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トリツカレ男
【新潮文庫】
いしいしんじ (著)
定価380円(税込)
ISBN-4101069239
>> Amazon.co.jp
>> 本やタウン
久々湊 恵美
評価:★★★★★
とても薄い本なのであっさりと読めてしまいそうですが、読み始めてから、読み終わってから、もう胸がいっぱいになる一冊でした。
どこまでも直球勝負の恋物語。あまりにもまっすぐすぎるので気負うことなく引き込まれてしまいます。
ジュゼッペという青年は、色々なものにトリツカレてしまうのです。探偵にトリツカレて事件を解決したり、三段跳びにトリツカれたり。
そんなちょっと風変わりなトリツカレ男が、ペチカという女の子への恋にトリツカレるのです。
恋にトリツカレてしまうなんて、もう恥ずかしくって何言っちゃってんの、なんて照れてしまいますが。
恋をしたジュゼッペが、もういじらしくていとおしくて。
自分を犠牲にしてまでも頑張ってしまうジュゼッペがもう。そんなに頑張らないで!って応援したくなるのです。
挿絵がこれまたとても素敵。こんなに文章と一体化した挿絵を久しぶりに見たような気がします。
読んだあと思わず泣いてしまいました。今でも思い返しながら、ついつい目頭が熱くなったりして…。
ジュゼッペのことを考える時は心が温かく、哀しくなります。人を愛することって本当に素敵な事なんだなって、しみじみ思っちゃいますよ!
松井 ゆかり
評価:★★★
童話というか寓話というか、ページ数も少ないし表紙や章の最初のページごとに挿まれる味わい深い版画によって絵本のような趣が感じられる1冊。「ハッピーは強し」ということを強く実感させてくれる。
何かに夢中になると寝ても覚めてもそのことばかりの「トリツカレ男」ジュゼッペ。その彼が魅せられた少女ペチカは…。この時代にこのような直球勝負のラブストーリーを書く意義は大きいのかも。とりあえず、不純異性交遊だ、クスリだドラッグだ、というセンセーショナルな要素てんこもりの小説を読み慣れた向きには、この物語で心を洗ってみてはどうでしょう。この大いなる自己犠牲の精神を見るべし。
西谷 昌子
評価::★★★★
ふしぎな童話だ。物語の内容がものすごくふしぎというわけではなくて、童話らしい単純な筋立てになぜ惹きつけられるのだろう、というふしぎさだ。私自身があまり童話を読みなれていないせいかもしれないが、王道パターンを優しい文体でなぞられるのが心地よい。最終章は少しできすぎという感じがしないでもないが。
絶妙におとなのための童話になっているところがいいのかもしれない。小さな子供には長すぎるし、中高生にとっては単純すぎる。おとなが疲れたときにほっと一息つきながら、心地よい感動を得られる。けして心の負担にならない程度に。考えさせられるような本だけでなくていい。こんな本の読み方もあるのだ、と発見させられた一冊だった。
島村 真理
評価:★★★
わき目もふらずにひとつのことに熱中する。そういうことができる人は幸せである。
この”トリツカレ男”ジュゼッペは、ある日突然、”ハッ”としてオペラに”トリツカレ”たり、三段跳びに”トリツカレ”たり、サングラス収集に”トリツカレ”たりする。
実はそういうトリツカレ現象は恋について一番多くおこるのでは?と思っていたら…しちゃいましたね。その結末はぜひ読んで確認してもらいたいところです。バラバラだったパズルがひとつの絵を作り出すように、ぴたりと終結するところがいいです。
いしいしんじ氏の作品は、単なるおとぎ話ではなく、辛口で大人っぽく、残酷なものばかり(おとぎばなしというのはホントのところそういうものなのでしょう)と思っていましたが、意外に純粋な話だったので、少々味気なくもありました。そんな感想を持ってしまう自分がかわいくない。
浅谷 佳秀
評価:★★★★
はまる、じゃなくてトリツカレるのだ。無論、パチンコとか、株とか、ゲームなんかにじゃない。オペラ、三段跳び、潮干狩り、刺繍、ハツカネズミなどにである。そしてある日、公園で、風船売りの女の子、ペチカにトリツカレる。トリツカレたからといって、ストーカーになどならない。ストーカーが愛するのは自分自身だけだが、トリツカレ男ジュゼッペは、自分がトリツカレた対象を純粋に愛する。
ペチカはいろんな悩みを抱えていて、心の底からの笑顔をつくることができない。ペチカにトリツカレたジュゼッペは、彼女の抱えている悩みを、どうやったら取り除いてあげられるのかということを、ただひたすら考える。トリツカレ男ジュゼッペの本領が、ここから発揮される。
誰かを愛したならば、とにかくその人の幸せを心から願えばよい。そういう、シンプルだけれど、ともすれば忘れがちなことを、このメルヘンは思い出させてくれる。大人から子供まで、ぜひお薦めしたい作品だ。
水野 裕明
評価:★★★★★
ヨーロッパを思わせるどこともしれない国のある街を舞台に、すぐに何かに夢中になってしまう(とりつかれる)ジュゼッペの、いろいろなものにトリツカれる様子と、風船売りのペチカに取りつかれた、つまりは恋をしたその顛末が描かれている。読み初めてすぐのなんだろうこの妙な人物設定は?という感じも、ファンタジーも純愛物も苦手という思いも、読み進めるにつれまったく忘れてしまって、思わず夢中になって読み終えてしまった。短編と言えるほどほんとうにページ数は少ないのに、きちんと世界が構築されていて、人物はそれぞれ生き生きと描かれていて、中身がなんとも濃い、心ゆくまで物語の楽しさを満喫させてくれる大人のメルヘン。しかも冒頭ジュゼッペが取りつかれたものが、ペチカの問題の解決に役立つといった、読ませどころもある、なんとも楽しい1冊である。