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主婦は一日にして成らず
主婦は一日にして成らず
【角川文庫】
青木るえか
定価420円(税込)
2006年1月
ISBN-4043686048
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  久々湊 恵美
  評価:★★★
 やったことがないので、あくまで想像でしかないのですが主婦業って、本当大変だなあと常日頃思っています。
なんたって、給料がもらえる、とか昇進した、といった目に見える報酬がないんだもの!
このエッセイに登場する方もなんやかんやと尊敬します!…多分。
米に虫を涌かせて旦那に食べさせちゃうとか、汗で濡れたシャツを乾かしてそのまま旦那に着せてしまうとか。
もう、だらしないを超越しちゃってます。ネタのためにやっているんじゃないかとさえ思えてきます。
それをあまり気にしない旦那ってのもすごい。似たもの夫婦っているんだなあ。
いや、結婚して共に生活しているから似てくるのか。
これを読んで「結婚したくなっちゃうワ!」なんて思うかどうかわかりませんが、何だか結婚生活も楽しそうに思えてきちゃうかもしれません。
ちなみに私は、無理でした。

  松井 ゆかり
  評価:★★★★
 私は“好きなものは最後に食べる”タイプだ。が、「本の雑誌」を読むときどうしても我慢できず、青木るえかさんのページは真っ先に読んでしまう。
 ところで、私は青木さんの本関係のエッセイがあまりにも好きなので、その他の主婦関係やら競輪関係ものはやや評価が辛くなってしまいがちだ。競輪はそもそも知識がないためにおもしろさがわかっていないだけだろう。
 しかし、主婦という立場は私も同じである。確かにダンナさんの話など、すごくおもしろい(そして、ダンナさんと青木さんの夫婦愛にも心打たれる)。しかし、おそらく主婦エッセイのツボは、「青木るえかは、私よりダメだ(笑)」(by中村うさぎ)という部分なのだと思う。でも私、あんまり青木さんのこと“ダメ主婦”と思わないんだよなあ…(もちろん“主婦の鑑”とも思いませんが)。だって、家族が現状に満足してればいいんじゃない?(すでに洗脳されてる?)
 が、虫はいけません!後半の虫にまつわるエッセイ群はマジで寒気が…。わかっていたけど、やはり青木るえかはすごかった!

  西谷 昌子
  評価:★★★★
 こんな主婦は初めてだ。ゴキブリを愛し、米に虫がわいても放置。しかし旦那さんとは異様なまでに気が合うようで、価値観がくい違ったことはほとんどない。喧嘩もするが言い返せず、うつむくだけなのに後で文章にして自分を笑ってしまうこのたくましさ。家事はめちゃくちゃで、劇団のおっかけをし、好きなものができると同人誌を作る……などと書くとただのトンデモ主婦だが、このエッセイがこれほど読んでいて楽しいのは筆者の観察眼のたまものだろう。結婚するときにウエディングドレスもうちかけも断固拒否するくだりで、どんな美人が着てもあのドレスやうちかけは花嫁をぶさいくに見せる、という言葉にはうなずくしかなかった。大音量でしか喋れず、自分の価値観を決して崩さない旦那もいい味を出している。これほどぴったり合う夫婦は滅多にいないんじゃないだろうか。うらやましい限りである。

  島村 真理
  評価:★★
 こんなひどい主婦が世の中にいるなんて……と思うと同時に、家事をうまくやれてないと思っていた私は彼女よりもマシ(いや随分マシ)であると自信が出てきた。大なり小なり、主婦をされている皆さんは、この本を読んだらそういうことを思うだろう。
 しかし、あまりにダメすぎて、もう少しちょっとどうにしかたら?と心配してしまうが、彼女も実生活はもっとしっかりしているのかもしれない。
まぁ、パートナーと上手くいっているなら、どんなにダメでぐうたらでも他人が文句をいうこともないけれど。でも、蟻のたかったおはぎをそのまま食べてしまうだなんて、もう全然笑えなかった。

  浅谷 佳秀
  評価:★★★
 このところ、駄目な自分をネタにした露悪的なマンガやエッセイ、という分野への女性の進出が著しいような気がする。最早メジャーになりすぎて、かつての毒気が薄れてきている西原理恵子などがそうだ。作者もこの路線の王道を歩んでいる。
 家事に関しては出来るだけ手を抜いて、でも逆に自分のやりたいことや興味を引かれることには手間ひまもお金もかけたい、と思っている主婦は多いだろう。というか多少なりともそう思わない主婦なんてきっといないんじゃないだろうか。作者は、そういう主婦の本音を思う存分(でも時にはお姑さんやダンナさんから叱られないかとびくびくしながら)実践してみせる。また、実践した結果家庭はどうなるのか、ということを検証してみせてくれる。その実験的な試みを支えているのが、作者に負けず劣らず自分の生きたいように生きている、おおらかなダンナさんだ。で、結果として、お米が動いて見えるくらいに米びつが虫だらけになったり、夫婦仲に亀裂が入りそうになったりする。作者はまたそれをネタにして書く。実に天晴れだ。

  荒木 一人
  評価:★
 抱腹絶叫! 無理、あり得ない! 生まれてこの方、読んだ事のない様な本。内容に全く共感出来無い。基本的には口語調のエッセイなのだが、たまに混じる丁寧語や敬語が読者に媚びている様で、妙に疳に障る。読後感…日本海溝より深く凹んだ。
ビバ!ダメ主婦! 前半はダメ人間推奨&称賛、後半は昆虫賛歌。虫の嫌いな人には御勧め出来ない。

  水野 裕明
  評価:★
 これは一体何なのだろう?自身の趣味とかダンナの悪口(悪口にしながら、実はうちのダンナはなんか他の人とは違うのよ、と言う自慢が透け見えて、そのあたりもじつに鼻持ちならないのだが……)などの身辺雑記をただダラダラとグチのように書いているだけ。ダメ主婦の主婦としてのダメぶりを自虐的にとか開き直り的に書いてあるなら“ダメやなぁ〜”と言いながら面白く読めるし、中村うさぎの本なら露出症的・露悪的に書いてあったりして“ええ〜っ、そんなことまで書いていいの!?”と、驚きや話の面白さで読めてしまう。また思い切った悪口雑言ならそれはまたそれで面白いものとなるだろうが、この本はそれらとはほど遠い、ほんとうに自分と家族の自慢をしている主婦の井戸端話をそのまま綴った雑記であると思う。この手の話なら、いまやブログを開けばイヤというほど読め、しかも写真付きで、もっと達者で面白い文章が掲載されている(鬼嫁日記とか)。

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