落合博満 若手の成長には「妻」の存在が重要と説く

采配
『采配』
落合博満
ダイヤモンド社
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 「若手諸君、成長したけりゃ結婚しよう」

 そう訴えるのは元中日ドラゴンズ監督の落合博満さん。監督として若手選手たちを指導するなかで、急成長するには"配偶者"の存在がとても重要だと分かったという。著書『采配』(ダイヤモンド社)で述べている。

 落合さんが例に挙げるのは、2011年のペナントレースで活躍した平田良介外野手。113試合に出場し、守備率はリーグトップの1.000。得点面でも、打率.255、11本塁打、38打点をマークし、中日のリーグ優勝に貢献した。

 大阪桐蔭高校卒業と共にプロ入りした平田選手は、若干23歳ながらすでにプロ6年目(当時)。入団1年目から一軍出場を経験し、若手注目株として将来に期待がかかっていた。

 2007年の日本シリーズ5戦目にはチーム唯一の得点となる犠牲フライを放ち、中日ドラゴンズ53年振りの日本一に貢献するなど、順調に成長を遂げているかと思われていた。しかし、チャンスをつかみそうになると、故障やケガでふいにしてまうことの繰り返し。2010年になると、シーズンの大半をファームで過ごすようになった。

 そうして伸び悩んでいた平田選手が、なぜ2011年に大躍進を遂げることができたか。落合さんは「一番大きな理由は、平田が結婚し、子供が生まれたことだと思う」と分析する。

 一般論として、若手選手はコーチや監督のアドバイスを熱心に聞いて成長する。しかし、故障やケガに見舞われると、「所詮コーチは第三者なんだ」という思いが生まれ、アドバイスを素直に聞けなくなる。コーチがどんなに親身になって接していても、選手の側にそれを受け入れる気持ちがなければ成果は上がらない。

 「ここが、若手をサポートする際の難しさでもある」。落合さんはそう痛感したという。

 しかし、配偶者がいると、働くことに「自分のため」以外の目的ができる。子供がいればなおさらだ。そうして、仕事に取り組む気持ちが変化し、「何とかしなければ」という思いが芽生える。

 健康管理という面でも、配偶者の存在は重要だ。昨年、中日と日本一を争った福岡ソフトバンクホークスの松田宣浩選手の場合は、奥さん(元女子アナ・柴田恵理さん)が家庭料理でサポート。過去ケガに泣かされることも多かった松田選手だが、柴田さんは結婚後、野菜ソムリエの資格を取るなど、率先して夫の健康管理に務めた。

 その甲斐あって、松田選手の2011年の成績は打率.282、本塁打25本、打点83を記録。柴田さんはどのような手料理で松田選手を支えたか。その模様を、BS日テレ『がんばれ☆ニッポンのスポーツ人 夢をささえる食卓』が取材。4月7日に放送される。

 落合さんも現役時代、信子夫人という強力なサポート役の存在があって、史上初の3度の3冠王という偉業を成し遂げられたと何度も語っていた。

 「いい人が見つかれば、少しでも早く結婚したほうがいい。プロ野球選手にとっての結婚とは、何よりも自己成長の原動力になると信じているからだ」(落合さん)

 孤独に戦うイメージがあるプロ野球選手だが、その成長には配偶者との"二人三脚"が欠かせないということだ。

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