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繋がれた明日
【朝日文庫】
真保裕一
定価720円(税込)
2006年2月
ISBN-4022643595
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★★
もし自分が人を殺してしまったら…。
今迄犯罪に手を染めてしまった人の気持ちをここまで考えたことはなかった。
当たり前のことだけれど、刑務所で刑期を終えたらそこで終了、ゼロになるわけではないのだ。
被害者の家族であれば、加害者を一生許すことはできないだろう。
たとえどんなに謝られても、どんな誠意を見せられても。
逆に加害者の立場であれば、その刑期の中で罪を悔い改めていくことができるのだろうか。
私も、この主人公やその他の刑務所内の人物達のように、自分の仕事のこと家族のことに気をとられてしまって、償う、という事がどういうことなのか見えなくなってしまうのかもしれない。
登場する様々な人々の気持ちの不安定さが、いつ自分がこの話の登場人物になってもおかしくはないのだという気持ちにさせられました。
罪と罰。とてもとても重いテーマです。色々な人に読んで欲しい。
松井 ゆかり
評価:★★★★
ある夏の日、自分の恋人にしつこく言い寄っていた男をはずみで殺してしまった主人公隆太。
隆太は繰り返し自らに問う、「悪いのは自分だけなのか?」と。どんなに卑劣な人間であっても、死なせてしまえば殺した側だけが一方的に悪く、殺された側には何の咎もないのか。簡単に答えの出せる問題ではない。
もしも自分が犯罪被害者だったら、あるいは加害者の家族だったら、とても冷静にこの本をよむことはできないだろう。現実はそんなに甘いものではないはずだ。それでも隆太には見守ってくれる人々がいる。何度も挫折しそうになる隆太を支える保護司や、時に自らも挫けそうになり時に鋭い言葉で隆太を責めながらも理解しようとする家族。たとえ理想主義だと言われても、思うよりも人間は優しく人生は希望に満ちていると信じたい。
西谷 昌子
評価:★★★★
一度人を殺して刑務所に入った人間は、どうやって社会生活を営んでいけばいいのか。そのテーマに真剣に取り組んだ作品だ。主人公の、罪悪感と「自分は悪くなかった」という気持ちとのせめぎあい、また保護司と保護観察官とに見守られる仮釈放のシステムがどう機能するかがしっかり書かれていて、犯罪者の更正について今のシステムが抱えている矛盾点が浮き彫りになっている。丁寧に場面が描かれるため、読者も主人公と共に「釈放された犯罪者」として世に出る生きにくさを味わっているような気分になるだろう。職場に撒かれる謎の中傷ビラ、妹にも及ぶ社会的ダメージ。昔の仲間に対してどう対処すればいいのか。ひとつひとつの問題が重いのにも関わらず、物語が停滞せず、先の展開が気になるのは作者の筆力だろう。主人公が更正していくくだりは、うまくいきすぎているのではないかと疑問は残ったが。
島村 真理
評価:★★★
ミステリーはすごく好きだけれど、実際の殺人事件にまとわりつく被害者と加害者の気持ちは無視しがちだ。この本では、語るのが難しい加害者の気持ち、そして、癒すことの出来ない被害者の身内の心情を真正面に問いかけている。人生を一瞬で突き崩す殺人という罪。仮釈放を向かえた中道隆太の心は自分を追い込んだ結果や人への恨みと罪への後悔、世間の目への恐怖に大きく揺れる。
冷静に自分と犯した罪を分析しつつも反省へは程遠く、どこか人のせいのような思いを抱く隆太。ねじれた心の持ちように、はじめ強い反感と嫌悪を持った。しかし、少しずつながら現実と向かい合い、人とふれあうことでもう一度自分を見直していく彼に次第に引き込まれていく。
とても難しく答えはあるのかどうかもわからない問題。けれども、道を踏み外すことがありうるもろい人として、いろいろと考えさせられる作品だった。
浅谷 佳秀
評価:★★★★
サスペンスと帯には書かれているが、むしろドキュメンタリーのような雰囲気をもった作品である。主人公は、自分の恋人につきまとう男を、喧嘩のはずみで殺してしまう。先に手を出してきたのは相手。しかし警察は彼の弁解に耳をかさず、相手の友人は主人公が不利になる嘘の証言をする。未成年だった彼は6年間の懲役刑に服した後、仮釈放になり、ひっそりと社会に復帰する。そんな彼の周囲に、ある日突然大量のビラがまかれる。そのビラには彼が犯した殺人事件の記事が彼の顔写真入りでコピーされている。
形の上では罪を償ったとしても「人殺し」というレッテルは一生はがせない。自分の犯した罪の重大さを改めて噛みしめながらも、彼は自問自答を繰り返す。俺だけが悪いのか、と。その彼の被害者意識を溶かし、悔悛、贖罪の意識へと変えてゆくものは……。
犯罪被害者の救済という問題が近年クローズアップされてきているが、作者はあえて加害者の更正というテーマに真正面から挑んだ。被害者にとっては模範解答などありえないこの問いに、愚直なまでに真摯に向き合い、解答を模索する作者の姿勢に心打たれる。
荒木 一人
評価:★★★★★
殺人犯罪者の心理を題材にした社会派の重いテーマ。冒頭の文書が非常に印象的、読後感は、清く気高い! 暗いと、一言で片付けてしまうのは早計であり浅慮あろう。129回直木賞候補作品。(暗いから取れなかったのか?)
未成年だった中道隆太は、つまらない喧嘩から殺人を犯した。相手が先に殴ってきたのだと、いくら主張しても、警察官も裁判官も弁護士でさえ信じてくれなかった。短期五年以上長期七年以下の懲役。若気の至りと言うにはあまりも大きな代償であった。
平穏な生活を夢見る若者に、世間は執拗なまでに厳しかった。戸惑う家族、無頼な友人、被害者家族の闇い感情、冷たい社会。人は忘れている。他人にも感情が有る事を。自由とは責任の上に成り立つものである事を。藻掻き、苦しみ、のたうつ青春。死と言う選択は出来なかった。
必ず、再犯する人間も居る。全ての犯罪者が、心から反省し社会復帰する事は無い。それでも、更正する人は居る。人というのは斯くも残酷で、斯くも優しいのであろうか。
水野 裕明
評価:★
恋人でもない女性のいざこざに、頼まれもしないのに相手の男に談判をしに行き、逆にやり込められて殴られて逆上し、いつも護身用で持っていたナイフを相手を刺し殺してしまったちょっと不良兄ちゃんの更生と、それを妨げる世間の偏見や悪意を描いている長篇。いろいろな説明の仕方はあるかもしれないが、身もふたもない書き方でこの作品のあらすじを書いてみると、こうなるのではないだろうか。作中で元犯罪者への偏見や中傷、悪意ある行為などがあつく描かれていて、そのシーンだけを読めば確かにそうだと納得もし、憤りも感じるが、やはり、この主人公にシンパシーを感じることはできなかった。作中で主人公が「悪いのは本当に俺だけなのか」という一文に、4月の課題図書「青空の卵」の中の1節で応えたいと思う。「罪を犯した側には服役して償うという美しい回復のプロセスがある。では何の理由もなく犯人の気まぐれで傷付けられた側には何がある?」そして「被害者にはこう言いたくても言えない。言った瞬間にこちらを悪者にすることが分かっているから。」「それはひどい言葉だから?」「そう、『だったらあんたも死ね』」