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狼の帝国
【創元推理文庫 】
ジャン・クリストフ・グランジェ
定価1050円(税込)
2005/12
ISBN-448821407X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★★
記憶喪失の官僚夫人と法をまるで無視した荒っぽい捜査官。
全く関係のない人物、遠くかけ離れた2つの事件が思いもよらぬ大きな組織へとつながっていく。
導入部からどんどんと現れるダークで恐ろしい真実にページをめくる手が止まらなくなりました。
かなり残虐な描写もあちらこちらに出てくるので、それも恐怖を増長させます。
単なるバイオレスサスペンスではなく、今現実に起こっていることかも知れないと思わせられるのは登場する組織が実在するものであること、からくるのかもしれません。
この類のものは女性がやたらとヒステリックな部分を強調して書かれていることが多いような気がするのだけれど、この作品に関してはそのようなことはなく、むしろ冷静さが際立っていたため、読みやすく物語にのめりこみやすくさせている。
細かい描写にも手を抜かない、バツグンに鋭い観察眼にグッときました。この作者の他作品も読んでみたい。
松井 ゆかり
評価:★★★
「なんか、リュック・ベッソンの映画っぽい話だなあ」と思っていたら、案の定(監督は違うものの)ジャン・レノ主演で映画化されているそうだ。この作者の前作である『クリムゾン・リバー』の映画を観ていた夫から「けっこうグロかった」と脅かされていたのだが、無機質な印象の文体で書かれているためか、恐れていたよりは気持ちの悪さや怖さは感じなかった。物語の最初から不穏な雰囲気に満ち満ちているが、これでもかと読者の意表を突いてくるストーリーの転がり方はそれ以上にスリリングだ。しかしこれで終わっていたら、ちょっとエキセントリックなサスペンス小説の域を出なかっただろう。ラストの意外さはさらなる驚きを我々読者にもたらす。まさか、あの人がここまでやれるとは…。あり得ますか?これって。任侠映画だと思って観ていたら、いきなりランボー(byシルベスター・スタローン)が出てきて場を収めちゃった、みたいな感じ。
西谷 昌子
評価:★★★
まだ映画の方は見ていない。読みながら、いい意味で先の予想を裏切ってくれる展開ばかりで、驚きの連続だった。アンナの日常の崩壊の仕方にまずぶっとび、記憶障害の正体にもう一度ぶっとび、爪の先についていたものに到っては降参するしかない。アンナが自分のことを知るにつれて、どんどん彼女の性格が変わっていく様子も見ごたえあり。最初は臆病な主婦だったのに、最後はほとんど別人だ。一方でトルコ人女性が3人、猟奇的な殺され方をする。が、物語はどんどんふくらみフランスのトルコ人社会の全貌が明らかにされるまで事件は解決しない。引退した警部シフェールと新米警部ネルトーのコンビも、なんともいえない味が出ている。文句なしのエンターテインメント。だが話が映画向けすぎるのと、カバーの写真のせいでどうしても映画化を想像しながら読んでしまうのが残念。
島村 真理
評価:★★★★★
三人の女性の死体、顔がゆがみ相手がわからなくなる奇妙な記憶障害、トルコの秘密結社。パリを舞台に、たたみかけるように繰り出されるカードは、読者を罠にかけ、驚くような仕掛けを見せる。良い意味での裏切りをしてくれている。
著者グランジェの、見事な想像力にきめ細かい博識さがストーリーに厚みを増し、恐怖と不安と興奮をかきたて、混乱の中に落とすのだ。もちろん、それは願ったりのことだ。
拷問の表現など、グロテスクさについて好き嫌いがあるだろうけれど、それぞれの事件がリンクしたときの気持ちよさといったら!長編ながら一気に読ませる。
浅谷 佳秀
評価:★★★
映画は観ていないが、後半が原作とかなり異なるのだという。物語の舞台となったフランスでは、つい先日移民の暴動が大きな社会問題となったばかりだが、トルコ移民の問題が絡んだこの作品は、移民国家フランスの暗部を描いている。記憶障害に悩むアンナ、彼女の相談を受ける精神分析医マチルド、連続猟奇殺人事件を追う若手警部のポール、引退した元警部で、ポールから捜査協力を依頼されたシフェールの4人にスポットが当てられながら物語は進行する。
アンナの記憶障害の真相はいささか荒唐無稽に思える。また、ポールの性格に暗い影を落とす父との関係など、ややとって付けたような感じのところもある。反面、トルコ移民の裏社会の描写などは、リアルな迫力に満ちている。情景や人物の内面描写も濃密かつ繊細。アンナの記憶障害と連続殺人事件の繋がりが見えてからの、急き立てられるような終盤はスリリングで、予想を裏切る展開が続く。ラストも非常にドラマチックだ。
荒木 一人
評価:★★★★
面白い、なかなか面白いんだが、広げに広げた大風呂敷は、きちんと畳んで納めて欲しい。ちょっと、遣り過ぎ感のある作品。読み応えは十分ある。ミステリと言うより、007的冒険活劇。
発端は、アンナの記憶障害。アンナの夫であるフランス内務省総合研究センター長のローランが、脳神経科医と共に検査を勧めるが…
移民、テロ、政治に麻薬、と色々な事をてんこ盛りにしているが、裏切られて納得できる結末と、納得できない結末がある。人の脳のメカニズムは解明されている事よりも、解らない事の方が多い。そんな事を再認識させられる。もちろん、その先にある感情も。文中の斜体や、台詞が強調されている所なども、感情移入しやすく良い。只、描写が強烈過ぎるので、気の弱い人や上品な人は、それなりの覚悟を持って読むべきであろう。
禁断の果樹は、禁断ゆえに甘美なのだろう。自分の運命を自分で動かしているのは誰だ!
つい、映画も見たくなる。
水野 裕明
評価:★★★★
実はフランスのミステリーを読んだのは、ほとんど初めてだったが、アメリカの同様のミステリーとはまた違った味わいがあるように感じる。アメリカのものが“チェイスチェイス”追跡して追いつめてゆく面白さ、スリリングさに主眼があるとすると、この作は物語としての奥深さ、構成の緻密さ素晴らしさにあると言えるのではないだろうか。高級官僚夫人アンナの記憶障害とトルコ人女性の連続殺人事件に端を発した物語は、あれよあれよという間に話が展開し、トルコの麻薬組織やイスラム、トルコ帝国の歴史へとつながっていき、それが最後にはひとつの因に行き着く手際は本当に見事。話の広げ方まとめ方は京極夏彦の「塗仏の宴」に優るとも劣らない出来栄え。さらに、移民社会となってしまったヨーロッパの闇の部分から、記憶操作や心理的条件付けなどの最新の科学知識も満載。本当に話が縦横無尽、なんとも大掛かりな物語構成で、かなりページ数が多いが、最後まで一気に読ませられてしまった。