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「おじさんがエアロビにはまっている」街中に貼られたシールで地域活性化

地域を変えるデザイン――コミュニティが元気になる30のアイデア
『地域を変えるデザイン――コミュニティが元気になる30のアイデア』
issue+design project
英治出版
2,100円(税込)
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 昨年、東日本大震災が東北地方を襲い、東京大学の前総長・小宮山宏氏が述べた「日本は課題先進国」という言葉が、なおさら説得力を持つようになりました。

 こういった難しい時代にこそ求められるのが、「社会に幸せなムーブメントを起こすデザイン」。こう話すのは、issue+design projectの筧祐介氏です。その言葉通り、厳しい財政状況にも関わらず、知恵を絞り、住民の気持ちを動かし、解決策を実践している地域があります。

 例えば、青森県八戸市で実施された「八戸のうわさ」。長い歴史を持つ八戸の街には、たくさんの商店街がそれぞれの歴史を抱えながら存続しています。しかし、長い歴史があるからこそ、なかなか変わることができず、空洞化が進み閉塞感が漂っていました。

 そこで、店ではなく「人」に興味を持ってもらうための「うわさ」プロジェクトを立ち上げることに。同プロジェクトは、100ヶ所の店舗や事業所を一軒一軒取材し、街の人たちの小さな自慢や趣味、悩み、嬉しかったことを聞き出し、それをフキダシ型のシールにして、店舗や事務所に貼るといったもの。

 フキダシ内容は、「地下の弁当で3kgやせたらしいよ!」「2人でクレープ食べると恋が実るらしいよ!」「秋田美人が2人もいるらしい」「エアロビにはまっているおじさんがいるらしいよ」など、個人的な話から気になるうわさまで約700種類。1ヶ月間にわたり、黄色でポップなフキダシが街を彩りました。

 商品しか見えなかったお店でしたが、フキダシがあることで人柄が見えるようになりました。また、コミュニケーションのきっかけにもなりました。世代や商店街を超えて会話をすることが増え、コミュニケーションの壁が随分と低くなったそうです。

 「うわさ」プロジェクトは、シールを貼っただけのアイデアではありますが、活気を失いつつある商店街を彩り、地域の人々を元気にする可能性を秘めています。このように、生活者を幸せにするデザインが次々と生まれれば、どんどん日本の地域は変わるのではないでしょうか。もちろん被災地の復興にも生かされるはずです。

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