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リアルワールド
【集英社文庫】
桐野夏生 (著)
定価500円(税込)
ISBN-408746010X
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★
すごく、ぞっとした一冊。
一昔前なら「あんなおとなしそうな子がねえ」なんて大々的にマスコミでも取り上げられてきた。
今や、こんな事件は全国のあちらでもこちらでも起こりうる出来事になっちゃって。
あんなおとなしそうな子がいたるところで人を殺していたりする。
大人の視点から見てしまうと、こんな事件を起こした子供は何か大きな問題を抱えているのに違いない、なんて思っちゃう。
でも、いつでもそうだというわけではなくて、ささいな問題であったりする場合のほうがむしろ多かったりするのだ。
この本に登場する男子学生もそんなタイプ。彼は母親を殺してしまう。
その事件に加担していく3人の女子高生達。女の子達も実は心の中に色々な事情や思いを秘めていて、きっかけがあればいつでも壊れてしまいそうな危うさを持っている。
事件に巻き込まれているようで、実は自らを巻き込ませて心の中にしまっていたものを引きずり出そうとする。
多分しまっておいた方が、いいのかもしれない。
しまっておくにはあまりにも重いものなのかもしれない。
それを大衆の下にさらけ出してしまう行為への決心は紙一重なのだと思う。
松井 ゆかり
評価:★★★★
読んだら嫌な気分になることはわかっているのにやめられない。それが桐野夏生の書く作品だ。
いや、それにしてもほんと感じ悪い少年少女ばっか。別に常識人ぶりたいわけではないが、かろうじて母親を殺害した隣家の少年について口をつぐんだホリニンナがまだ許せるかという程度で、他はほとんど共感できないなー。逃亡を幇助するユウザン、興味本位で殺人犯についていくキラリン、そして衝動的に彼らを密告しようとするテラウチ…。なかでも気が塞ぐ存在が自分の母親を撲殺したミミズだ。自分の息子がこんなになったらどーよ?
でもそれぞれが道を踏み外したのは、ほんのちょっとしたことがきっかけなのだ。自分もいつそうなるかもしれないという意識下の恐怖が、彼らを嫌悪させる原因なのかもしれない。
西谷 昌子
評価:★★★★★
桐野夏生ならではの生々しい心理描写。何が生々しいかというと、語り手である四人の女子高生たちの生態はもちろんのこと、親しい友達のようでいて彼女たちがほとんどわかりあえていないということだ。高校生の時点では、まだ少年少女はそれぞれの家庭に重く縛られている。そして家庭のことは他人に理解しにくいところが大きい。たとえばここで描かれているテラウチの絶望。信じられないながらも母親を愛すことで、自分自身も信じられなくなる。これが「取り返しのつかないこと」だとテラウチは絶望する。だがこの小説で語り手になっている他の三人のうち、誰がこの絶望を理解するだろう。おそらく皆、うっすらとしか理解できないだろう。
女子高生たちは母親殺しのミミズ少年に、「何かが自分と共鳴するかもしれない」と感じる。しかし感じ方は皆ばらばらで、当のミミズ少年は、何とあきれるくらい単純でバカなのだ。皆が違う世界を見ている。そして高校生のリアルとは、他人とけして共有できない絶望のなかにしかない。そんなリアルワールドに引き込んでくれる。
島村 真理
評価:★★★★
いまどきの子供たちが何を考えてるのかよくわからない。なんてことを言いはじめるのは頭の固い大人の嘆きの定番だけれど、若者の微妙な心理、子供が対面させられている問題を書ききった桐野夏生ってすごいと思う。
高三のトシ、テラウチ、ユウザン、キラリンは、ひょんなことから母親を殺したミミズの逃亡に関わることに。面白半分興味半分の彼らがむかえる結末は、驚くほどせつない。こういうのってないよと思いました。
彼らが抱えるざる得ないものは、彼らが生きている場所は、こんなにもかつての自分達と違うのだろうか?現実の世界が、子供たちに危険すぎて重すぎて、いつの間にかそこから遊離してしまうのだろうか?そう思うと悲しくなった。犯罪者、それも少年の犯罪者の視点から見る社会と大人のことを考えさせられました。
浅谷 佳秀
評価:★★★★★
これは思春期の物語だ。思春期とは光と同時に、闇に惹かれる時期でもある。一人一人の傍らにぽっかりと口を開けている闇は、退屈でくだらない日常の側から見れば、甘美な誘惑に満ちている。誰しも、通過儀礼のようにその闇に一度は引き寄せられ、立ち止まったりするものだ。だが一歩、その闇の中に踏み込んでしまうと取り返しがつかなくなる、ということは往々にしてある。
ミミズという少年が、ある日唐突に闇への一歩を踏み出す。金属バットで母親を殴り殺して家出するミミズ。それぞれにミミズと関わりを持つことで、揺さぶられてゆく4人の女子高生たち。ミミズと女子高生たち一人一人の視点で、この物語は書かれている。書き分けは非常に精緻だ。それぞれに孤独と焦燥を抱える思春期の彼らは、互いに共鳴しあい、あるいは反発しあい、腹を探りあいながら、闇の中へと踏み込んでゆく。いったん踏み込んだら、引き返せないとわかっていても、手探りで行く。彼らの足取りに躊躇はみられない。それが痛ましくもあり、しかしどこか眩しくもある。
荒木 一人
評価:★★★★★
巧みで掘り下げた心理描写、妙に現実感の乏しい主人公達。大人には踏み越えられない世界で生きる高校生達が織りなす世界。一気に読み切った後の、奇妙な徒労感と不思議な背中の冷や汗。桐野ワールドへようこそ。
高校三年生の夏休み、私の隣家に住む超難関K高校に通うミミズが母親を撲殺し逃走。些細な好奇心から、事件に巻き込まれていく、私を含めた女子高生四人組。ホリニンナ、テラウチ、ユウザン、キラリン。
ごく平凡に見える高校生達。大人には理解できない、心の奥底にある葛藤。
偶然なのか?必然なのか?若者達の過度の好奇心や探求心は、時に、その身を滅ぼす。情報過多の現代。人は複雑に成り過ぎたのかもしれない。生きる事はもっと単純で力強い事では無かったのか。全ての行動には責任が伴う、その行動に潔さと覚悟はあるのか?一時の感情や、一方的な価値観の押しつけの代償はあまりに高い。
そう、取り返しのつかないことは… 確かにある。