「本物の営業マン」の話をしよう

「本物の営業マン」の話をしよう (PHPビジネス新書)
『「本物の営業マン」の話をしよう (PHPビジネス新書)』
佐々木 常夫
PHP研究所
880円(税込)
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 「お客様は神様ではありません」

 こう話すのは、自閉症の長男を始めとする3人の子どもと、うつ病を患った妻を抱えながら東レの営業マンとして活躍し、同期トップで同社の取締役にまで上り詰めた佐々木常夫さん。そんな佐々木さんは、書籍『「本物の営業マン」の話をしよう』(PHP研究所)のなかで、古くから営業マンの信念のように語られる「お客様は神様です」という考えに疑問を呈しています。

 営業マンと言えば、「口がうまくなければいけない」「同じものを他社より高く売れる人が優秀」というイメージがあり、「営業の仕事はお客様の利益を極大化すること」が使命だと多くの人から思われています。

 しかし、佐々木さんは「営業の本質はそんなところにはありません」として、次のように指摘します。

 「どんなに優れた営業マンでも世の中に需要のない商品を売ることはできません。逆にどんなに駄目な営業マンでも需要のある商品を担当すればいくらでも売ることができます。そう考えると、営業マンの本当の仕事は『顧客は何を求めているのか』『顧客は何を提供したら喜ぶのか』という、その『何』を探し、見つけることといえます」

 実は、会社にとって「どの営業マンがどれだけ売ったか」はさほど大きな問題ではないと佐々木さん。営業マンに求められる能力とは、「何がこれから売れるのかという予測を立てること」と「そのために顧客の考えをキャッチすること」だとか。

 しかし、顧客を神様のように扱ってしまうと、営業マンはイエスマンになってしまいます。その結果、顧客自身も意識していない「何か」を見つけることができなくなり、新しい提案をすることもできなくなってしまうのです。

 佐々木さんは、営業マンにとって最も大切なことは、「この営業マンは上司や会社を動かす力があると思ってもらうこと」だと言います。イエスマンになれば顧客から「愛される」かもしれませんが、ビジネスマンとして「信頼される」ことは困難になるのです。

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