぎだろう。もう一つ。誘拐された子供の伝助は、常に主人公の緊張を解きほぐす緩衝剤の役割を果たしている。それがユーモア・ミステリたる本書の基調を形作っているわけだが、いつもとぼけた反応を返してくるので単調な感じがする。伝助が風邪を引くシーンはあるけれど、精神的にももうちょっと不安定になっていいんじゃないか。でも、何はともあれこの路線、私は断固支持!
仲田 卓央
評価:C
さえない中年男が人生最後の大勝負にと誘拐した子供は、埼玉県最大のやくざの一人息子だった……、という設定はありがちといえばありがちだが、それでもなかなかに読ませる。コメディーだから当然なのだが、明るいのが良い。主人公の中年男をじっくり眺めてみれば、この喜劇は本質的には暗い、ということが良くわかるのだが、この暗い喜劇を作者は強引な手法で明るいほうへと引っ張って行く。この手口は買えないが、志は買い。本来ならもっと魅了的に描けるはずのヤクザの面々が活きていないとか、やたらと濫発される擬音語が不愉快とか、ケチをつけたい場所は数多い。しかしこのご時世、コメディーで勝負してやろうという作家の志には拍手を送りたい。
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