グローバル時代に生き残る企業の共通点は、「社員を『型』にはめる」

ケトルVOL.04
『ケトルVOL.04』
ガチャピン,津田大介,渡辺謙
太田出版
972円(税込)
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 「ノマド」「フリー」など、「会社」という形に囚われない働きかたがもてはやされる今日この頃。しかし、日本にはあえて「会社」にこだわることでユニークな商品やサービスを提供する企業も多い。

 12月15日に発売されたワンテーママガジン『ケトル4号』(太田出版)では「小さいけどすごい会社」を特集。「こんな会社で働きたい!」と思いたくなるような個性的な企業をさまざまな視点から紹介している。

 その中には、「採用基準はバカ」と断言するウェブコンテンツ制作会社の「バーグハンバーグバーグ」や、理想的な社員像に「テニサーに入れなかった人」を挙げるニュースサイト運営会社の「ナターシャ」など一般的な常識では「?」がつきそうな社是もちらほら。しかし、前者はネットで「笑えるコンテンツ」を提供することで名を上げ、後者はカルチャーニュースサイト「ナタリー」でウェブニュースの先駆者となった。なぜ、彼らは「話題になる企業」であり続けるのか。

 特集の巻頭では、『就活の神さま』(WAVE出版)など"就活"や"キャリア"に関する多数の著書を持つキャリアコンサルタントの常見陽平氏が登場。こうした会社について、次のようなコメントを寄せている。

 「特集に登場する『採用基準はバカ』とか、『社員はオタクなってほしい』という一見非効率的なことを堂々と言ってる企業はすごいなと思いましたよ。『グローバルスタンダード』という言葉は、じつは韓国と日本だけでもてはやされているそうです。グローバル化は避けられない局面もありますが、グローバルスタンダード化する企業は結局は何でもない会社に平均化されていく。だから、その企業ならではの『型』を持っているのはすごく魅力的なんです」

 会社を運営していくには、個性的な人材を集めつつも、あくまで「企業」という「型」にはめる必要がある。だが、それだけでは社員の個性を殺すことになってしまい、それぞれの持ち味を生かすことができない。そのため、同誌で紹介したような企業は、会社自体が「個性的な『型』」であろうとする。

 そうした視点は「老舗企業」にも共通する。老舗とは、「その企業ならでは」を突き詰めていくことで、他の企業が真似できないサービスや商品を生み出し、結果として長年にわたり支持される。「バーグハンバーグバーグ」や「ナターシャ」はウェブ系の企業だが、「その企業ならでは」を突き詰めているという点では、老舗企業と似たところがあり、だからこそ、ユーザーから信頼されているといえる。

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