オタキングの岡田斗司夫 「コミケには専用通貨を導入した方がいい」と語る

なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門
『なんでコンテンツにカネを払うのさ? デジタル時代のぼくらの著作権入門』
岡田 斗司夫,福井 健策
阪急コミュニケーションズ
1,512円(税込)
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 年末に開催を控えた冬の祭典、コミックマーケット。この通称"コミケ"は3日間で実に約50万人以上の来場者を記録する、日本最大規模のアニメやマンガの同人誌即売会イベントです。パロディや二次創作の作品を中心に、約3万5千組ものアマチュアのクリエイターと来場者が一緒に盛り上げようとする意識が強いのも特徴といえます。

 しかし、パロディや二次創作につきものなのが「著作権」問題。コミケに限らず、今や誰もがブログやtwitterで情報を発信できる「1億総クリエイター」と言われる時代に、「著作権」をどう考えるか――。

 アニメ会社ガイナックスの設立者で、現在は大阪芸術大学客員教授の岡田斗司夫氏は著書『なんでコンテンツにカネを払うのさ?』の中で、著作権問題を専門とする気鋭の弁護士・福井健策氏と縦横無尽な議論を繰り広げています。

 岡田氏は、アマチュアがVOCALOIDで作った楽曲が大人気になる事例などを挙げ、「従来の著作権制度という仕組みがもう無理」とばっさり言い切ります。無料で作品を作り発信する人が溢れる状況で、人々はお金を払って著作権コンテンツを利用するメリットを見失い、作者が利益を得るための著作権制度は機能不全に陥ったというのです。むしろ、著作権制度がパロディや二次創作を制限し、コンテンツの多様性を奪いかねないとも述べています。

 そこで岡田氏が提唱するのは、著作権を無くして音楽やアニメなどコンテンツは自由に流通させ、作者の収入確保はライブの物販や握手会で図ろうという制度。コンテンツそのものではなく、自分がその現場にいるというデジタルでは補えない「ライブ体験」にお金を使いたいという人々の心理こそ、これからのコンテンツ収益の活路だという福井氏の理論にも思わず納得させられます。

 作家のサイン会は絶対に有料でやるべき、コミケ専用のコミュニティ限定通貨を導入して二次創作に自由を......など、これからのコンテンツと著作権のあり方に対し様々な提案を投げかける本書。誰もがtwitterの呟きや、ブログへの投稿などで、いつの間にかクリエイターの一員となっている時代、みなさんは「著作権」とどう向き合いますか?

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