奥田瑛二と安藤和津の娘・安藤モモ子が、実体験から介護ヘルパーを描く

0.5ミリ
『0.5ミリ』
安藤 モモ子
幻冬舎
1,728円(税込)
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 奥田瑛二と安藤和津の間に生まれ、気鋭の若手映画監督と評価されている安藤モモ子が、初の書き下ろし小説『0.5ミリ』を発表しました。題材となったのは、「介護ヘルパー」。きっかけは、祖母の8年に及ぶ住宅介護経験から。介護をする側のやり場のない悔しい思いや、怒り、また、そこから気付いた家族の愛情といったものをいつか表現したいと思っていたそうです。

 書評家の豊崎由美氏は、「しっかり生きるということ、きっちり死ぬということ。その意味を、さすらいのヘルパー・サワちゃんに教えてもらいました」と評価し、優しくも凛々しい同作の発表に、感謝さえもしているそうです。

 ──肉親もなく、流産をし、一生子供を産めなくなったサワは、介護ヘルパーとして老人とかかわることで、孤独を埋めようとしていた。「おじいちゃんと一緒に寝てあげて欲しいの」。派遣先の家族からの頼みごとを断れず、老人と添い寝をすることになったサワは、その夜思いがけない事件に巻き込まれ、職を失う。無一文になった彼女が日々の生活を営むために取った行動。それは、町で見知らぬ老人に声をかけ、無理やり世話をし、同居することだった。


 「死が迫っている人が、死にどう向き合うのか。私達は生まれてから、死ぬ向かう。死に向かって生きていく。どう生きるべきなのか、それを老人をテーマに描きました。」(安藤モモ子・ブログより)

 監督をつとめた『カケラ』では、出演した満島ひかりを徹底的に無視するなど、その作り込みには定評のある安藤モモ子。早くも、同小説の映画化が決まっているようです。

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