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嗤う伊右衛門
【角川文庫】
京極夏彦
本体 552円
2001/11
ISBN-4043620012
内山 沙貴
評価:C
闇に見紛う黒い蝶が宙を渡り、目の前を音もなく舞っている。ハラハラと、命の金粉をこぼしながら、闇に侵され人目に晒され舞う、朽ちてゆく。美しいと思わせてドン底に突き落とす。そのやり口は見事、しかし気味の悪い後味を残す。一体私は何を口に含んでしまったのかと心配になる。夜の帳は降りて数刻、人気のない夜気染まる丘に白く咲く、大輪の華。真っ暗な闇をその足下に従えながら、妖しく微笑むように行者を惑わす。それはまるで人の顔をしたあやかしの様に、光り輝きそこに佇む。命尽きるまで、ずっと佇む…。
大場 義行
評価:B
この路線になぜ行かない京極夏彦。京極独特の当て字や大げさな文体が巧くはまっている。四谷怪談を恋愛モノにするなんて、まあ、元々からそうかもしれないけれど、ちょっと新しい四谷怪談になっているのではないだろうか。無口な伊右衛門、凛としているお岩にただ単にイメージを変えただけじゃないかと、一言でこれは言えない。なにせ怪談の雰囲気を引き継いでいるし、元と違うけれど歪んだ愛情があるし。お岩の出番が案外少なく、これが少しがっかりではあるけれど、かわりに伊右衛門の作りがとんでもなく格好良く、素晴らしい作品だった。京極のもっとこういったモノが読みたいなあ。
北山 玲子
評価:A
腹の中にどろどろとしたものを溜め込んでいる伊藤喜兵衛。この男が妖怪に思えてならない。彼には悪事を働いているという意識さえないように見えるからだ。喜兵衛の悪意がお岩と伊右衛門のお互いの気持ちを踏みにじる。憎い奴だが、彼がいることで主人公たちの純粋な想いがぐっと浮かび上がる。ただの悪党には違いないのだが、私はこういうキャラクターが気になって仕方がない。すべての出来事がこの男を中心に起きているように見える。それにしても、四谷怪談をこれほどまでに切なく悲しい物語に仕上げるとは、京極夏彦はすごい。はじめは京極版・四谷怪談と聞いてさぞかしおどろおどろしい話になるのかと思いきや見事に裏切られた。感情表現が下手なお岩と伊右衛門は似たもの同士。そんなふたりの不器用な姿が余計に胸を締め付ける。本書を読むのはこれで何回目だろうか。自分でも呆れるくらいこの物語が好きだ。物静かでいちども笑ったことのない伊右衛門が、一気に感情をあらわにさせて嗤うところは何回読んでも泣けてくる。
佐久間 素子
評価:A
伊右衛門の破れた蚊帳から夜が染みてくる。ここから物語は始まる。古典好きなら四谷怪談がどんな話かくらい知っている。蚊帳の向こうの闇がひたすら深いことも、その不吉な闇がこけおどしじゃないこともわかっている。希望なんて毛筋もみせずに、ゆっくりと破局へ進む物語を、読者は最後まで追うしかないのだ。執拗なくらい丁寧に心の動きをなぞるという著者のスタイルは、すべての理不尽をなくしてしまう。歌舞伎のお約束である偶然も、本作ではけれんにならない。強くて正しい岩の狂気も理解できてしまう。果てしなく正気でありつづける伊右衛門が犯す殺人も。どんな悪も。どんな弱さも。物語は夜の蚊帳の中で、いったん幕となる。悪事も殺人も屁とも思わぬ色悪の伊右衛門にもひかれるが、本書の伊右衛門も凄絶な魅力があった。ここにあるのが愛じゃないなら、一体何が愛だというのだ。個人的には、著者の最高傑作だと思っている。怖い、哀しい、美しい。
山田 岳
評価:A
伊衛右門は冗談も通じないほどのマジメ人間、お岩は情よりも理が先に立ちすぎる気の強い女性という、人物描写が目新しい。ふたりは、本当はほれあっているのに、怪談話になっていく。それがミステリー仕立て。登場人物一人ひとりが各章の狂言回し(中心人物)になっているというスタイルも斬新です。はじめちょろちょろ、中ぱっぱ、と話をもりあげていく著者の力量。文句なしのエンタテイメントです。でも、お岩に毒をもったのは、誰だったのだろう?
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