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└2001年5月
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
雪虫
【中央公論新社】
堂場瞬一
本体 1,900円
2001/12
ISBN-4120032159
石井 英和
評価:B
とりあえず一気に読みおえてしまったのだから最高点を献上しても良かったのだが・・・人々が時の向こうに葬り去ったはずの怨讐が、捜査の進展とともに暗い口を開け深々と広がり、ついには主人公の足元まで浸食するあたり、ちょっと唸らされる出来上がりなのだ。だが、差し挟まれる主人公の恋愛のエピソ−ドは、はたして必要があったかどうか?それは、物語に膨らみを持たせるよりも速度感を減じ、軟弱化する方向に作用しているように思える。しかも、その恋人に終盤の捕り物シ−ンにおいて、いかにも「主人公の恋人」が演じそうな役割を与えているのは、あまりにも「お約束」で、なんだか滑稽だ。スト−リ−的にも不自然な感じ。どうも余計な「恋愛もの」を付け加えた事が、面白くなるべき物語を興ざめな方向へ導いてしまった、そんな気がしてならない。
今井 義男
評価:B
幕開きがセンセーショナルな殺人でなく、どっしりと構えたスタンスは好感が持てる。受け狙いが見え見えの、浮ついた国産ミステリには正直辟易していて、松本清張や水上勉の小説が無性に懐かしい、と思っていたところだった。記号と化した死体も、奇天烈なトリックもこの作品には出てこない。刑事・鳴沢の地道な捜査が剥いでいく薄皮の下からは、犯罪に巻きこまれた人々のあえぎ、犯罪に手を染めた人々のおびえが瘴気のように立ち昇る。設定ゆえに初期の段階から事件の顛末が読めてしまうのは惜しいが、作者の目指す方向は誤っていない。いま私が望むのは、息づく生身の人間の物語である。ここにはその原石が埋まっている。
唐木 幸子
評価:B
親子3代続いた刑事の3代目、主人公・鳴沢了は、若いのにプロ意識に徹した仕事の出来る男だ。彼と父、祖父との葛藤や中学生時代の憧れの女性・喜美恵との再会など、話は訳ありに進む。殺人事件の被害者の老女は50年前は宗教団体の美人教祖。その取り巻きだった男たちにも魔の手が…という展開には、刑事物語ではなくて横溝正史調の雰囲気が漂う。いいぞ、いいぞと期待して読み続けたのだが、後半、失速してしまって少し残念。どんな真相が、どんな思いもよらないことがこの先に待っているのだろう、と期待させるつくりになっているのに、話の中心たるべき謎の解き明かしの部分が今ひとつ、深みに欠けるのだ。落としどころが見えてしまう。そういうガッカリ気分を忘れさせるほど了や喜美恵に人物的魅力があるかというと、それほどでもないしなあ。デパートの福袋を買ってワクワクして開けてみたら、入っている品々の質は悪くないんだけど欲しいものは入っていなかった、そんな感じだった。
阪本 直子
評価:A
いやあ久し振りです、こういうミステリを読んだのは。連続殺人は起こるけど、惨殺シーンもサイコパスのシリアルキラーも出てきません。主人公は刑事だけど、暴力団との癒着も被疑者への暴行も拳銃発砲もありません。その他、濡れ場も風俗嬢も援助交際も不倫も密入国不法滞在犯罪者もストーカーも出会い系サイトも覚醒剤も学級崩壊も電波系もハッカーも超能力者も出てきません。
そんなもの何も使わなくたって、現代日本のある都市で起こった事件の物語がちゃんと書けるんだよ。新潟の晩秋から初冬にかけて、冷たい空気の清冽さをどうか存分に味わって下さい。
それにしても、単発ものなのが返す返すも残念。ベテラン刑事カンエイさん、新米の海君、新聞記者・長瀬……誰も彼も実にチャーミングな脇役揃いで、シリーズ物にはもってこいなんだけどなあ。
谷家 幸子
評価:C-
「刑事になったんじゃなく刑事に生まれた男」にしちゃ、この主人公若すぎ。せめて30代後半、出来たら40代にはなっててくれないと。20代では、どうもリアリティに欠けるというか、そんなに何もかも分かったような気になってんじゃねーよ、と言いたくなってくる。まあこれは、私の年齢によるものかもしれないが。
ひとり暮らしの老婆の殺人事件の捜査を軸に、警察署長の父との確執や優秀な刑事だった祖父との交情、目撃者として現れた、中学時代に好きだった女性との恋愛が訥々と語られる。
一見とらえどころのない事件が、少しずつ現れる小さな事実によって、だんだんと形を成していくさまは警察小説としての王道、ではある。地味ともいえる起伏のなさも、奇をてらわないがゆえと言うことはできる。
しかしなあ。その割には、結構都合の良すぎるところが多い。だってさ、結局捜査のポイントとなる事柄って、全て主人公が直接かかわってるし。だからなのか、警察小説といいながら「捜査」って感じが希薄。ラストも、あんなことになるわりにはどうもふに落ちない。刑事として生まれたくせになんでそんなにすぐやめちゃうわけ?とか言いがかりつけたくなる。
中川 大一
評価:C
読んでる最中はシブい雰囲気の刑事ものとして楽しんだんだけど、本を置いてよくよく考えてみると、すごい偶然だぞ、これは。こういう人物がこういう時間にこういう場所にいて犯人を(ピーッ)(ネタバレ防止)したなんて。ミステリとしては弱いんじゃないか。でも、謎解きの部分をとっばらったとしても、味わうべきシブみがあるのだ。まだ若く(三十前)、腕っこきの刑事である主人公は鼻息あらい仕事人間だ。聞き込みする時も、相手の心情に対する配慮がない。が、捜査の進展とともに解決一辺倒の生き方に曇りが生ずる。父との深い断絶、祖父との微妙なすれ違いをどう乗り越えるのか。ヒーローの成長の「芽」がもう一つの肝なんだね。ということで、一勝一敗。評価は真ん中のC。
仲田 卓央
評価:C
殺人事件を地道に捜査する刑事の姿を描いた警察小説である。犯人は誰だ、事件の背後に潜むものは何だ、というミステリ小説でもある。ところが、実はこれ、『挫折小説』なんである。一度離れた故郷に戻り刑事となった主人公・鳴沢がどのように挫折するのか、それが実にクッキリと描かれるのだ。例えば鳴沢は言う。「正義がひとつしかないのは当たり前だ」「俺は刑事になったんじゃない、刑事に生まれたんだ」。自分の吐いたセリフに酔っているフシはあるものの、そしてこんなこと言うヤツは相当単純なんだろうな、と思わないではないものの、言いたいことはよく分かる。そんな分かりやすいヤツがどんな道程を辿って挫折するのか、それがこの小説の見所である。警察小説あるいはミステリとしては平凡だが、若人の挫折物語としては佳作。
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