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  グッドラック 戦闘妖精・雪風  グッドラック 戦闘妖精・雪風
  【ハヤカワ文庫JA】
  神林長平
  本体 860円
  2001/12
  ISBN-4150306834
 

 
  大場 義行
  評価:AAA
  神林長平は、最高の作家の一人だとずっと前から思っていた。でもなぜか評価されていないような気がするのはどうしてなんだろう。この「戦闘妖精・雪風」の続編も、とにかく面白かった。これは前作もろとも読んだ方が間違いなくいい。ジャムという謎のエイリアンと戦う人間たちの話なのだけれど、これが単なる宇宙人と戦う宇宙大戦争的物語ではない。人間、機械、そして人類の敵ジャム。三者三様の展開をみせて飽きさせないし、人間だけでも主人公が配属されている特殊戦と他の部隊、機械と人間、ジャムと機械、ジャムと人間と関係が複雑でとにかくオモシロすぎる。しかも、神林長平得意の存在するという事はどういう事なのか、言葉とはなんなのか、なんて事を織り交ぜていて、SFを通り超している。とにかくこれは最高の作家による最高の作品の一つと声を大にして言いたい。

 
  北山 玲子
  評価:C
   最初に断っておきますが、私はSFが苦手です。苦手な私の言うことなので評価になるのかどうか…。が、「グッド・ラック」は夢中になって読んでしまいました。いや、ほんとに。これって、続編だったんですね。前作を読まずにいきなり続編を読むという暴挙に出てしまいましたが、それでも面白かった。一番興味深かったのは、遠くで行われている戦争は他人事のように見えるという、戦争の縮図が描かれているところ。この小説でも、ジャムという正体不明の敵と戦っている特殊部隊の存在が地球では忘れられていく。挙句の果てには敵などもともと存在せず、彼らは妄想と戦っているのではと言われる始末。戦う場所が宇宙空間だろうと地上だろうと、相手が人間でもそうでなくても、戦争は同じ道筋を辿っていくものなのだ。たぶん。とにかく、いろいろと深いテーマを扱った内容でSF音痴の私が、人と機械との共存についてしばしの間考えてしまった。しかし、人物描写があまり詳しく書いていないのと、登場する女性たちがみんな同じようなキャラクターに見えてしまうところはイマイチでした。順番は逆になっちゃったけれど、これから、前作「戦闘妖精・雪風」を読もうと思います。

 
  山田 岳
  評価:C
   冒頭からえんえんと続く戦闘機の空中戦シーンをたのしめるかどうかで、評価は天と地ほどにも分かれることでしょう。コックピット内のかなり細かな描写は、戦争小説のファンにはたまらないかもしれないが、そうでない読者には逆の意味でたまらない。SFコミックのノベライズ(小説化)という印象はいなめません。

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