被災者の"自己責任"を問う日本社会に3つの提案

大震災の後で人生について語るということ
『大震災の後で人生について語るということ』
橘 玲
講談社
1,575円(税込)
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 2007年の世界金融危機、大卒内定率は大幅に下がってしまいました。今回の新卒採用は、東日本大震災の影響を受け、さらに厳しくなることが予想されます。日本企業は経営破綻でもしない限り、正社員を解雇することができないので、不況時には新卒採用を抑制して人件費を減らそうとします。

 東北の被災地では、家ばかりか会社ごと無くなってしまった人がいます。その彼らが仕事の機会を求めて東京や名古屋、大阪に転居したとしても、40歳以上では正社員の募集はほとんど無く、震災前の生活を取り戻すことは困難なこと。

 「震災の年に就活をすることになったのも、被災して仕事を失ったのも、彼らにはなんの責任もありません。しかし、再チャレンジを許さない日本の社会は、彼らの"自己責任"を問うのです」こう話すのは、書籍『大震災の後で人生について語るということ』の著者・橘玲氏。

 橘氏は同書のなかで、この理不尽な現実を正すために、政府ができることについて語っています。


 まずは、「定年制を法律で禁止すること」。定年がなくなれば、"終身"雇用という名の超長期有期雇用制度は崩壊し、だれでも働きたいだけ仕事を続けることができるようになります。

 次に、「同一労働同一賃金の原則を法律で定める」です。これはEUがすでに導入済みで、同じ仕事をしているのに年齢や性別、国籍などの理由で賃金に差をつけることは厳しく禁じられています。日本でも法律化が実現すれば、年功序列制度は違法とされて存続できなくなります。

 そのうえで雇用調整の要件を緩和して、「解雇自由」の民法の原則に立ち返り、一定額の金銭を支払うことを条件に整理雇用を認めるのです。これによって業績の悪化した企業は余剰人員を労働市場に戻すことができ、日本でもようやく流動性のある労働市場が生まれるといいます。

 この3つの「改革」が実現すれば、日本的雇用制度は消滅し、正社員と非正規社員の「差別」がなくなるという考えです。企業は年齢にかかわらず必要な人材を労働市場から採用するので、新卒で就職に失敗した若者も、中高年の転職希望者も、いまよりずっと容易に自分に合った仕事を見つけることができる、そう橘氏は分析しています。たとえ年収が下がっても、仕事さえあれば、ひとは未来に希望を持って生きていくことができます。まずは、仕事に就き、安定した毎日を過ごすことが大切なのです。

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