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ミスター・ヴァーティゴ
【新潮社】
ポール・オースター
本体 2,400円
2001/12
ISBN-4105217070
石井 英和
評価:C
う−ん・・・申し訳ないが退屈でした。空を飛ぶ能力を持つ少年の物語と言う事で、破天荒で楽しい物語を期待したのだけれど、作中における「飛ぶこと」はSF的、あるいはファンタジ−的興味を満たしてはくれず、単に旅回りの芸人たる少年の「持ち芸」以上のものに発展する事はなかった。スト−リ−にもあまり起伏はなく、大恐慌時代から第2次世界大戦前あたりを生きた一人の人物の青春記を地道に描いているのみ。ただ、読んでいて常に感じていたのが、著者が強烈に「アメリカ」にこだわりつつ物語を紡いでいること。著者は、アメリカの大衆文化や民間伝承の伝統へのオマ−ジュとして、この物語を紡いだのではないか。おそらくこの作品の存在価値はそのあたりにあり、愛国愛国で沸き返る今日のアメリカ国民が読むには、ちょうどいいのだろうが・・・
今井 義男
評価:AA
自然界には外見の美しさが危険度の高さを表現する生物が少なくない。いわゆる警戒色である。それに類するシグナルを感知した。すぐれたファンタジーには往々にして毒がある。その毒とは、性と死。空中浮揚も同じ匂いがする。ウォルト少年が初めて飛べた瞬間にも、飛べなくなった瞬間にもだ。悪に生き、師と友に出会い、苛酷な修行の末に会得した特殊能力に託した願いはまことに直截。重力の束縛に再びとらえられたとき、彼に戻る場所はひとつしかない。すべてが金のためなのである。甘ったるさがまるでない。アメリカをしぶしぶ認める気になるのは、ときに真の正義感をもつ官吏と、自国の古傷を直視する文学を生み出すからだ。私がどこかの中学校の校長だったら、この硬質な教養小説を、絶対に夏休みの読書課題に指定する。
阪本 直子
評価:AA
ふと『ストリート・キッズ』を思い出した。といってもミステリではないんだけど。街をうろつく子供と中年男が出会い、子供はある「技」を仕込まれることになる。そして育ってゆく本物の愛情と信頼……ね、この展開は似てるでしょ。
80歳近くなった彼ウォルトの回想記という形の物語の、大部分を占めるのは9歳から14歳までの頃。「人間の形をしたゼロ」だった子供が全米に名を轟かせる「ワンダーボーイ」になるサクセスストーリー。でも、駆け足で語られるその後の人生も実は物凄く波乱万丈だし、何といっても年月が長い。だけど、最初の数年間とは比べ物にならない。彼が習得したのは空中浮揚術というとんでもない代物だったけど、それだからじゃない。
子供が少年になり大人になる、その始まりの日々だったから。
こういう数年間があったなら、多分、それだけで幸せな人生といっていい。長い一生の中で、他にどんなことがあろうとも。
中川 大一
評価:C
人生山あり谷あり。栄華を極めたその刹那、真っ暗な地獄がぽっかり口を開けている。本書は基本的にファンタジーのはずだが、ときに目が覚めるような、また目を覆うような悲惨な事件が起こる。障害を持つ黒人少年が差別主義者に虐殺されるとか。それでも話しが沈鬱に堕しないのはなぜか。主人公が前向きに生きてるから? いいや。「前向き」なんて、前向きか後ろ向きかを選ぶ余裕のある特権階級だけが使える言葉にすぎないのさ。それよりも、本書に立ちこめる気分は、シニカルな諦念とでも名付けうるものだ。すべてがおシャカになったのなら、次に進まなきゃしょうがないじゃないか? かくして我々は、うまく運ばない人生に鼓舞されるという、文学ならではの逆説的な愉悦を味わうことになるんだね。
仲田 卓央
評価:A
人生は基本的に辛い。その辛さを、なぐさめるためにおとぎ話があるのだ、という話をしようとしているのではない。本作は、セントルイスの九歳の孤児・ウォルターが、名前からして怪しいイェフーディ師匠に拾われて、「空を飛ぶ芸」を教えられる。二人はショービジネスで大成功を収めるかに思えたのだが……、というおとぎ話である。しかし、そこいらのおとぎ話と違うのはウォルターが飛べなくなってからの人生がしっかりと、かつ悲惨にではなく描かれているということだ。飛べなくなったウォルターは浮き沈みを繰り返しながら、楽しいことや辛いことを経験しながら、確実に齢を重ねて行く。「人生最良のとき」を知っていて、しかしそのときがあんまり素晴らしすぎるから、それを忘れようと必死になるウォルター。その姿はポール・オースターの文体とあいまってガッチリと心に食い込んでくる。
人生は基本的に辛い。しかしその辛さを味わって、初めて出会えるものがある、と思いたい。
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