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噂
【新潮文庫】
荻原浩
定価660円(税込)
2006年3月
ISBN-4101230323
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★
女子高生の口コミから生まれた新しい都市伝説。それは広告会社が仕掛けた香水の宣伝のための作戦だったが、その伝説が現実のものとなり、連続殺人事件が引き起こされる。
都市伝説はいつの時代にも、色々なバリエーションが生まれて想像もしないようなスピードで形を変えて伝播していく。
この広がっていくうちに伝説がどんどん大げさに変わっていく描写がとてもリアルで、今すぐにでも同じような話が生まれて広がっていきそう。
噂を広める当の女子高生もまた、そうそうその辺りを歩いていそうって感じなんですよねえ。
さらに、事件解決に向けて女子高生の間で四苦八苦する中年刑事小暮と、キャリア組の若い女性警部補のコンビがまた良いのです。
仕事と家族に板挟みになりながら、それぞれに支えあっていく姿が、足首を切り落とされた死体が続々と出てくる残酷で殺伐とした事件の中で、何とも暖かいのです。
だからこそ、最後の最後で、ドッヒャー!!でした。ちなみにドッヒャー!!は声に出してしまいました。
かなり、ビックリさせられちゃいました。背筋がゾーっとしたい時にはまさにこの一冊。
松井 ゆかり
評価:★★★★
いつの世にも口裂け女などの都市伝説は有効である。これほどの情報化社会になっても、というか、情報化社会だからこそ、と言うべきか。
陰惨な連続殺人事件、売れるためなら何でもありの広告業界、おどろおどろしい噂話といった殺伐とした題材がてんこ盛りだが、事件を追う子持ちヤモメのコンビがいい。かたや巡査部長の中年男、かたや若くして警部補の立場にある美人刑事。お互いに尊敬の念を持ち、信頼関係を築き上げていく様子が微笑ましい。それぞれの子どもに対する愛情も心温まるものだ。
それだけに、「衝撃のラスト一行」にはいきなり横っ面を張られたような思いがする。後味の良さを犠牲にして最後の最後にひっくり返る物語は、都市伝説よりもこわいのは人間(もしくは荻原浩という作家)であるということをまざまざと見せつけてくれる。
西谷 昌子
評価:★★★★★
女子高生の間で広まった都市伝説通りに殺人事件が起きていく。その都市伝説は香水を宣伝するために広告代理店が流したものだという。作者が広告畑出身だけあって、広告の戦略が効果的に使われており、新鮮な面白さがある。女子高生の会話もリアルで、小説にありがちな違和感がなくすんなり読めた。また広告代理店の社長、杖村沙耶の人物造形は素晴らしい。男の目から見ればいかにも若々しい美人で神秘的だが、女子高生には厚化粧と整形を見抜かれている。都会的だが実は田舎出身で、無理矢理都会的になろうとしている。いかにもベンチャー企業にいそうな人物だ。杖村の助手も、刑事たちも、登場人物が多面的で魅力があるのでそれも楽しめた。環境に裏打ちされた性格を持っており、それがなんともリアルなのである。謎が徐々に解けていくタイミングもよく、適度にじらされながらあっと驚かされる、その呼吸が絶妙。
島村 真理
評価:★★★
ミリエルという香水をつけると、足首を切る“レインマン”に襲われない。新ブランドの口コミのために使われた噂が気がつけば現実に…。ある日足首のない少女の遺体が発見される。
都市伝説というのは、決定的に信憑性がないくせに聞くものを震え上がらせる怖さがある。人の口から口へと語られる物語は生きているからかもしれない。
娘と二人暮しの小暮と、5歳の息子がいるとは思えない若々しい名島のコンビが、女子高生連続殺人の犯人を追い詰める。いままでにあった男女の刑事コンビより、お互いに突っ張ってなくて、2人は妙にさわやかさんだ。
思わぬラストに、きっと驚かなければならないところだろうけれど、私には何回か確認しなければわかりにくかった。
浅谷 佳秀
評価:★★★
ある香水を売り出すために、広告代理店と企画会社が、一つの噂を創作して口コミで広げる。香水が売れる一方で、噂は都市伝説となり若い女の子たちの間に広まってゆき、やがてその都市伝説と酷似した猟奇的殺人事件が起こる。所轄のベテラン部長刑事・小暮と、本庁の若手女性警部・名島のコンビがその事件を追う。
前半、企画会社のカリスマ女性社長が語る、口コミを利用した広告手法についてのくだりには説得力があって面白い。事件が起こってからの、主に小暮の視点となる中盤以降は、手堅い警察小説の印象。ストーリーは巧みに構成され、人物造形も丁寧で、ディテールの描写も過不足ない。つまりはとても良くできている作品なのだが、読後感がなんともすっきりしない。それは、心情的に全く理解不能な犯人の動機と、何といってもやっぱりラストの一行のせいである。このラストはねえ……ちょっといただけない。とってつけたみたいな感じだし、いくら何でもあんまりでしょう。インパクトが有りさえすればいいってもんでもないと思うよ。
荒木 一人
評価:★★★
帯にある様なサイコと言うよりは、オーソドックスなサスペンス。面白い、軽いタッチで読ませる小説に仕上がっているが、ラストは勘弁!一気に……最後の2ページが良いと言う方も居るとは思うが、私は割愛する方へ一票。
デンジャラスなレインマン。カップルの女性だけをさらい、両足首を切り落とす。ミリエルのローズという香水をつけていると襲われないと噂される。
女子高生を中心に口コミであっと言う間に広まる噂、香水は大ヒットとなる。実は、企画会社コムサイトの遣り手社長:杖村が仕掛けたWOM(口コミ)だったのだが……噂通りに足首の無い少女の死体が発見され、噂は事実になる。
まことしやかに囁かれる都市伝説。ドラえもんの悲惨な結末、ミミズバーガーに死体洗いのバイト。人間ほど残忍で恐ろしいモノは、この世には無いと証明しているのか? 残酷な大衆の口を通し、ゆっくりだが確実に伝わる。ストーリー自体は極有りふれたものだが、「噂」というキーワードを巧みに織り込み読ませる。
水野 裕明
評価:★★★
足首を切り取られた被害者の発見から始まる、連続殺人の構成も良く、刑事を始めとするキャラクターも巧みに描かれて、徐々に被害者達の関係が明らかになっていく構成も無理なく、犯人を追いつめるスリリングな場面もあって、しかも最後にはちょっとしたどんでん返しもある、きれいに収まった作品。でも、ちょっと薄味かな、と感じた。萩原風サイコ・ミステリーと帯に書かれていたが、欧米風のサイコ物を期待して読み出すと肩透かしをくってしまうかもしれない。犯人の側からの描き込みは少なく、もちろん犯行の描写もトマス・ハリスの「ハンニバル」風のこれでもかというエグイ描写もなくあっさり風。犯人の描き込みもサラッとしていて、背景とかもあまり描かれていないけれど、あまり違和感が無いので、日本人でサイコというのは合わないのかもしれないと思った。やはり日本のサイコは、じとじととした初期の江戸川乱歩風ではないだろうか。