「5打数5安打」と「3打数1安打」仕事で成功するのはどっち?

憂鬱でなければ、仕事じゃない
『憂鬱でなければ、仕事じゃない』
見城 徹,藤田 晋
講談社
1,404円(税込)
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 「打率3割3分3厘の仕事哲学がある」

 こう話すのは、幻冬舎代表取締役社長の見城徹氏です。サイバーエージェント代表取締役社長の藤田晋氏と共に、ビジネスマンへのアドバイスを綴った書籍『憂鬱でなければ仕事じゃない』のなかで、野球のバッターを例に「成功の秘訣」について語っています。

 プロ野球の世界で3割3分3厘打てば、首位打者になれます。しかし、安定してこの打率をキープすることは非常に難しいもの。例えば、調子が良い試合で5打数5安打の好成績を残したとします。するとバッターは、この調子で打ち続けて打率を上げようと思ってしまいます。今日できたことは明日もできると勘違いしてしまうのです。この考えにとらわれてしまうと、ボール球にも手を出すようになり、自分のフォームを崩してしまいます。結果的には打率が下がってしまうでしょう。

 仕事もこれと同じだと見城氏はいいます。「あるプロジェクトが、予想を大きく上回る成功をおさめたとしよう。仕掛けた本人は当然気分がいい。この成功は、自分の実力がもたらしたものだと考え、次のプロジェクトでも成功を狙う。これまでの自分のやり方を忘れ、不慣れな方法で事に臨む」

 見城氏の体験から、こんな時に成功することはまずないそう。成功どころか、たいてい大失敗を招いてしまうといいます。

 「成功は異常なことなのだ。異常を異常と思わなければ、ついには身を滅ぼしてしまう。勝った時こそ冷静になり、ここには次の負けの招く要因が潜んでいると思わなければならない。成功体験は成功した瞬間に捨て去るのが、一番美しい。成功は一通過点であり、すぐゼロに戻すのが健全なのだ。ベンチャービジネスなどで、一時は羽振りが良かったのに凋落する人の多くは、たいてい大勝ちによって自分のフォームが狂った人だ。勝負は、勝つ時もあれば負ける時もある。5打数5安打を続けられることなど、ありえない」(見城氏)

 ビジネスにおける成功は、派手な5打数5安打に惑わされることなく、自分のフォームで3打数1安打を続けること。アベレージを維持することが大切だと、見城氏はいいます。

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