『アメトーク』が人気の理由~『アイデアを盗む技術』

アイデアを盗む技術 (幻冬舎新書)
『アイデアを盗む技術 (幻冬舎新書)』
山名 宏和
幻冬舎
836円(税込)
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 いま、テレビ業界で評判の高い番組の一つに、テレビ朝日の『アメトーク』があります。

 毎回、8人前後の人気芸人を集める同番組。形式的にはオーソドックスな集団トーク番組です。旬の芸人というのは、いろいろな番組でひっぱりだこなので、実は特にエピソードが枯渇しがち。しかし『アメトーク』は、そこに"グルーピング"という手法を使うことで、ヒット番組となっています。

 「腰痛い芸人」「左利き芸人」「あぁ農業高校芸人」、翌日、餃子の王将に長蛇の列ができたという「餃子の王将芸人」、最近よく耳にする「家電芸人」という言葉が生まれたのもこの番組から。よくぞそんな「くくり」を考えたなぁと関心させられるのが『アメトーク』の最大の魅力です。

 では、なぜ"グルーピング"は効果的だったのでしょうか。放送作家の山名宏和氏が番組を分析してくれました。

 まず、同じジャンルのものが数多く集められている「インパクト」。テレビ以外の場所で同様の例を探すなら、デパートの人気イベント「全国駅弁祭り」などと同じインパクトがあるといいます。しかし、それだけではなく、「対比」があると山田氏。ある話の後に、今度は逆ベクトルの話を並べたとします。すると、前の話との差から単独でその話を聞くよりもインパクトがあるように感じるのです。こうやってうまく「対比」が続くようにネタを並べると、観ている人を飽きさせません。

 ただし、ベクトルの違いがインパクトを生むからといって、まったく違う話ではダメなのです。腰痛の話の後に家電の話をされても比べようがありません。あくまで同じジャンルだからこそ「対比」の力が活きてきます。

 さらに"グルーピング"には「共鳴」という効果もあります。同じくくりで集められているからこそ、他の人の話に同調しやすい。あるいは逆に反論しやすい。つまり隣どうしの会話が弾みやすいのです。まさに話と話が共鳴し合って場が盛り上がっていく集団トークの理想の環境を生み出すのです。

 "グルーピング"という手法を使うためには、ただ数を集めるだけでは不十分。そこに「対比」や「共鳴」の効果を意識することが大切と山名氏。こうしたテクニックはアイデアを求められるビジネスシーンにも、応用できるかもしれませんね。

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