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└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
危険な道
【早川書房】
クリス・ネルスコット
本体 1,200円
2001/9
ISBN-4150017077
石井 英和
評価:A
著者が、60年代アメリカの、公民権運動に代表される時代の転換点にこだわり続けた結果として産み落とした、一つの物語。公民権運動の中心的存在だったマ−チン・ル−サ−・キング師に関する史実に、前世紀的とも言える因習に閉ざされていたアメリカ南部の一都市を舞台に起こった、陰惨なリンチ事件をめぐる怨讐のドラマを重ね合わせることによって、著者は自らの内に刻まれた「時代の傷」に形を与えた。著者の、社会と時代に寄せる想いに則する形で丁寧に編み上げられているので、スト−リ−の流れや解かれるべき謎は、血肉の通ったものとなって提示され、熱いものが伝わってくる。また、並行して描かれる黒人たちの生きる世界と白人たちの生きる世界も、リアルな手触りをもって描かれていて、興味は尽きない。
今井 義男
評価:AA
病める大国。その病原がどこに由来するかは、かの国の分かりやすい歴史が自ら証言している。これは流された二筋の血をさかのぼる苦渋に満ちた物語だ。黒人探偵スモーキーに舞いこんだ自身に関わる奇妙な謎。依頼人ローラの塗りつぶされた過去は、次第にスモーキーの忘れ難い過去へと擦り寄っていく。ときを同じくして、メンフィスは怒りの炎に包まれようとしている。まだ歴史とはいえない1968年の出来事である。警官隊が黒人たちのデモを暴力で制圧し、米軍がヴェトナムに雨アラレと爆弾を投下しているとき、ジョウ・ベイリーと同じ年頃の私は、毎日砂場でプロレスに明け暮れていた。恥ずべきは無知である。時代背景のもたらす緊迫感と、無駄な修飾を削ぎ落とした文章がざくざくと胸に突き刺さる。
唐木 幸子
評価:B
主人公の黒人探偵・スモ−キーと依頼人の白人女性・ローラが一緒に初めて週末を過ごした朝、ベーコンと卵料理を作って二人だけで食べる場面がとても良い。その初々しさ、気恥ずかしさ。恋のとば口ってこうだよなあ、私はもうこんな場面に身を置くことは一生、ないんだよなあと思って寂しくなるくらい、良かった。この作品は01年アメリカ探偵作家クラブ賞最終候補だが受賞はしなかった作品らしい。ということは、先月の新刊のランズデール『ボトムズ』(最優秀長編賞)より点数が悪かったわけだ。しかし私は、スモ−キーの思いやり溢れる人間性や60年代のアメリカの公民権運動の混迷を内部から疑問を以って描いた客観性など、本作の方が、なるほど、と心打たれる場面が多かった。その分、娯楽性に欠けて、政治的局面もハードボイルド的状況も本作の強い性格付けになっていないのが弱点か。
阪本 直子
評価:A
私立探偵スモーキーに舞い込んだ、奇妙な遺贈の話。彼は贈り主に全く心当たりがない。贈り主の娘ローラの依頼を受けて、その謎を探り始める。彼とローラの過去にはそれぞれ秘密があって、どこかで交錯しているらしい……。
と説明すると、舞台設定はどうでもいいかのようですが、実はこれが重要。1968年のメンフィス、マーチン・ルーサー・キング暗殺事件がもうすぐ起こる時と場所。穏健な運動と過激な運動が対立し、巧妙な弾圧も起こり……街を覆う興奮と不穏の空気が、そのまま物語全体の雰囲気になっています。
ただちょっと残念なのは、スモーキーの過去に比べてローラのそれは、語られ方が最後でちょっと駆け足になっちゃった感があるのだな。確かに主人公は彼の方だけど、「私立探偵モノ」でもある以上、依頼人が過去と向き合う時、というのはたっぷりしっかり描いてほしかったぞ。
谷家 幸子
評価:A
翻訳物の小説って、私にはどうもとっつきが悪いことが多い。それは主に、文体によるところが大きい気がする。読み進むにつれ、物語に引き込まれてあまり気にならなくなることももちろんあるが、文体に感じる違和感が障害となって物語に入っていけないこともある。あと、独特の比喩や、延々と続くディテールの書き込みなんかにも閉口することが多い。ただ、これは原文そのものの持つものなのか、それとも訳文から来るものなのかがわからないので、いつも判断に悩むところがあったわけだけど。
この小説は、普段感じるそういった逡巡を全く感じさせなかった。非常に読みやすい、流麗で簡潔な文体。比喩も癖がなく、抵抗が少ない。
依頼を受けて調べ始めた依頼人ローラの両親の過去が、主人公の黒人探偵スモーキーの過去と交錯してゆく過程は心地よい緊張感があって読み応えがあるし、実在の人物マーチン・ルーサー・キング博士のエピソードの織り込み方も自然で無理がない。
先月の課題でもあった「ボトムス」が受賞した、アメリカ探偵作家クラブ賞最優秀長編賞の候補作だったとのことだが、私にとってはこっちのほうが断然いい。翻訳もの嫌いの人にも絶対おすすめ。
中川 大一
評価:A
エンターテインメントの枠をはみ出さず、社会問題に正面から取り組む。その点でスパイク・リーの映画を彷彿とさせる。そう言うと、リーは鼻で笑うだろうか。彼が自作に取り上げたマルコムXは、本書の副主人公であるキング牧師を「生ぬるい!」と痛罵しているのだから。確かに、私が安心して本書を読み進められたのは、一つには主人公スモーキーの政治的な穏健さによるのかもしれない。だが、一般的な基準で言う過激さがいかに権力に頭を垂れやすいか、本書は見事に描いている。念のため言うと、この本は深刻な人種問題を娯楽のオブラートにくるんで提出しているのではない。語弊はあろうが人種問題そのものが面白いのだ。そのことは、例えばケビン・コスナーが好んで取り上げる民族問題と対照するとより明らかになるだろう。あれは単なる調味料にすぎないのだ。「ダンス・ウイズ・ウルブス」で、主役はなぜ白人女性と結ばれるのか? 本書に描かれる恋愛と比べてみてほしい。味読に足る骨太の一冊。一押しだ。
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